中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問19 (経済学・経済政策 問16)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問19(経済学・経済政策 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

下図には、限界費用曲線MC、平均費用曲線AC、平均可変費用曲線AVCを描いている。なお、この企業は、利潤を最大化するように生産量を決定しているとする。この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  価格がP1のとき、この企業の赤字は四角形P1P2BCである。
b  価格がP2のとき、この企業の生産量はQである。
c  価格がP3のとき、この企業の利潤は四角形P2P3ABである。
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  • a:正  b:正  c:正
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  • a:誤  b:誤  c:誤

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、限界費用(MC)曲線、平均費用(AC)曲線、および平均可変費用(AVC)曲線に基づいて企業の利潤や赤字を分析するものです。利潤最大化の原則に基づき、価格がMCと交わる点で生産量が決定されます。また、価格とAC・AVCとの位置関係によって、企業の利潤・損失状況が決まります。

 

a:価格がP1のとき、この企業の赤字は四角形P1P2BCである。

誤りです。価格がP1であるとき、P1が平均費用(AC)よりも下に位置するため、企業は赤字を計上します。しかし、赤字額は価格(P1)と平均可変費用(AVC)の差で計算されるため、赤字部分が四角形P1P2BCではありません。

 

b:価格がP2のとき、この企業の生産量はQである。

誤りです。企業の利潤最大化の原則に従うと、価格がP2であればMC曲線と価格が交わる点での生産量がQとなることが想定されます。しかし、この点が必ずしも利潤最大化の条件とはなりません。

 

c:価格がP3のとき、この企業の利潤は四角形P2P3ABである。

正しいです。価格がP3で、P3が平均費用(AC)より上に位置するため、企業は利潤を計上します。この利潤は四角形P2P3ABとして示されます。

選択肢1. a:正  b:正  c:正

この選択肢は不適切です。

選択肢2. a:正  b:正  c:誤

この選択肢は不適切です。

選択肢3. a:正  b:誤  c:正

この選択肢は不適切です。

選択肢4. a:誤  b:誤  c:正

この選択肢は適切です。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:誤

この選択肢は不適切です。

まとめ

利潤最大化の原則では、MC曲線と価格が交わる点での生産量が利潤最大化の基準となります。

価格とACの関係:価格がACよりも高ければ利潤が得られ、低ければ赤字になります。

価格とAVCの関係:価格がAVCを下回ると、短期的には事業を停止する可能性があります

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02

費用関数に関する問題です。

 

与件文に「この企業は、利潤を最大化するように生産量を決定しているとする」とあることから完全競争市場であることが分かります。

 

完全競争市場では、生産量は価格と限界費用曲線MCが交わる点となります。(これは暗記しておきましょう)

すなわち、本問での企業は点Aの生産量Qまで生産します。

 

グラフが与えられているため、下図のようにグラフに書き込みながら確認しましょう。

・総収入(損益計算書でいえば、「売上高」になります)

□P30QA

・総費用(損益計算書でいえば、「売上原価」になります)

□P20QB

・利潤(損益計算書でいえば、「売上総利益」になります)

□P3P2BA

以上を確認したうえで、各解答群の正誤判断を行ないます。

 

a.価格がP1のとき、この企業の赤字は四角形P1P2BCである。

完全競争市場では、生産量は価格と限界費用曲線MCが交わる点であるため、価格P1上で限界費用曲線MCと交わっている点が生産量となります。

なお、価格P2が総費用の上限であるため、P2より下にある価格P1では赤字の状態です。

したがって、この企業の赤字部分は縦がP2P1の間、横が価格P1上で限界費用曲線MCと交わっている点から左側(縦軸側)の長方形部分となります。

 

※本試験では、この赤字範囲を精緻に読み取る必要はありません。「四角形P1P2BCではない」と判断できればOKです。


b.価格がP2のとき、この企業の生産量はQである。

完全競争市場では、生産量は価格と限界費用曲線MCが交わる点であるため、価格P2上で限界費用曲線MCと交わっている点が生産量となります。


c.価格がP3のとき、この企業の利潤は四角形P2P3ABである。

→図で示したように、この企業の利潤は四角形P2P3ABであるため正しいです。

選択肢1. a:正  b:正  c:正

冒頭の解説より、「a: b: c:正」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. a:正  b:正  c:誤

冒頭の解説より、「a: b: c:」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. a:正  b:誤  c:正

冒頭の解説より、「a: b:誤 c:正」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. a:誤  b:誤  c:正

冒頭の解説より、「a:誤 b:誤 c:正」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

選択肢5. a:誤  b:誤  c:誤

冒頭の解説より、「a:誤 b:誤 c:」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

費用関数は頻出論点で、毎年必ず出題されます。本問は特にややこしい設定はなく、復習に適しています。

 

最も正誤判断しやすい解答群cから選択肢を3択に絞り込み、次に解答群bを対応するのが良いでしょう。

(本問は、解答群3つすべて正誤判断しないと正答できません)

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