中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問44 (財務・会計 問17)
問題文
次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
割引キャッシュフロー法には、キャッシュフロー予測に関する問題、資本コスト推定の問題、不確実で複雑な意思決定機会への対処の問題がある。このうち、キャッシュフロー予測に関する問題は、予測方法の問題と予測値にかかわる不確実性の問題に分けられる。予測値にかかわる不確実性の問題に対処する方法としては、( A )、( B )、( C )などの適用が考えられる。( A )は将来の企業環境の状態を記述するストーリーに基づいて分析するものである。また、( B )と( C )は、キャッシュフローに不確実性を生じさせる要因を確率変数とみなして、キャッシュフローの確率分布を見い出す方法である。( C )は、コンピュータなどを利用して反復計算し、予測を繰り返す点に特徴がある。
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問題
中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問44(財務・会計 問17) (訂正依頼・報告はこちら)
次の文章の空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
割引キャッシュフロー法には、キャッシュフロー予測に関する問題、資本コスト推定の問題、不確実で複雑な意思決定機会への対処の問題がある。このうち、キャッシュフロー予測に関する問題は、予測方法の問題と予測値にかかわる不確実性の問題に分けられる。予測値にかかわる不確実性の問題に対処する方法としては、( A )、( B )、( C )などの適用が考えられる。( A )は将来の企業環境の状態を記述するストーリーに基づいて分析するものである。また、( B )と( C )は、キャッシュフローに不確実性を生じさせる要因を確率変数とみなして、キャッシュフローの確率分布を見い出す方法である。( C )は、コンピュータなどを利用して反復計算し、予測を繰り返す点に特徴がある。
- A:シナリオ分析 B:ディシジョン・ツリー分析 C:モンテカルロ・シミュレーション
- A:シナリオ分析 B:モンテカルロ・シミュレーション C:ディシジョン・ツリー分析
- A:ディシジョン・ツリー分析 B:シナリオ分析 C:モンテカルロ・シミュレーション
- A:モンテカルロ・シミュレーション B:シナリオ分析 C:ディシジョン・ツリー分析
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題は、割引キャッシュフロー法(DCF法)における不確実性対処手法を理解することがポイントです。DCF法は、将来のキャッシュフローを現在価値に割り引いて評価する方法であり、予測に伴う不確実性への対処が重要です。この対処方法としてよく用いられるのが、シナリオ分析、ディシジョン・ツリー分析、およびモンテカルロ・シミュレーションです。
シナリオ分析
シナリオ分析は、将来の環境の状態を複数のシナリオ(例えば、楽観的・悲観的な見通し)で記述し、それぞれのシナリオにおけるキャッシュフローを分析する手法です。シナリオごとに異なる外部環境を仮定し、キャッシュフローの見通しを立てることで、不確実性の影響を把握します。
本文の「将来の企業環境の状態を記述するストーリーに基づいて分析するもの」という記述が、シナリオ分析に該当します。よって、Aに入る語句は「シナリオ分析」が適切です。
ディシジョン・ツリー分析
ディシジョン・ツリー分析は、不確実性要因を確率変数として表し、分岐を伴う意思決定の流れを視覚的に描いたものです。将来の意思決定の流れに応じて複数の結果を予測し、最適な選択肢を決定します。
これは「キャッシュフローに不確実性を生じさせる要因を確率変数とみなして確率分布を見出す方法」に該当するため、Bに「ディシジョン・ツリー分析」が適切です。
モンテカルロ・シミュレーション
モンテカルロ・シミュレーションは、不確実な変数に対して確率分布を仮定し、コンピュータを使ってランダムな値を繰り返し生成することで複数のシナリオを試算し、キャッシュフローの分布を導き出します。このシミュレーションは「キャッシュフローの予測を繰り返す点に特徴がある」とされ、Cには「モンテカルロ・シミュレーション」が適切です
この選択肢は適切です。
この選択肢は不適切です。
この選択肢は不適切です。
この選択肢は不適切です。
シナリオ分析は、複数の環境条件を想定してキャッシュフローを予測する手法です。
ディシジョン・ツリー分析は、確率変数を用いて複数の意思決定パスを視覚的に示し、最適な選択肢を決定する方法です。
モンテカルロ・シミュレーションは、確率分布に基づく反復計算を用いてキャッシュフローを予測する手法です。
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02
割引キャッシュフロー法に関する問題です。といっても計算問題ではなく、シナリオ分析、ディシジョン・ツリー分析、モンテカルロ・シミュレーションの各用語の理解が求められています。
計算が苦手な人でも、用語のイメージから正答できる内容です。キーワードになりそうな部分を、青色でハイライトしています。
・シナリオ分析
将来の企業環境の状態を記述するストーリーに基づいて分析するものです。一般的には3つのストーリーが比較検討されます。
各シナリオの下で、カギとなる前提条件(外部環境、企業が保有する経営資源や能力など)の変化を評価した後、各シナリオが実現しそうな確率を決定します。
→「将来の企業環境の状態を記述するストーリーに基づいて分析する」と記述されている空欄Aが該当します。
・ディシジョン・ツリー分析
確率とそれに基づく期待値が算出されます。(例えば、あるオレンジ農家の今年の収穫量が豊作になる確率は60%で売上1億円、凶作になる確率は10%で売上1千万円、例年通りの収穫量になる確率が30%で売上5千万円など)
そして、意思決定を行う決定ノード(□で表現される)と確率で示される確率ノード(○で示される)があり、シミュレーションによって分岐していきます。
→ディシジョン・ツリー分析については特定できるキーワードが与えられていないため、消去法で空欄Bが該当します。
・モンテカルロ・シミュレーション
将来キャッシュフローの変動に影響を与える要因(外部環境、業界内の競争状況、需要変動など)とキャッシュフローとの関係を踏まえて、重要な要因について確率分布を推定します。
それらの確率分布からランダムサンプリングを行い、キャッシュフローや正味現在価値の計算を繰り返し行ないます。
→「コンピュータなどを利用して反復計算し、予測を繰り返す」と記述されている空欄Cが該当します。
※ディシジョン・ツリー分析(空欄B)から選択肢を絞ることができない設定になっていますが、空欄AとCのどちらからでも選択肢は2つに絞り込むことができます。
冒頭の解説より、「A:シナリオ分析 B:ディシジョン・ツリー分析 C:モンテカルロ・シミュレーション」の組み合わせであるため正解の選択肢となります。
冒頭の解説より、「A:シナリオ分析 B:ディシジョン・ツリー分析 C:モンテカルロ・シミュレーション」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、「A:シナリオ分析 B:ディシジョン・ツリー分析 C:モンテカルロ・シミュレーション」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、「A:シナリオ分析 B:ディシジョン・ツリー分析 C:モンテカルロ・シミュレーション」の組み合わせであるため不適切な選択肢です。
【補足】
割引キャッシュフロー法に関する問題は2次試験でも出題されるため、計算させるパターンが一般的です。
本問のような用語の理解を問う内容もイレギュラーで出題されますが、キーワードだけサクッと覚えておき、本試験で対応できれば十分です。
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