中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問63 (企業経営理論 問14)

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問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問63(企業経営理論 問14) (訂正依頼・報告はこちら)

複雑な意思決定を行うにあたり、人は経験や直感に頼ることで意思決定の簡略化を図ることが多い。そのような簡略化の方法をヒューリスティックと呼ぶ。ヒューリスティックによって、意思決定を素早くできるようになる一方で、意思決定者の判断に認知バイアス(認知の偏り)が生じやすくなることが知られている。
意思決定におけるヒューリスティックと認知バイアスに関する記述として、最も適切なものはどれか。
  • ある事態が将来起こる可能性を推測するにあたって、いかにも典型的だと思われる過去の事例を判断の根拠として、それと同様のことが将来起こる可能性を過大に見積もる認知バイアスを「確証バイアス」と呼ぶ。
  • ある出来事の結果を事前に正確に予測できていなかったにもかかわらず、その結果が明らかになった後になって、結果を正確に予測できていたと誤って思い込む認知バイアスを「自己奉仕バイアス」と呼ぶ。
  • 過去に行った選択の正しさを支持する情報を探し求める一方で、過去に下した判断と矛盾する情報を軽視する認知バイアスを「後知恵バイアス」と呼ぶ。
  • 第一印象のような最初に与えられた情報に固執するあまり、その後に与えられた情報を意思決定に適切に活用できなくなる認知バイアスを「アンカリング・バイアス」と呼ぶ。
  • 身近な環境で最近起こった出来事やマスコミで大々的に報道された出来事は、人間の記憶に鮮明に残りやすいため、それらから得た情報を用いて素早く判断を下す方法を「代表性ヒューリスティック」と呼ぶ。

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この過去問の解説 (3件)

01

ヒューリスティックと認知バイアスについて簡単にまとめてみます

 

名称内容
確証バイアス自身の意見や仮説を支持する情報ばかりを集めて、反対意見は取り入れないことです。
自己奉仕バイアス

自分の成功や失敗を自己の都合が良いように解釈することです。

成功は自分の努力や能力のおかげで、失敗は環境や他人など外部に原因があると考えます。

後知恵バイアス特定のできごとが終わった後に、その結果は事前に予測できていたと考えることです。
アンカリング・バイアス最初に触れた情報(アンカー)が基準となってしまい、それ以外の情報はすべてアンカーを基準に判断や評価をしてしまうことです。
代表性ヒューリスティック

特定の事象や物を少ないサンプルや試行回数のみで、全体への評価をしてしまうことです。

 

利用可能性ヒューリスティック身近で最近起こったできごとや、マスコミで大々的に報道されて記憶に鮮明に残っている情報だけで判断をくだすことです。

 

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. ある事態が将来起こる可能性を推測するにあたって、いかにも典型的だと思われる過去の事例を判断の根拠として、それと同様のことが将来起こる可能性を過大に見積もる認知バイアスを「確証バイアス」と呼ぶ。

確証バイアスではなく、代表性ヒューリスティックのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. ある出来事の結果を事前に正確に予測できていなかったにもかかわらず、その結果が明らかになった後になって、結果を正確に予測できていたと誤って思い込む認知バイアスを「自己奉仕バイアス」と呼ぶ。

自己奉仕バイアスではなく、後知恵バイアスのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 過去に行った選択の正しさを支持する情報を探し求める一方で、過去に下した判断と矛盾する情報を軽視する認知バイアスを「後知恵バイアス」と呼ぶ。

後知恵バイアスではなく、確証バイアスのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢4. 第一印象のような最初に与えられた情報に固執するあまり、その後に与えられた情報を意思決定に適切に活用できなくなる認知バイアスを「アンカリング・バイアス」と呼ぶ。

アンカリング・バイアスの説明として適切です。

そのため本選択肢が正解です。

選択肢5. 身近な環境で最近起こった出来事やマスコミで大々的に報道された出来事は、人間の記憶に鮮明に残りやすいため、それらから得た情報を用いて素早く判断を下す方法を「代表性ヒューリスティック」と呼ぶ。

代表性ヒューリスティックではなく、利用可能性ヒューリスティックのことです。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

選択肢の内容をよく読めば内容や各用語の意味するところから正解を絞り込めたかもしれません。

優先して学習する必要はあまり高くない内容でもありました。

参考になった数20

02

意思決定におけるヒューリスティックと認知バイアスに関する問題です。各選択肢で挙げられている用語を、以下に整理します。

 

・確証バイアス

自分の思い込みや願望を強化する情報ばかりに注目し、それに反する情報を軽視すること

 

・自己奉仕バイアス

成功した場合は自分の努力や能力の結果だとする一方で、失敗した場合には外部環境や他人のせいにすること

 

・後知恵バイアス

何かの出来事の結果が出てから、「自分はそうなると最初から思っていた」と考えること

 

・アンカリング・バイアス

最初に知った情報が基準となって、後々の判断や評価に影響を与えること

※船の錨(アンカー)に由来します。船は停泊地に留まるために錨を降ろして、その場から動かないようにします。

 

・代表性ヒューリスティック

見た目や特徴をもとに、物事の判断を行うこと

※例として、「背の高い人=牛乳をよく飲んでいる」「凶悪な犯罪を犯す人は、無職が多い」などです。

選択肢1. ある事態が将来起こる可能性を推測するにあたって、いかにも典型的だと思われる過去の事例を判断の根拠として、それと同様のことが将来起こる可能性を過大に見積もる認知バイアスを「確証バイアス」と呼ぶ。

冒頭の解説より、代表性ヒューリスティックの記述であるため不適切な選択肢です。

 

「いかにも典型的」とありますので、正誤判断しやすいかと思います。

選択肢2. ある出来事の結果を事前に正確に予測できていなかったにもかかわらず、その結果が明らかになった後になって、結果を正確に予測できていたと誤って思い込む認知バイアスを「自己奉仕バイアス」と呼ぶ。

冒頭の解説より、後知恵バイアスの記述であるため不適切な選択肢です。

 

選択肢3. 過去に行った選択の正しさを支持する情報を探し求める一方で、過去に下した判断と矛盾する情報を軽視する認知バイアスを「後知恵バイアス」と呼ぶ。

冒頭の解説より、確証バイアスの記述であるため不適切な選択肢です。

 

選択肢4. 第一印象のような最初に与えられた情報に固執するあまり、その後に与えられた情報を意思決定に適切に活用できなくなる認知バイアスを「アンカリング・バイアス」と呼ぶ。

冒頭の解説より、アンカリング・バイアスの記述であるため正解の選択肢となります。

選択肢5. 身近な環境で最近起こった出来事やマスコミで大々的に報道された出来事は、人間の記憶に鮮明に残りやすいため、それらから得た情報を用いて素早く判断を下す方法を「代表性ヒューリスティック」と呼ぶ。

本選択肢は利用可能性ヒューリスティックの記述であるため、不適切な選択肢です。

 

利用可能ヒューリスティックの例としては、航空機の事故が相次いで発生すると自分が搭乗する航空機も事故に遭うのではないかと考えて利用を敬遠するなどです。

まとめ

【補足】

 

行動経済学はノーベル賞を受賞したこともあり、出題の多い論点です。

 

過去問題では「集団浅慮(グループシンク)」など、企業内で行なわれる意思決定を行動経済学の観点から問う内容が出題されています。

参考になった数1

03

意思決定におけるヒューリスティックと認知バイアスに関する問題です。

 

確証バイアス:自分の仮説を支持する情報を集め、反証する情報を無視すること

自己奉仕バイアス:成功を自分の能力や努力によるものだと考え、失敗を環境や他者のせいにすること

後知恵バイアス:結果を知った後に、結果を予測可能であったと考えること

アンカリング・バイアス:最初に提示された情報がその後の意思決定に影響を与えること

代表性ヒューリスティック:事象や人物を判断する際に、その人が持つステレオタイプに基づいて判断してしまうこと

選択肢1. ある事態が将来起こる可能性を推測するにあたって、いかにも典型的だと思われる過去の事例を判断の根拠として、それと同様のことが将来起こる可能性を過大に見積もる認知バイアスを「確証バイアス」と呼ぶ。

代表性ヒューリスティックの説明となっています。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢2. ある出来事の結果を事前に正確に予測できていなかったにもかかわらず、その結果が明らかになった後になって、結果を正確に予測できていたと誤って思い込む認知バイアスを「自己奉仕バイアス」と呼ぶ。

後知恵バイアスの説明となっています。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢3. 過去に行った選択の正しさを支持する情報を探し求める一方で、過去に下した判断と矛盾する情報を軽視する認知バイアスを「後知恵バイアス」と呼ぶ。

確証バイアスの説明となっています。

そのため、誤った選択肢です。

選択肢4. 第一印象のような最初に与えられた情報に固執するあまり、その後に与えられた情報を意思決定に適切に活用できなくなる認知バイアスを「アンカリング・バイアス」と呼ぶ。

アンカリング・バイアスの説明となっています。

そのため、正しい選択肢です。

選択肢5. 身近な環境で最近起こった出来事やマスコミで大々的に報道された出来事は、人間の記憶に鮮明に残りやすいため、それらから得た情報を用いて素早く判断を下す方法を「代表性ヒューリスティック」と呼ぶ。

利用可能性ヒューリスティックの説明となっています。

そのため、誤った選択肢です。

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