中小企業診断士の過去問
令和5年度 再試験(2023年)
企業経営理論 問1

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度 再試験(2023年) 問1 (訂正依頼・報告はこちら)

戦略計画学派を形成したH. I.アンゾフの意思決定論に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 価格設定とアウトプットの水準、マーケティング戦略の策定、パフォーマンスの監視など、企業の資源転換プロセスの能率を最適化するような意思決定を「管理的な意思決定」と呼ぶ。
  • 環境が安定している場合、「日常業務的な意思決定」よりも「戦略的な意思決定」にマネジャーの関心が向けられる。
  • 企業が経営資源を財・サービスに転換して利潤を追求するとき、環境に合わせて自社の目的を設定し、それに適合した最良の可能性を提供する資源配分パターンを作り出すことを「戦略的な意思決定」と呼ぶ。
  • 最適なパフォーマンスを求めて自社資源の構造づくりをするような意思決定を「日常業務的な意思決定」と呼び、組織づくりはそれに含まれる。

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この過去問の解説 (1件)

01

この問題は、H.I.アンゾフの意思決定論における「戦略的な意思決定」や「管理的な意思決定」、「日常業務的な意思決定」の分類について理解することがポイントです。アンゾフは意思決定を戦略的な視点から分析し、企業が環境に適応しつつ経営資源を活用するための意思決定を段階的に分類しました。

選択肢1. 価格設定とアウトプットの水準、マーケティング戦略の策定、パフォーマンスの監視など、企業の資源転換プロセスの能率を最適化するような意思決定を「管理的な意思決定」と呼ぶ。

アンゾフの「管理的な意思決定」は、企業資源の効率的な運用を通して日々のオペレーションを最適化する意思決定を指しますが、選択肢に挙げられた「価格設定」「アウトプットの水準」「マーケティング戦略の策定」などは「戦略的な意思決定」に分類されることが多い項目です。したがって、この選択肢は不適切です。

選択肢2. 環境が安定している場合、「日常業務的な意思決定」よりも「戦略的な意思決定」にマネジャーの関心が向けられる。

環境が安定している場合、企業は日常業務的な意思決定に注力することが一般的です。逆に、不確実で変動が大きい環境では、企業は環境への対応を重視するため、「戦略的な意思決定」に重点を置くことが多くなります。

選択肢3. 企業が経営資源を財・サービスに転換して利潤を追求するとき、環境に合わせて自社の目的を設定し、それに適合した最良の可能性を提供する資源配分パターンを作り出すことを「戦略的な意思決定」と呼ぶ。

この記述はアンゾフの「戦略的な意思決定」の定義に沿っています。戦略的な意思決定とは、企業が外部環境に適応しつつ経営資源の最適な配分を行う意思決定のことです。企業全体の方向性や成長戦略を決定する重要な意思決定といえます。したがって、この選択肢が正解です。

選択肢4. 最適なパフォーマンスを求めて自社資源の構造づくりをするような意思決定を「日常業務的な意思決定」と呼び、組織づくりはそれに含まれる。

「日常業務的な意思決定」は、短期的な業務遂行に関する意思決定です。企業資源の構造や組織づくりは、企業全体の長期的な方向性に関わるため、「管理的な意思決定」や「戦略的な意思決定」に含まれます。

まとめ

戦略的な意思決定:企業の方向性や成長戦略に関する意思決定で、外部環境の変化に合わせて経営資源の最適な配分を行うもの。

管理的な意思決定:企業資源を効率的に活用し、運営の効率や能率を向上させるための意思決定(人材管理や組織構造の変更など)。

日常業務的な意思決定:日常の業務遂行に関する短期的な意思決定で、主にオペレーションに関わる意思決定。

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