中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問37 (財務・会計 問11(2))

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問37(財務・会計 問11(2)) (訂正依頼・報告はこちら)

当社の貸借対照表および損益計算書は以下のとおりであった。下記の設問に答えよ。

20X1年から20X2年の自己資本利益率の変化とその要因に関する記述として、最も適切なものはどれか。
問題文の画像
  • 自己資本利益率は上昇したが、その要因の1つは財務レバレッジの上昇である。
  • 自己資本利益率は上昇したが、その要因の1つは総資本回転率の上昇である。
  • 自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは財務レバレッジの低下である。
  • 自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは総資本回転率の低下である。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、自己資本利益率(ROE)の変化とその要因について理解することを問うものです。自己資本利益率は、企業が自己資本に対してどれだけ効率的に利益を上げているかを示す指標です。自己資本利益率の変化要因として、総資本回転率や財務レバレッジの変化が挙げられます。

自己資本利益率(ROE)の計算式は以下の通りです:

ROE=当期純利益÷自己資本×100

 

20X1年および20X2年の自己資本の確認

自己資本 = 資本金 + 利益剰余金

20X1年の自己資本:

資本金(60,000千円) + 利益剰余金(40,000千円) = 100,000千円

20X2年の自己資本:

資本金(60,000千円) + 利益剰余金(50,000千円) = 110,000千円

 

20X1年および20X2年の自己資本利益率の計算

20X1年の自己資本利益率:

10,500÷100,000×100=10.5%

20X2年の自己資本利益率:

11,000÷110,000×100=10.0%

したがって、20X1年から20X2年にかけて自己資本利益率は10.5%から10.0%へわずかに下がっています

 

自己資本利益率低下の要因分析

自己資本利益率(ROE)は、以下の3つの要因の積に分解できます(デュポン分析):

売上高利益率 = 税引後当期純利益 / 売上高

・20X1年 10,500÷187,000=約5.6%

・20X2年 11,000÷198,000=約5.6%(わずかに低下)

総資本回転率 = 売上高 / 総資本

・20X1年 187,000÷170,000=1.1回

・20X2年 198,000÷180,000=1.1回(変化なし)

財務レバレッジ = 総資本 / 自己資本

・20X1年 170,000÷100,000=1.7

・20X2年 180,000÷110,000=約1.64(低下)

 

売上高利益率:利益増より売上増の方が大きく、率がわずかに下がりました。

総資本回転率:1.1回で変化がなく、自己資本利益率(ROE)低下に寄与しません。

財務レバレッジ:自己資本が増えたことで比率が下がり、自己資本利益率(ROE)を押し下げました。

 

以上から、自己資本利益率の低下には、売上高利益率と財務レバレッジが要因として挙げられます。

選択肢1. 自己資本利益率は上昇したが、その要因の1つは財務レバレッジの上昇である。

自己資本利益率・財務レバレッジは上昇していません。

選択肢2. 自己資本利益率は上昇したが、その要因の1つは総資本回転率の上昇である。

自己資本利益率は上昇しておらず、総資本回転率も上昇していません。

選択肢3. 自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは財務レバレッジの低下である。

適切です。

自己資本利益率は10.5%から10.0%へと低下しており、財務レバレッジの低下が要因の1つです。

選択肢4. 自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは総資本回転率の低下である。

総資本回転率は低下していません。

まとめ

自己資本利益率(ROE)は、企業の収益性や資本効率を測る指標で、デュポン分析で分解できます。

総資本回転率の低下財務レバレッジの変化は、ROEの変動要因として分析されます。

参考になった数18

02

財務分析の問題です。20X1年から20X2年の自己資本利益率の変化と、その要因が問われています。

 

自己資本利益率の計算式は、(当期純利益÷自己資本)×100%により求められます。

20X1年:(10,500÷100,000)×100=10.5%

20X2年:(11,000÷110,000)×100=10.0%

20X1年から20X2年の自己資本利益率は低下(悪化)していますので、選択肢は2つに絞り込まれます。

 

・財務レバレッジ

計算式は総資本÷自己資本により求められますので、損益計算書のデータは使いません。(ダミーデータです)

なお、単位は「倍」となります。
20x1年:170,000÷100,000=1.7倍
20X2年:180,000千円÷110,000=1.64倍

20X1年から20X2年の財務レバレッジは、低下(悪化)しています。

 

・総資本回転率

計算式は、売上高÷総資本により求められます。なお、単位は「回」となります。

20X1年:187,000÷170,000=1.1回
20X2年:198,000÷180,000=1.1回

20X1年から20X2年の総資本回転率は、変化はありません

選択肢1. 自己資本利益率は上昇したが、その要因の1つは財務レバレッジの上昇である。

冒頭の解説より自己資本利益率は低下しており、財務レバレッジは低下しているため不適切な選択肢です。

選択肢2. 自己資本利益率は上昇したが、その要因の1つは総資本回転率の上昇である。

冒頭の解説より自己資本利益率は低下しており、総資本回転率は変化していないため不適切な選択肢です。

選択肢3. 自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは財務レバレッジの低下である。

冒頭の解説より自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは財務レバレッジの低下であるため正解の選択肢となります。

選択肢4. 自己資本利益率は低下したが、その要因の1つは総資本回転率の低下である。

冒頭の解説より総資本回転率は変化していないため、不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

財務分析は2次試験の事例Ⅳの第1問で確実に問われるため、1次試験のうちから備えておく必要があります。

 

計算式を覚えていれば確実に正答できるため、出題された場合ほぼ全ての受験生が確実に得点します。

逆に言えば、このようなボーナス問題を落とすことは非常に痛いです。

(2次試験を受験することを考えると、他の論点で60点以上を取って科目合格できたとしても猛省すべきです)

 

1次試験では電卓が使えませんが筆算で解けるレベルなので、確実に解けるように対策した上で試験に臨みましょう。

参考になった数1