中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問18 (経済学・経済政策 問15)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問18(経済学・経済政策 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

下図は、ある財の需要曲線Dと供給曲線Sである。いま、この財に t %の従価税を課すとする。このとき、Sは課税前の供給曲線、S’は課税後の供給曲線である。この図に関する記述の正誤の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

a  課税後の生産者余剰は、三角形BOEである。
b  課税による超過負担は、三角形EFGである。
c  課税後の総余剰は、三角形AOGである。
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  • a:正  b:正  c:正
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  • a:誤  b:正  c:誤

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この過去問の解説 (1件)

01

従価税を伴う場合の余剰分析に関する問題です。

グラフも与えられているため、グラフに手を入れて課税前と課税後の余剰分析を行ない、正誤判断するという手順を踏むことが必要になります。

 

【課税前の余剰分析】

与件文よりSが課税前の供給曲線であるため、便宜的に縦軸の価格と供給曲線Sが交わる点をC1と置きます。

また、横軸の数量と供給曲線Sが交わる点をQ1と置いたものが下図になります。

消費者余剰△AC1G

生産者余剰△C1OG

総余剰△AOG

 

【課税後の余剰分析】

従価税が課せられたことにより課税後の供給曲線はS’となり、供給曲線S’と横軸の数量とが交わる点Q2に数量が変更されました。

(従価税の影響により、数量は減少しています)

消費者余剰△ABE

生産者余剰△BC2E

総余剰△AC2E+□C2OFE

政府余剰□C2OFE

死荷重△EFG

 

以下、各解答群の正誤判断を行ないます。

a.課税後の生産者余剰は、三角形BOEである。

→課税後の生産者余剰は、三角形BC2Eです。
 

b.課税による超過負担は、三角形EFGである。

→「課税による超過負担」とは、死荷重をいいますので正しい記述です。


c.課税後の総余剰は、三角形AOGである。

→課税の総余剰は、三角形AOGです。

選択肢1. a:正  b:正  c:正

冒頭の解説より、「a: b:正 c:」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢2. a:正  b:正  c:誤

冒頭の解説より、「a: b:正 c:誤」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢3. a:正  b:誤  c:正

冒頭の解説より、「a: b: c:」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢4. a:誤  b:正  c:正

冒頭の解説より、「a:誤 b:正 c:」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。

選択肢5. a:誤  b:正  c:誤

冒頭の解説より、「a:誤 b:正 c:誤」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。

まとめ

【補足】

 

課税後の余剰分析で、いきなり政府余剰が出てきて面食らっている方がいるかも知れませんが、従価税が課せられているためです。

(従価税により、政府が得る余剰が発生するためです)

 

本問では従価税が課せられることが与件文でも示されているので、解答群で政府の余剰の範囲を問わなかった(解答群cで課税後の総余剰が問われていますが)分だけ、問題の難易度は易しくなっています。

 

余剰分析では「消費者と生産者の取引に任せておけば、市場の総余剰は最大化される」という原則がありますが、政府が税金を召し上げるために消費者や生産者の余剰が狭められ、誰も得をしない死荷重が発生するというのが余剰分析の論点になります。

(政府余剰は消費者や生産者の余剰の一部が政府の取り分になるだけなので、総余剰には含まれます)

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