中小企業診断士の過去問
令和4年度(2022年)
経営法務 問5(2)

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和4年度(2022年) 問5(2) (訂正依頼・報告はこちら)

以下の会話は、X株式会社(以下「X社」という。)の代表取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話に基づき下記の設問に答えよ。
なお、本問における甲氏とあなたとの間の会話内の会社分割は、吸収分割のことを指している。

甲氏:「弊社の事業の一部であるb事業の業績が芳しくないので、b事業を他の会社に売って、弊社の経営資源をa事業に集中したいと思っています。先日、資本関係にない株式会社であるY社から、b事業を買いたいという話がありました。Y社の担当者によれば、方法としては、事業譲渡の方法と会社分割の方法があり、会社分割は吸収分割とのことでした。私は、b事業を売った対価を金銭としたいと思ったのですが、事業譲渡と会社分割とでは違いが生じるのでしょうか。」
あなた:「( A )。」
甲氏:「なるほど。その後、私が、弊社の経理部長乙氏に意見を聞いたところ、乙氏は、『これを機会にY社の株式を取得して、Y社との関係を深めてはどうか。』と話していました。b事業を売った対価を株式とすることは、事業譲渡と会社分割のいずれでもできるのでしょうか。」
あなた:「( B )。」
甲氏:「ありがとうございます。事業譲渡によるのか、会社分割によるのかは、弊社内で再度検討します。ところで、事業譲渡と会社分割の手続きを少しお聞きしたいのですが、それぞれの手続きで違うところはあるのでしょうか。」
あなた:「( C )。」
甲氏:「分かりました。ありがとうございます。」

会話の中の空欄Cに入る記述として、最も適切なものはどれか。
なお、事業譲渡及び会社分割のいずれの場合においても、当該株主総会の承認決議と同時に解散決議をするものではなく、また、簡易手続(簡易事業譲渡、簡易会社分割)によるものではないものとする。
  • 会社法では、事業譲渡の場合、X社の株主にいわゆる反対株主の買取請求権が認められていますが、会社分割では反対株主の買取請求権は認められていません
  • 会社法では、事業譲渡は、登記をすることにより効力が発生するとされていますが、会社分割は、契約書に定めた効力発生日に効力が発生するとされています
  • 会社法には、会社分割では、X社で契約書などの事前開示書類を一定の期間、備置することが定められていますが、事業譲渡ではそのような定めはありません
  • 会社法には、事業譲渡ではX社の債権者を保護するための債権者保護手続が定められていますが、会社分割ではそのような手続きは定められていません

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は3です。

選択肢1. 会社法では、事業譲渡の場合、X社の株主にいわゆる反対株主の買取請求権が認められていますが、会社分割では反対株主の買取請求権は認められていません

事業譲渡、会社分割のいずれの場合も、反対株主による買取請求権が認めれています。

選択肢2. 会社法では、事業譲渡は、登記をすることにより効力が発生するとされていますが、会社分割は、契約書に定めた効力発生日に効力が発生するとされています

事業譲渡の効力発生日は、契約書に定めた日です。

会社分割のうち、新設分割の効力発生日は、登記をおこなった日、吸収分割の効力発生日は、契約書に定められた日です。

選択肢3. 会社法には、会社分割では、X社で契約書などの事前開示書類を一定の期間、備置することが定められていますが、事業譲渡ではそのような定めはありません

会社分割では、開示書類を備え置く必要がありますが、事業譲渡では、定められていません。

選択肢4. 会社法には、事業譲渡ではX社の債権者を保護するための債権者保護手続が定められていますが、会社分割ではそのような手続きは定められていません

事業譲渡の場合は、債権者保護手続は不要ですが、組織再編である会社分割の場合は、債権者保護手続が必要です。

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02

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 会社法では、事業譲渡の場合、X社の株主にいわゆる反対株主の買取請求権が認められていますが、会社分割では反対株主の買取請求権は認められていません

反対株主の買取請求権とは、会社が組織再編などを行うときに、それに反対する株主が会社に対して自身が保有する株式を買い取ることを請求できる権利のことです。

事業譲渡、会社分割のどちらでも反対株主の買取請求権は認められているため、本選択肢は不正解です。

選択肢2. 会社法では、事業譲渡は、登記をすることにより効力が発生するとされていますが、会社分割は、契約書に定めた効力発生日に効力が発生するとされています

効力発生日は、事業譲渡では事業譲渡契約書会社分割では吸収分割契約書にそれぞれ定められています。

事業譲渡は登記をすることにより効力が発生する点が誤っているため、本選択肢は不正解です。

選択肢3. 会社法には、会社分割では、X社で契約書などの事前開示書類を一定の期間、備置することが定められていますが、事業譲渡ではそのような定めはありません

書類の備置について適切な内容であるため、本選択肢が正解です。

選択肢4. 会社法には、事業譲渡ではX社の債権者を保護するための債権者保護手続が定められていますが、会社分割ではそのような手続きは定められていません

債権者保護とは、組織再編を行う会社が債権者の利害に影響を与える可能性がある組織再編を行うに際して、事前に官報に広告、個別に催告して債権者が異議を述べる一定の期間を確保しなければならないとされていることです。

事業譲渡では債権者保護手続きは定められていません

会社分割において債権者保護手続きが定められているため、本選択肢は不正解です。

まとめ

組織再編の方式には、事業譲渡、会社分割、吸収合併、吸収分割または株式交換などがあります。

問われるポイントも本問の論点以外にも、権利義務の移転、労働者の承継、簿外債務の取扱などがありますが、今後も出題される可能性が非常に高いため学習しておきましょう。

参考になった数8

03

会社法には、会社分割では、X社で契約書などの事前開示書類を一定の期間、備置することが定められていますが、事業譲渡ではそのような定めはありません が正解の選択肢となります。

選択肢1. 会社法では、事業譲渡の場合、X社の株主にいわゆる反対株主の買取請求権が認められていますが、会社分割では反対株主の買取請求権は認められていません

事業譲渡、会社分割いずれの場合にも、いわゆる反対株主の買取請求権が認められています。

選択肢2. 会社法では、事業譲渡は、登記をすることにより効力が発生するとされていますが、会社分割は、契約書に定めた効力発生日に効力が発生するとされています

事業譲渡、会社分割いずれの場合にも、契約書に定めた効力発生日に効力が発生します。

選択肢3. 会社法には、会社分割では、X社で契約書などの事前開示書類を一定の期間、備置することが定められていますが、事業譲渡ではそのような定めはありません

正解の選択肢となります。

選択肢4. 会社法には、事業譲渡ではX社の債権者を保護するための債権者保護手続が定められていますが、会社分割ではそのような手続きは定められていません

事業譲渡ではX社の債権者を保護するための債権者保護手続が定められていませんが、会社分割ではそのような手続きは定められています

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