中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
財務・会計 問10
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 財務・会計 令和5年度(2023年) 問10 (訂正依頼・報告はこちら)
当工場の以下の資料に基づき、平均法による月末仕掛品原価として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、材料は工程の始点ですべて投入されており、減損は工程の終点で発生している。また、月末仕掛品原価の計算は度外視法によるものとする。
- 70,400円
- 81,000円
- 85,500円
- 108,000円
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この過去問の解説 (2件)
01
平均法は、在庫や仕掛品の原価を均等に分配する手法で、期初在庫と新たな在庫の単位コストを平均して計算します。
月末仕掛品原価の算出は、次のステップで行います。
1.平均単価を算出
2.平均単価を月末仕掛品に乗算
また、算出対象となる原価は、問題文にある通り直接材料費と加工費の2つがあることに留意します。直接材料費は問題文に明示されているとおり材料投入時点で消費(原価が発生)するのに対し、加工費は加工進捗度によって消費されることに注意しましょう。
まず、平均単価を算出します。これは、問題文から計算できます。
直接材料費の平均単価=(月初仕掛品原価+当月投入原価)÷(月初仕掛品数量+当月投入数量)
=( 30,000円 + 120,000円 )÷( 200kg + 400kg )
=250円
加工費の平均単価=(月初仕掛品原価+当月投入原価)÷(月初仕掛品数量+当月投入数量)
=( 18,000円 + 84,000円 )÷( (200kg×50%) + 400kg )
=204円
次に、平均原価を月末仕掛品に乗算します。
そのまえにチェックしておくべき事項が3点あります。
①資料を見ると、正常減損が100kg、加工進捗度50%の時点で発生している。
②減損は工程の終点で発生している
③月末仕掛品原価の計算は度外視法による
度外視法とは、仕損品にかかった原価を個別に計算せず、完成品または月末仕掛品に負担させる方法です。問題文では、減損は工程の終点で発生していることから、仕損品はすべて、完成品に負担させることが分かります。
以上からつまり、減損分は月末仕掛品には影響しない、ということが読み取れます。
従い、月末仕掛品の原価は単純に、月末仕掛品数量×平均単価 でよいということになります。
上記を踏まえ、月末仕掛品原価を計算すると、
直接材料費の月末仕掛品原価=200kg × 250円=50,000円
加工費の月末仕掛品原価=( 200kg × 50% ) × 204円=20,400円
合計して、70,400円が月末仕掛品原価となります。
総合原価計算は、日商簿記試験2級の頻出論点です。本問題は簿記試験と比べると簡単なケースで、日商簿記試験2級ではもう少し捻った問題が出てきます。
両試験では1問あたりの解く時間に違いがありますから、中小企業診断士の財務会計で日商簿記試験2級の難易度の問題はまず出ないとみられますが、日商簿記試験の基本的な論点だけでも押さえておけば、得点源にできると思います。簿記試験の各章の一番簡単な問題を解けるように練習しておくことをおすすめします。
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02
総合原価計算を実際に行う問題です。
本問のポイントを整理します。
(1)月末仕掛品の評価が平均法であること。
平均法とは月初仕掛品と当月投入量を区別せずに、その合計額から単価を求める方法です。
(2)材料は工程の始点ですべて投入し、減損が工程の終点で発生していることと、減損の評価方法として度外視法が採用されていること。
減損とは製造中に材料が何らかの理由によりなくなってしまうことです。
減損を発生していなかったとみなして、その費用を完成品に負担させる計算方法が度外視法です。
まず直接材料費から考えます。
月初仕掛品と当月投入量の合計が600kgです。
減損が100kg発生していますが、度外視方を採用しているため完成品に含めて計算するため、月末仕掛品は200kgとなります。
資料2のデータを用いて計算します。
30,000円 + 120,000円 ÷ 300kg + 100kg + 200kg = 250円/kg
250円 x 200kg = 50,000円
月末仕掛品の直接材料費は50,000円です。
次に加工費を計算します。
月末仕掛品の加工進捗度が50%であるため、加工量は100kgとなります。
減損の100kgは完成品に含めます。
資料2のデータを用いて計算します。
18,000円 + 84,000円 ÷ 300kg + 100kg + 100kg = 204円/kg
204円 x 100kg = 20,400円
月末仕掛品の加工費は20,400円です。
月末仕掛品原価は以下のようになります。
50,000円 + 20,400円 = 70,400円
本選択肢が正解です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢は不正解です。
実際に原価を計算する問題も過去に出題されているので、落ち着いて間違わずに計算できるように練習して対策をしておきましょう。
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