中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問62 (企業経営理論 問13)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問62(企業経営理論 問13) (訂正依頼・報告はこちら)

動機づけ理論の1つである期待理論に則した管理者の判断と行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • 仕事に対する部下のモチベーションを高めるために、部下の目標達成度を職場で公表して競争心を刺激した。
  • 特定の目標を達成したことへの見返りとして報酬を与えると、部下は特定の目標だけを追求するようになるため、目標達成と報酬との関連性を曖昧にするかたちで部下を処遇した。
  • 努力しても達成の見込みが立てづらい挑戦的な目標は、部下のモチベーションを阻害する恐れがあるため、目標達成の見込みを部下が持てるように、部下の職務遂行能力を高めることに注力した。
  • 目標を達成することで与えられる報酬が部下にとっていかに魅力的であるかを強調して伝えることは、仕事自体に対する部下の内発的なモチベーションを阻害する恐れがあるため控えるようにした。
  • 目標を達成できるかどうかは実際に行動してみないとわからないため、結果を予測するよりも、まずは行動することで経験を積み重ねながら学習するように部下を促した。

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この過去問の解説 (3件)

01

モチベーション理論の一つである期待理論についての出題です。

期待理論とは、期待性と道具性と誘意性によりモチベーションが上下するという考え方です。

 

期待性とは、特定の行動を行った結果、望んでいるものが手に入れられるということです。

道具性とは、特定の目標を達成した後に、その結果や成果が次の目標に活用できるかということです。

誘意性とは、結果や報酬が魅力的な価値を持っているかどうかということです。

 

この3つの要因を掛け合わせたものが、モチベーションを表す公式とされています。

 

モチベーション = 期待性 x 道具性 x 誘意性

 

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 仕事に対する部下のモチベーションを高めるために、部下の目標達成度を職場で公表して競争心を刺激した。

達成度を公表したとしてもモチベーションが高めるとは考えません。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 特定の目標を達成したことへの見返りとして報酬を与えると、部下は特定の目標だけを追求するようになるため、目標達成と報酬との関連性を曖昧にするかたちで部下を処遇した。

目標達成と報酬との関連性を曖昧だと、モチベーションが下がる恐れがあります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 努力しても達成の見込みが立てづらい挑戦的な目標は、部下のモチベーションを阻害する恐れがあるため、目標達成の見込みを部下が持てるように、部下の職務遂行能力を高めることに注力した。

高い目標を設定しても達成できなければモチベーションは上がらないため、職務遂行能力を成長させるのは正しい対処です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢4. 目標を達成することで与えられる報酬が部下にとっていかに魅力的であるかを強調して伝えることは、仕事自体に対する部下の内発的なモチベーションを阻害する恐れがあるため控えるようにした。

報酬の魅力を控えて伝えると、誘意性に悪い影響を与えてモチベーションが下がる恐れがあります。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢5. 目標を達成できるかどうかは実際に行動してみないとわからないため、結果を予測するよりも、まずは行動することで経験を積み重ねながら学習するように部下を促した。

達成できる見込みがまったくない状態ではモチベーションが下がりかねません。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

モチベーション理論は一次試験だけではなく、二次試験でも重要ですので学習しておきましょう。

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02

動機づけ理論の1つである期待理論に関する問題です。

 

期待理論の要諦は、以下の3つです。
努力をすれば成果が出ると信じているほど、モチベーションが高まる

・目標を達成して得られる成果が自分にとって魅力的な報酬につながると信じているほど、モチベーションが高まる

・目標を達成して得られる報酬の価値が高いほど、モチベーションが高まる

選択肢1. 仕事に対する部下のモチベーションを高めるために、部下の目標達成度を職場で公表して競争心を刺激した。

部下の目標達成度を職場で公表することは、管理者の判断や行動としてふさわしくありません

 

目標達成度は上司と部下との人事評価などの場で開示されるべきであり、不適切な選択肢です。

選択肢2. 特定の目標を達成したことへの見返りとして報酬を与えると、部下は特定の目標だけを追求するようになるため、目標達成と報酬との関連性を曖昧にするかたちで部下を処遇した。

目標達成と報酬との関連性を曖昧にすることは、管理者の判断や行動としてふさわしくありません

 

目標達成と報酬との関連性を明確にして部下を処遇するべきであり、不適切な選択肢です。

選択肢3. 努力しても達成の見込みが立てづらい挑戦的な目標は、部下のモチベーションを阻害する恐れがあるため、目標達成の見込みを部下が持てるように、部下の職務遂行能力を高めることに注力した。

挑戦的な目標に対して、達成の見込みを部下が持てるように部下の職務遂行能力を高めることに注力したことは管理者の判断や行動として適切であり、正解の選択肢となります。

 

一般的には、少し努力すれば達成できるような目標(ストレッチ目標)を立てることが望ましいとされますが、努力しても達成の見込みが立てづらい「挑戦的」な目標が設定されているのであれば部下の職務遂行能力を高める支援を行なう必要があるため、適切な対応です。

選択肢4. 目標を達成することで与えられる報酬が部下にとっていかに魅力的であるかを強調して伝えることは、仕事自体に対する部下の内発的なモチベーションを阻害する恐れがあるため控えるようにした。

目標を達成することで与えられる報酬が部下にとっていかに魅力的であるかを強調して伝えることを控えるのは、管理者の判断や行動としてふさわしくありません

 

報酬はモチベーションを高める要因の一つであるため、、不適切な選択肢です。

選択肢5. 目標を達成できるかどうかは実際に行動してみないとわからないため、結果を予測するよりも、まずは行動することで経験を積み重ねながら学習するように部下を促した。

結果を予測するよりも、まずは行動することで経験を積み重ねながら学習するように部下を促したことは、管理者の判断や行動としてふさわしくありません

 

目標を達成できるかどうかは実際に行動してみないとわかりませんが、そもそも目標がなければ行動しようとする意欲が起こりません。

目標を定めた上で、部下が経験を積み重ねながら目標を達成できるように支援することが管理者の判断や行動として求められるため、不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

動機付け理論は定番の論点のため、報酬は「衛生要因」であることはご存じであると思います。つまり、一時的にはモチベーションを高めますが、報酬を貰えることが当たり前になるとモチベーションは高まらなくなります。

 

そのため、報酬=内発的モチベーションを阻害すると判断した方もいると思いますが、期待理論の内容は冒頭の解説の通りとなります。

(報酬により、一時的であっても内発的モチベーションは促進されます)

 

正誤判断で迷うとすれば、正解の選択肢との2択かと思います。

参考になった数3

03

期待理論とは、行動による結果への期待値と、得られる報酬の魅力によってモチベーションが決まるという考え方です。

選択肢1. 仕事に対する部下のモチベーションを高めるために、部下の目標達成度を職場で公表して競争心を刺激した。

期待理論において、競争心によってモチベーションは決まりません。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢2. 特定の目標を達成したことへの見返りとして報酬を与えると、部下は特定の目標だけを追求するようになるため、目標達成と報酬との関連性を曖昧にするかたちで部下を処遇した。

期待理論において、目標達成と報酬の関連性は明確にする必要があります。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢3. 努力しても達成の見込みが立てづらい挑戦的な目標は、部下のモチベーションを阻害する恐れがあるため、目標達成の見込みを部下が持てるように、部下の職務遂行能力を高めることに注力した。

目標達成への見込みが高いほどモチベーションは高くなります。

そのため、正しい選択肢です。

選択肢4. 目標を達成することで与えられる報酬が部下にとっていかに魅力的であるかを強調して伝えることは、仕事自体に対する部下の内発的なモチベーションを阻害する恐れがあるため控えるようにした。

報酬の魅力が強調されているほど、モチベーションは高くなります。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢5. 目標を達成できるかどうかは実際に行動してみないとわからないため、結果を予測するよりも、まずは行動することで経験を積み重ねながら学習するように部下を促した。

目標達成への見込みが低いほどモチベーションは低くなります。

そのため、誤った選択肢です。

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