中小企業診断士の過去問
令和5年度(2023年)
経営法務 問7
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問題
中小企業診断士試験 第1次試験 経営法務 令和5年度(2023年) 問7 (訂正依頼・報告はこちら)
以下の会話は、X株式会社の代表取締役である甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。
なお、本問における吸収合併の手続においては、X株式会社を消滅会社とすることを念頭に置いている。
甲氏 :「このたび、X株式会社の事業の全部を譲渡することを考えており、譲渡先を探していたところ、取引先であるY株式会社から、X株式会社の事業の全部を譲り受けてもよいという話がありました。知人に聞いたところ、X株式会社の事業の全部をY株式会社に移管する方法としては、事業譲渡の他に吸収合併という方法もあるという話をしていました。取引先への商品代金の支払債務について、事業譲渡と吸収合併によって違いはあるのでしょうか。」
あなた:「( A )。」
甲氏 :「なるほど。ありがとうございます。では、吸収合併と事業譲渡で、Y株式会社から受け取る対価に違いはあるのでしょうか。」
あなた:「( B )。」
甲氏 :「では、Y株式会社に吸収合併又は事業譲渡ですべての事業を移管した場合、X株式会社はどうなるのでしょうか。」
あなた:「( C )。」
甲氏 :「なかなか悩ましいですね。実は、Y株式会社の他に、私の知人である乙氏からX株式会社の事業の全部を承継してもよいという話も聞いています。乙氏は会社を設立しておらず、個人で事業を行っているのですが、事業譲渡や吸収合併は、相手先が会社でなくてもすることができるのでしょうか。」
あなた:「( D )。」
甲氏 :「分かりました。今日のお話を踏まえ、スキームを検討します。また、ご相談させてください。」
あなた:「必要があれば、弁護士を紹介しますので、お気軽にご相談ください。」
会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
なお、本問における吸収合併の手続においては、X株式会社を消滅会社とすることを念頭に置いている。
甲氏 :「このたび、X株式会社の事業の全部を譲渡することを考えており、譲渡先を探していたところ、取引先であるY株式会社から、X株式会社の事業の全部を譲り受けてもよいという話がありました。知人に聞いたところ、X株式会社の事業の全部をY株式会社に移管する方法としては、事業譲渡の他に吸収合併という方法もあるという話をしていました。取引先への商品代金の支払債務について、事業譲渡と吸収合併によって違いはあるのでしょうか。」
あなた:「( A )。」
甲氏 :「なるほど。ありがとうございます。では、吸収合併と事業譲渡で、Y株式会社から受け取る対価に違いはあるのでしょうか。」
あなた:「( B )。」
甲氏 :「では、Y株式会社に吸収合併又は事業譲渡ですべての事業を移管した場合、X株式会社はどうなるのでしょうか。」
あなた:「( C )。」
甲氏 :「なかなか悩ましいですね。実は、Y株式会社の他に、私の知人である乙氏からX株式会社の事業の全部を承継してもよいという話も聞いています。乙氏は会社を設立しておらず、個人で事業を行っているのですが、事業譲渡や吸収合併は、相手先が会社でなくてもすることができるのでしょうか。」
あなた:「( D )。」
甲氏 :「分かりました。今日のお話を踏まえ、スキームを検討します。また、ご相談させてください。」
あなた:「必要があれば、弁護士を紹介しますので、お気軽にご相談ください。」
会話の中の空欄AとBに入る記述の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
- A:吸収合併、事業譲渡いずれの場合でも、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されます B:吸収合併、事業譲渡のいずれの対価も金銭に限られません
- A:吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません B:吸収合併、事業譲渡のいずれの対価も金銭に限られません
- A:吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません B:吸収合併の対価はY株式会社の株式であることが必要ですが、事業譲渡の対価はY株式会社の株式に限られず、金銭によることも可能です
- A:吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません B:吸収合併の対価は金銭であることが必要ですが、事業譲渡の対価は金銭に限られません
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この過去問の解説 (2件)
01
吸収合併と事業譲渡における債務の継承と対価についての問題です。
吸収合併では存続会社が消滅会社を包括的に継承します。
本問に当てはめると、Y株式会社がX株式会社を包括的に承継することになります。
事業譲渡では対象事業の権利義務を個別に継承することになります。
特に債務は債権者の承諾が必要となります。
対価の柔軟化が実施されているため、吸収合併も事業譲渡も対価は株式、金銭に限られなくなっています。
空欄Aに該当するものは、 吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されますが、事業譲渡の場合には、債権者の承諾を得なければ、X株式会社の債務をY株式会社に承継させて、X株式会社がその債務を免れるということはできません です。
空欄Bに該当するものは、 吸収合併、事業譲渡のいずれの対価も金銭に限られません です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢が正解です。
本選択肢は不正解です。
本選択肢は不正解です。
吸収合併と事業譲渡について改めて簡単にまとめておきます。
吸収合併とは、存続会社が消滅会社の権利義務や取引先との契約、労働契約などを包括的に継承します。
消滅会社と呼称するように、吸収合併後に吸収された会社は生産手続を得ることなく消滅します。
事業譲渡は、事業の一部又は全部を譲渡することです。
譲渡の対象には有形資産も無形資産も該当します。
譲渡は対象事業の契約などを個別に継承するため、債権者の承諾が必要となります。
事業譲渡では事業譲渡後も、譲渡した企業は存続します。
吸収合併も事業譲渡も対価の柔軟化が図られているため、株式等に限定されることがなくなっています。
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02
事業譲渡と吸収合併による違いを問う問題です。
空欄A:
選択肢から、吸収合併の場合は、X株式会社の債務は当然にY株式会社に承継されることが分かります。一方、事業譲渡の場合は、X株式会社の債務をY株式会社に承継させることについては、債権者ごとに個別の同意が必要になります。
空欄B:
吸収合併の対価として、存続会社(本問ではY株式会社)の株式を消滅会社(本問ではX株式会社)の株主に交付することが「原則」ですが、対価の柔軟化により株式以外の交付も認められます。事業譲渡の対価は金銭によることが一般的ですが、契約自由の原則によりX社とY社の間で自由に決めることができます。
Aが不適切です。
正解の選択肢となります。
Bが不適切です。
Bが不適切です。
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