中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問51 (企業経営理論 問2)
問題文
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
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問題
中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問51(企業経営理論 問2) (訂正依頼・報告はこちら)
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- PPMでは、成長市場に位置づけられキャッシュ・フローを最も生み出す「問題児」事業よりも、「負け犬」事業を削減する方が重要である。
- PPMでは、縦軸に自社の事業の成長率、横軸に相対的な市場シェアをとり、その中での各事業のポジションに応じて、キャッシュの分配が決定される。
- PPMでは、「花形」事業は、他の事業へ資金供給することが最も重要な役割である。
- PPMでは、「問題児」事業から撤退するか否かは、成長率、収益性に加え、自社のドメインとの適合性の観点からも判断される。
- PPMでは、ライバルである他社を買収し生産規模を拡大すれば、「金のなる木」事業を「花形」事業にすることができる。
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この過去問の解説 (3件)
01
PPMの基本知識を理解できているかを問う問題です。
PPMとは縦軸に市場成長率、横軸に市場占有率を取り各事業がどのポジションに位置づけられるかを分析し、各事業の取るべき戦略を判断するものです。
市場成長率と市場占有率によって以下の4つに分類します。
花形
市場成長率も市場占有率も高い事業です。
キャッシュインが多いのですが、多額の投資が必要でもあります。
金のなる木
市場成長率は低く、市場占有率は高い事業です。
安定して利益を上げることはできますが、成長が期待できないため、利益を他の事業の成長に再投資する判断が必要です。
問題児
市場成長率は高く、市場占有率は低い事業です。
利益は出ていませんが、市場の成長は見込まれるため、再投資により花形へと成長させていく戦略が重要なポイントになります。
負け犬
市場成長率も市場占有率も低い事業です。
成長も見込めず、シェアも低いため売却や撤退などを検討します。
各選択肢をそれぞれ解説します。
問題児は成長市場に位置づけられはしますが、市場占有率が低いためキャッシュ・フローを最も生み出すという点は不適切です。
そのため本選択肢は不正解です。
横軸は合っていますが、縦軸にとるのは市場成長率です。
そのため本選択肢は不正解です。
花形はキャッシュを生み出しますが、競争が激しく多額の投資も必要であるため、他の事業への資金供給を担うのは適切ではありません。
選択肢の役割を担うのに適切なのは金のなる木です。
そのため本選択肢は不正解です。
問題児の事業に対する判断として適切であるため、本選択肢が正解です。
金のなる木と花形事業の違いの一つは、市場成長率です。
買収によって市場成長が活発になるとは限らないため、本選択肢は不正解です。
PPMについての基礎知識はもちろんですが、花形など4つのタイプのマトリクスがイメージできれば正解するのは難しくありませんでした。
本問のような内容が出題されたら、すぐにイメージできるように学習しておきましょう。
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02
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する問題です。
・問題児
市場シェアが低く、市場成長率が高いです。
投資をして花形に成長させていくか、撤退するかを判断すべきものです。
・花形
市場シェア、市場成長率がともに高いです。
収益を上げていますが、競合に負けないように投資も必要です。
・金のなる木
市場シェアが高く、市場成長率が低いです。
ここで上げた収益を他に投資することができます。
・負け犬
市場シェア、市場成長率がともに低いです。
撤退を考える必要があります。
キャッシュ・フローを最も生み出すのは、花形、または、金のなる木です。
そのため誤った選択肢です。
PPMの縦軸は市場の成長率です。
そのため誤った選択肢です。
他の事業へ資金供給することが最も重要な役割なのは金のなる木です。
そのため誤った選択肢です。
問題児の正しい説明となっています。
そのため、正しい選択肢です。
金のなる木と花形の違いは、市場の成長率の高さです。
そのため、生産規模によって花形、金のなる木は決まらず誤った選択肢です。
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03
プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント(PPM)に関する問題です。
縦軸に市場の成長率、横軸に相対的な市場シェアをとり、以下の4つの象限が配置されます。
各象限の、市場シェアと市場成長率の高低を比較して覚えてください。
・問題児
現在、成長しており、将来的に主力事業となる可能性がある段階。
市場シェアは低いが、市場成長率は高い。
・花形
現在、主力事業となりつつあり、更なる成長のために獲得したキャッシュを再投資する必要がある段階。
市場シェア・市場成長率ともに高い。
・金のなる木
主力事業であり、名前の通りキャッシュを生み出している段階。
獲得したキャッシュは、次なる成長事業を育成するために「問題児」事業へと投入する。
市場は成熟しており成長が鈍化し、撤退する企業も出てきている。
市場シェアは高いが、市場成長率は低い(低下してきている)。
・負け犬
市場そのものが縮小している段階で、もはや成長は期待できない。
基本戦略は撤退だが、事業を維持できるだけの収益が見込める場合は事業を継続して、あえて残存者利益を狙う戦略もあり得る。
(殆どの企業は撤退することから、他企業のユーザーを取り込みシェアを独占できる可能性があるため)
市場シェア・市場成長率ともに低い。
一般的に、「問題児→花形→金のなる木→負け犬」という流れを辿りますが、(本問で問われている選択肢がありますが)成長していても途中で撤退してしまう事業もあります。(全ての事業が、衰退してから撤退していくわけではない)
冒頭の解説より、PPMでは次なる成長事業を育成するために、「負け犬」事業を削減する方よりも成長市場に位置づけられキャッシュ・フローを最も生み出す「問題児」事業の方が重要であるため不適切な選択肢です。
※「負け犬」事業の削減が重要ではないという意味ではなく、相対的に成長事業の育成が重視されているということです。
(「負け犬」事業が赤字を垂れ流しているのであれば、速やかに撤退を決断しなければなりません)
冒頭の解説より、縦軸に市場の成長率を取る(横軸の相対的な市場シェアは正しい)ため、不適切な選択肢です。
冒頭の解説より、他の事業へ資金供給するのは「金のなる木」事業のため不適切な選択肢です。
※花形事業自身が、更なる成長のために獲得したキャッシュを再投資する必要があります。
PPMでは、「問題児」事業から撤退するか否かは、成長率、収益性に加え、自社のドメインとの適合性の観点からも判断されるため正解の選択肢です。
「問題児」事業の全てが、キャッシュを投入されて花形事業へ成長していくわけではありません。本選択肢にあるように、その問題児事業自身の成長率や収益性に加え、問題児事業が自社のドメインと適合しないと判断された場合は、たとえ優秀な事業であっても撤退することはあり得ます。
ライバルである他社を買収し生産規模を拡大しても、「金のなる木」事業を「花形」事業にすることができるとは言い切れないため不適切な選択肢です。
また、冒頭の解説より、事業は「問題児→花形→金のなる木→負け犬」という流れを辿るため、事業の成長段階に逆行しており違和感があります。
【補足】
PPMは頻出論点です。本問では4つの象限の特徴に加えて、縦軸と横軸に取る指標も問われており、復習に最適です。
直近5年間の過去問題で復習して、必ず正答できるようにしておきましょう。
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