中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経済学・経済政策 問16(2)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経済学・経済政策 令和4年度(2022年) 問16(2) (訂正依頼・報告はこちら)

財の生産においては、労働や資本といった生産要素を効率的に投入することが必要となる。下図では、最適な生産要素の投入量を考えるために、等産出量曲線と等費用線が描かれている。
この図に基づいて、下記の設問に答えよ。

この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  点Aから等産出量曲線に沿って、労働量を増やし資本量を減らすと、点Eにおいて最適投入を達成できる。
b  点Bでは、技術的限界代替率が要素価格比率より大きい。
c  点Eでは、要素価格1単位当たりの限界生産物が均等化する。
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  • a:正  b:正  c:正
  • a:正  b:誤  c:正
  • a:正  b:誤  c:誤
  • a:誤  b:正  c:誤
  • a:誤  b:誤  c:正

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この過去問の解説 (3件)

01

等費用曲線とは、生産活動で必要となる費用である資本量と労働量の合計値が等しくなるものの組み合わせを描いた曲線です。

一方等産出量曲線とは、生産活動で必要となる資本量と労働量によって生み出された産出量が等しくなる場合の資本量と労働量の組み合わせを描いた曲線です。

以上を踏まえて選択肢の内容を検討します。

a:点Aから等産出量曲線にしたがって点Eに至る場合、点Aの存在する等費用曲線よりも点Eの存在する等費用曲線のほうが費用が小さいので、点Eにおいて最適投入を達成できるということが言えます。したがって正しいです。

b:技術的限界代替率とは、同じ生産量を維持するための生産要素の交換比率を指し、等産出量曲線の各点の接線の傾きを表します。また要素価格比率とは、等費用曲線の傾きを表します。点Bを見ると、等産出量曲線の接線の傾きが等費用曲線(C2C2)の傾きよりも小さいので、技術的限界代替率が要素価格比率よりも小さいということが言えます。したがって誤りです。

c:点Eは、等産出量曲線の接線の傾きと等費用曲線(C1C1)の傾きが一致、つまり技術的限界代替率と要素価格比率が一致します。ここでは要素価格1単位あたりの限界生産物が均等化されますので正しい内容です。

したがって、「a:正 b:誤 c:正」が正解です。

選択肢1. a:正  b:正  c:正

「a:正 b:誤 c:正」が正解ですので誤りです。

選択肢2. a:正  b:誤  c:正

正解です。

選択肢3. a:正  b:誤  c:誤

「a:正 b:誤 c:正」が正解ですので誤りです。

選択肢4. a:誤  b:正  c:誤

「a:正 b:誤 c:正」が正解ですので誤りです。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:正

「a:正 b:誤 c:正」が正解ですので誤りです。

まとめ

等費用曲線と等産出量曲線に関する問題でした。近年複数回出題されている論点ですので、正解できなかった場合はしっかり復習しましょう。

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02

(基本知識)

まずはこのグラフの読み取りをします。資本と労働を投入して、生産を行うことを考えます。

C0からC2の直線は等費用線になります。それぞれの直線上では、どの点においても費用が同じになっています。

そして、点A、E、Bをとおる曲線は生産量が同じになる資本、労働の組み合わせを結んだものです。右上に行けば行くほど生産量が多くなります。企業は費用を最小限にして、この曲線をできるだけ右上に持っていくことが目的になります。この曲線が原点に対して凸になるのは、資本量また労働量の片方が多すぎると、少ないほうを1単位減らした際に減少する生産量をカバーするために投入する必要のあるもう片方の生産要素が多くなってしまうためです。

例えば、10単位の製品Aを作る仕事を考えます。今、10人で生産していると、一人で1単位作る時間が全体でかかります。例えば機械(資本)を1単位増やし、作業が自動化され、10人でかかっていた仕事が7人でできるようになったとします。機械をあまり導入していないときは、1台投入する効果が大きいですが、機械を増やしすぎると、機械もフル稼働できなかったりするため、機械1台で減らせる労働量が少しずつ減少していきます。

Cの等費用線の傾きは、労働量(資本量)を1単位減らしたときに追加で必要になる資本量(労働量)を表しています。これを要素価格比といいます。一方、当産出量曲線の接線の傾きはその点で一方の生産要素を減らした際に生産量を維持するために必要となるもう一方の生産要素量の比率で技術的限界代替率といいます。

生産量を最大化させるのは、等産出量曲線と等費用線が接するところ、つまり要素価格比と技術的限界代替率が等しくなる時に実現します。

(選択肢評価)

a 点Eにおいて、等費用線の傾きと等産出量曲線の傾きが一致しているため、最適な生産量になり、正しい。

b 1点注意。技術的限界代替率は当産出量曲線の接線の傾きに―1をかけて正に変換したものです。点Bの接線の傾きは直線Cの傾きよりも小さいため、誤りです。

c 点Eでは要素価格比と、技術的限界代替率が等しくなるため、正しい記載です。

選択肢1. a:正  b:正  c:正

上記説明より、「a:正  b:誤  c:正」となります。

選択肢2. a:正  b:誤  c:正

正解です。

選択肢3. a:正  b:誤  c:誤

上記説明より、「a:正  b:誤  c:正」となります。

選択肢4. a:誤  b:正  c:誤

上記説明より、「a:正  b:誤  c:正」となります。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:正

上記説明より、「a:正  b:誤  c:正」となります。

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03

等産出量曲線とは、その点における労働と資本の投入によって生産される生産量をつなげたものです。

 

a:適切です。点Eにおいて等費用曲線と接していますので、最も小さな費用で生産することができる点となっています。

b:技術的限界代替率は同じ生産量を達成する際に、一方の財を1単位増加させたときにもう一方の財をいくら減少させるかの割合です。よって等産出量曲線の接線の傾きとなります。

要素価格比率は、等費用曲線において、一方の財を1単位増加させたときにもう一方の財をいくら減少させるかの割合です。よって等費用曲線の傾きのことです。

点Bでは等費用曲線の傾きの方が等産出量曲線の接線の傾きより大きいため、要素価格比率の方が技術的限界代替率より大きいです。

c:点Eでは要素価格比率と技術的限界代替率が等しくなっていますので、要素価格1単位当たりの限界生産物が均等化します。

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