中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問43 (財務・会計 問16)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問43(財務・会計 問16) (訂正依頼・報告はこちら)

ポートフォリオ理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 危険回避的な投資家にとって、実現可能な最小分散ポートフォリオを選択することが最適となる。
  • 効率的フロンティア上の点は、平均収益率と分散可能でないリスクの最適な組み合わせを表したものである。
  • 個々の危険資産のリスクの一部は、危険資産のリターンが完全に正相関の場合に、資産の組み合わせで取り除くことができる。
  • 市場ポートフォリオは、効率的フロンティアの形状、リスクフリー・レートの値、投資家の危険回避度に依存する。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、ポートフォリオ理論に関する理解を問うものです。ポートフォリオ理論では、投資家がリスクを管理しながら収益率を最大化する方法を考え、効率的フロンティアや市場ポートフォリオの概念が重要な役割を果たします。また、リスク分散を通じて、リスクを最小化するアプローチも基本概念の一つです。

選択肢1. 危険回避的な投資家にとって、実現可能な最小分散ポートフォリオを選択することが最適となる。

危険回避的な投資家にとって最適なポートフォリオは、必ずしも実現可能な最小分散ポートフォリオとは限りません。危険回避的な投資家は、期待収益率とリスクのバランスを重視し、効率的フロンティア上で収益率を最大化するポートフォリオを選ぶ傾向があります。

選択肢2. 効率的フロンティア上の点は、平均収益率と分散可能でないリスクの最適な組み合わせを表したものである。

効率的フロンティア上の点は、あるリスク水準に対して得られる最大の収益率、またはある収益率に対して最小のリスクの組み合わせを表します。効率的フロンティアは分散可能でないリスクと収益の最適な組み合わせを示すものです。

選択肢3. 個々の危険資産のリスクの一部は、危険資産のリターンが完全に正相関の場合に、資産の組み合わせで取り除くことができる。

資産のリターンが完全に正相関の場合、ポートフォリオのリスクは分散できません。リターンが異なる動きをする資産を組み合わせることでリスクを分散できますが、完全に正相関の資産ではリスク分散効果が得られません。

選択肢4. 市場ポートフォリオは、効率的フロンティアの形状、リスクフリー・レートの値、投資家の危険回避度に依存する。

市場ポートフォリオは、効率的フロンティア上の一点として、すべての投資家が保有するリスク資産の組み合わせです。市場ポートフォリオ自体は投資家の危険回避度に依存せず、すべてのリスク資産の平均的な組み合わせを指します。

まとめ

効率的フロンティアは、特定のリスクに対して得られる最大の収益率、または特定の収益率に対して最小のリスクを示すポートフォリオの組み合わせを表します。

リスク分散効果は、資産のリターンが完全に正相関でない場合に得られ、異なる動きをする資産を組み合わせることでポートフォリオ全体のリスクを低減できます。

市場ポートフォリオは、すべての投資家がリスク資産に分散投資した場合に選択される効率的なポートフォリオであり、投資家の危険回避度には依存しません。

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02

ポートフォリオ理論に関する問題です。

 

文章で記述されると難易度が増すため、次のような図を問題用紙の余白に描いて正誤判断する方が無難です。(下図と名称は覚えておきましょう)

選択肢1. 危険回避的な投資家にとって、実現可能な最小分散ポートフォリオを選択することが最適となる。

危険回避的な投資家にとって、実現可能な最小分散ポートフォリオを選択することが最適ではないため不適切な選択肢です。

 

危険回避的な投資家にとっての最適点は、安全資産を含む資本市場線と接している「接点ポートフォリオ」であると考えられます。

 

選択肢2. 効率的フロンティア上の点は、平均収益率と分散可能でないリスクの最適な組み合わせを表したものである。

効率的フロンティア上の点とは、解説の図の点線部分(市場ポートフォリオ)上の各点となります。

 

グラフの縦軸と横軸は、平均収益率(縦軸)と分散可能でないリスク(横軸)を表しており、市場ポートフォリオ上のどの点を取るかによって最適な組み合わせが変化するため正解の選択肢となります。

 

※収益率を高くしようとするとリスクが高くなり(ハイリスク・ハイリターン)、リスクを低くしようとすると収益率も低くなります(ローリスク・ローリターン)。この矛盾する2つのバランスがちょうど良くなる点が最適な組み合わせとなります。

 

選択肢3. 個々の危険資産のリスクの一部は、危険資産のリターンが完全に正相関の場合に、資産の組み合わせで取り除くことができる。

個々の危険資産のリスクの一部は、危険資産のリターンが完全に負相関の場合に資産の組み合わせで取り除くことができるため不適切な選択肢です。

 

正の相関とは、全ての資産が完全に同じ値動きをすることです。つまり、全ての資産が同じように値上がり(または値下がり)することです。これでは、リスクを取り除くことはできません。

 

負の相関とは、全ての資産が個別にバラバラの値動きをすることです。値上がりする資産と値下がりする資産とのバランスで、リスクの軽減を図っています。

選択肢4. 市場ポートフォリオは、効率的フロンティアの形状、リスクフリー・レートの値、投資家の危険回避度に依存する。

市場ポートフォリオとは解説の図の点線部分になり、効率的フロンティアの形状とリスクフリー・レートの値に依存します。

 

ただし、投資家の危険回避度というのは資本市場線上のどの位置を選択するかによって決まるため、市場ポートフォリオとは関係がなく不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

ポートフォリオ理論では、異なる値動きをする安全資産とリスク資産を組み合わせて「負の相関」によりリスクの低減を図りますが、リスクを完全に取り除くことはできません。これが、正解の選択肢の選択肢で述べられている「分散可能でないリスク」(システマチック・リスク、市場リスクともいいます)です。

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