中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問52 (企業経営理論 問3)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問52(企業経営理論 問3) (訂正依頼・報告はこちら)

G.ハメルとC. K.プラハラードによるコア・コンピタンスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるが、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客が必ずしも理解している必要はない。
  • コア・コンピタンスは、個々のスキルや技術を束ねたものであり、ユニークな競争能力であるためには、企業が独占的に個々のスキルや技術を所有していることが必要である。
  • コア・コンピタンスは、特定の製品や業界と深く結びついているものであり、複数の製品や業界に展開すると、その有効性や価値は減少する。
  • コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」であり、貸借対照表上の1科目として計上される。
  • コア・コンピタンスを活用し、製品や市場での競争を有利に進めていくためには、垂直統合によって一貫した製造・販売を手がけ、顧客価値を最大化することが必要である。

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この過去問の解説 (3件)

01

コア・コンピタンスとは企業が競争優位の地位を得るための源泉となる技術や設備のことです。

以下の3つのような特徴を持ちます。

 

1.独自性

2.再現性の難易度が高い

3.活用できる範囲が広い

 

以上を踏まえて各選択肢を解説します。

選択肢1. コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるが、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客が必ずしも理解している必要はない。

コア・コンピタンスとはあくまでも価値をもたらす個々のスキルや技術を指しているため、それ自体を顧客が理解しているかどうかは関係ありません。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢2. コア・コンピタンスは、個々のスキルや技術を束ねたものであり、ユニークな競争能力であるためには、企業が独占的に個々のスキルや技術を所有していることが必要である。

独占的にスキルや技術を保有していたとしても、それらを活用できていなければ競争優位を獲得できません

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. コア・コンピタンスは、特定の製品や業界と深く結びついているものであり、複数の製品や業界に展開すると、その有効性や価値は減少する。

コア・コンピタンスの特徴の一つとして広い活用性が挙げられるので本選択肢は不正解です。

選択肢4. コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」であり、貸借対照表上の1科目として計上される。

コア・コンピタンスの説明としては不適切であるため、本選択肢は不正解です。

選択肢5. コア・コンピタンスを活用し、製品や市場での競争を有利に進めていくためには、垂直統合によって一貫した製造・販売を手がけ、顧客価値を最大化することが必要である。

垂直統合した結果、専門性がなくなり場合によってコア・コンピタンスを失うことも起こり得ます

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

コア・コンピタンスは企業の競争力の元となる重要な論点のため出題可能性が高いです。

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02

コア・コンピタンスに関する問題です。

 

コア・コンピタンスとは、企業が競争優位性を確立し、持続的に発展するために欠かせない、かつ他社が模倣困難な核(コア)となる能力(コンピタンス)です。

 

コア・コンピタンスでは、次の5点について考慮する必要があります。

・模倣可能性(Imitability):他社が模倣する時に莫大なコストがかかるかどうか。

・移転可能性(Transferability):自社の様々な事業領域に応用可能かどうか。

・代替可能性(Substitutability):他社の製品やサービスは代替可能かどうか。

・希少性(Scarcity):他社にはない希少なコンピタンスであるかどうか。

・耐久性(Durability):長期的に、競争優位性を確保できる能力であるか。

選択肢1. コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるが、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客が必ずしも理解している必要はない。

冒頭の解説より、コア・コンピタンスは自社と他社との相対的な比較であるため、顧客が認知する価値を顧客が必ずしも理解している必要はありません。

 

したがって、正解の選択肢となります。

選択肢2. コア・コンピタンスは、個々のスキルや技術を束ねたものであり、ユニークな競争能力であるためには、企業が独占的に個々のスキルや技術を所有していることが必要である。

冒頭の解説より、企業が独占的に個々のスキルや技術を所有していることが必要かどうかは、考慮する5点には含まれていないため不適切な選択肢です。

選択肢3. コア・コンピタンスは、特定の製品や業界と深く結びついているものであり、複数の製品や業界に展開すると、その有効性や価値は減少する。

冒頭の解説の「移転可能性」より、複数の製品や業界に展開すると、その有効性や価値は増加すると考えられるため不適切な選択肢です。

選択肢4. コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」であり、貸借対照表上の1科目として計上される。

冒頭の解説より、コア・コンピタンスは「無形資産」と捉えることができ、貸借対照表に無形資産という勘定項目は存在しますが、貸借対照表上の1科目として計上されると言い切れるものではないため不適切な選択肢です。

 

※コア・コンピタンスとなる資産を知的財産権化しており、他社にライセンス供与して収入を得ている場合は貸借対照表に計上する必要があります。

選択肢5. コア・コンピタンスを活用し、製品や市場での競争を有利に進めていくためには、垂直統合によって一貫した製造・販売を手がけ、顧客価値を最大化することが必要である。

冒頭の解説より、顧客価値を最大化するために、垂直統合によって一貫した製造・販売を手がけることが必要であるかどうかは、考慮する5点には含まれていないため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

企業内に蓄積された能力を他社との競争のために活用するのは「リソース・ベースド・ビュー(経営資源に基づく企業戦略理論)」という考え方であり、コア・コンピタンスと親和性の高いものにはVRIO分析があります。

 

この領域の出題頻度は高く、何らかの論点が毎年のように出題されています。

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03

コア・コンピタンスとは、競合他社にはない、自社独自の強みのことです。

 

コア・コンピタンスは、下記の5つの軸で評価することができます。

模倣可能性(Imitability):他社に模倣されにくいか

移動可能性(Transferability):他の事業にも応用が利くか

代替可能性(Substitutability):他のものに置き換えられないか

希少性(Scarcity):技術や特性が珍しいか

耐久性(Durability):長期的に優位性を保てるか

選択肢1. コア・コンピタンスは、顧客が認知する価値を高めるスキルや技術の集合体であるが、その価値をもたらす個々のスキルや技術を顧客が必ずしも理解している必要はない。

コア・コンピタンスとは、競合他社にはない、自社独自の強みのことであり、顧客が理解している必要はありません。

そのため、正しい選択肢です。

選択肢2. コア・コンピタンスは、個々のスキルや技術を束ねたものであり、ユニークな競争能力であるためには、企業が独占的に個々のスキルや技術を所有していることが必要である。

個々のスキルや技術を独占していなくても、組み合わせ方に独自性があればユニークな競争能力となります。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢3. コア・コンピタンスは、特定の製品や業界と深く結びついているものであり、複数の製品や業界に展開すると、その有効性や価値は減少する。

コア・コンピタンスは、自社の独自の強みであるため、複数の製品や業界に展開しても、他社に模倣されなければ有効性や価値は減少しません。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢4. コア・コンピタンスは、他の競争優位の源泉となり得る生産設備や特許権のような会計用語上の「資産」であり、貸借対照表上の1科目として計上される。

コア・コンピタンスは、自社の独自の強みであり、貸借対照表上の科目として表現できるものと、できないものがあります。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢5. コア・コンピタンスを活用し、製品や市場での競争を有利に進めていくためには、垂直統合によって一貫した製造・販売を手がけ、顧客価値を最大化することが必要である。

自社の強みを活用するために、垂直統合が必要とはいえません。

そのため、誤った選択肢です。

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