中小企業診断士の過去問
令和5年度 再試験(2023年)
企業経営理論 問14

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問題

中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和5年度 再試験(2023年) 問14 (訂正依頼・報告はこちら)

複雑な意思決定を行うにあたり、人は経験や直感に頼ることで意思決定の簡略化を図ることが多い。そのような簡略化の方法をヒューリスティックと呼ぶ。ヒューリスティックによって、意思決定を素早くできるようになる一方で、意思決定者の判断に認知バイアス(認知の偏り)が生じやすくなることが知られている。
意思決定におけるヒューリスティックと認知バイアスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ある事態が将来起こる可能性を推測するにあたって、いかにも典型的だと思われる過去の事例を判断の根拠として、それと同様のことが将来起こる可能性を過大に見積もる認知バイアスを「確証バイアス」と呼ぶ。
  • ある出来事の結果を事前に正確に予測できていなかったにもかかわらず、その結果が明らかになった後になって、結果を正確に予測できていたと誤って思い込む認知バイアスを「自己奉仕バイアス」と呼ぶ。
  • 過去に行った選択の正しさを支持する情報を探し求める一方で、過去に下した判断と矛盾する情報を軽視する認知バイアスを「後知恵バイアス」と呼ぶ。
  • 第一印象のような最初に与えられた情報に固執するあまり、その後に与えられた情報を意思決定に適切に活用できなくなる認知バイアスを「アンカリング・バイアス」と呼ぶ。
  • 身近な環境で最近起こった出来事やマスコミで大々的に報道された出来事は、人間の記憶に鮮明に残りやすいため、それらから得た情報を用いて素早く判断を下す方法を「代表性ヒューリスティック」と呼ぶ。

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この過去問の解説 (1件)

01

ヒューリスティックと認知バイアスについて簡単にまとめてみます

 

名称内容
確証バイアス自身の意見や仮説を支持する情報ばかりを集めて、反対意見は取り入れないことです。
自己奉仕バイアス

自分の成功や失敗を自己の都合が良いように解釈することです。

成功は自分の努力や能力のおかげで、失敗は環境や他人など外部に原因があると考えます。

後知恵バイアス特定のできごとが終わった後に、その結果は事前に予測できていたと考えることです。
アンカリング・バイアス最初に触れた情報(アンカー)が基準となってしまい、それ以外の情報はすべてアンカーを基準に判断や評価をしてしまうことです。
代表性ヒューリスティック

特定の事象や物を少ないサンプルや試行回数のみで、全体への評価をしてしまうことです。

 

利用可能性ヒューリスティック身近で最近起こったできごとや、マスコミで大々的に報道されて記憶に鮮明に残っている情報だけで判断をくだすことです。

 

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. ある事態が将来起こる可能性を推測するにあたって、いかにも典型的だと思われる過去の事例を判断の根拠として、それと同様のことが将来起こる可能性を過大に見積もる認知バイアスを「確証バイアス」と呼ぶ。

確証バイアスではなく、代表性ヒューリスティックのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. ある出来事の結果を事前に正確に予測できていなかったにもかかわらず、その結果が明らかになった後になって、結果を正確に予測できていたと誤って思い込む認知バイアスを「自己奉仕バイアス」と呼ぶ。

自己奉仕バイアスではなく、後知恵バイアスのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 過去に行った選択の正しさを支持する情報を探し求める一方で、過去に下した判断と矛盾する情報を軽視する認知バイアスを「後知恵バイアス」と呼ぶ。

後知恵バイアスではなく、確証バイアスのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 第一印象のような最初に与えられた情報に固執するあまり、その後に与えられた情報を意思決定に適切に活用できなくなる認知バイアスを「アンカリング・バイアス」と呼ぶ。

アンカリング・バイアスの説明として適切です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢5. 身近な環境で最近起こった出来事やマスコミで大々的に報道された出来事は、人間の記憶に鮮明に残りやすいため、それらから得た情報を用いて素早く判断を下す方法を「代表性ヒューリスティック」と呼ぶ。

代表性ヒューリスティックではなく、利用可能性ヒューリスティックのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

選択肢の内容をよく読めば内容や各用語の意味するところから正解を絞り込めたかもしれません。

優先して学習する必要はあまり高くない内容でもありました。

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