中小企業診断士 過去問
令和5年度 再試験(2023年)
問94 (運営管理 問12)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

中小企業診断士試験 令和5年度 再試験(2023年) 問94(運営管理 問12) (訂正依頼・報告はこちら)

ある工場では、4台の機械設備を用いて2種類の製品X、Yを生産することができる。下表には、製品を1単位生産するのに必要な各機械の工数と製品を1単位生産して得られる単位利益、および現状で使用可能な各機械の工数が示されている。また、参考として、下表に示した各機械における使用可能工数の制約を次に図示している。
総利益を最も高くする方策として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
問題文の画像
  • 機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて12とする。
  • 機械Bの使用可能工数を現状から3引き上げて21とする。
  • 機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて28とする。
  • 機械Dの使用可能工数を現状から4引き上げて28とする。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (2件)

01

プロダクト・ミックスの計算ですが制約条件が複雑です。

実際に回答するときは条件に合わせた図を描きながら取り組むようにしましょう。

 

問題文で与えられている図から実際に生産可能な範囲を座標で示すと以下のようになります。

(X,Y)=(0,0),(4,0),(4,2),(0,6)

この範囲で得られる最大の利益は24となりますので、これを上回る方策を選ぶことになります。

 

各選択肢をそれぞれ解説します。

選択肢1. 機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて12とする。

機械Aの使用可能工数を12にすると、機械Aで製品Xが6単位製造できるようになり、生産可能な範囲も変わります。

(X,Y)=(0,0),(6,0),(0,6)

ただし、得られる最大の利益は24のままです。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢2. 機械Bの使用可能工数を現状から3引き上げて21とする。

機械Bの使用可能工数を21にすると、機械Bで製品Yが7単位製造できるようになりますが、生産可能な範囲は変わらないため、利益も変わりません。

そのため本選択肢は不正解です。

選択肢3. 機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて28とする。

機械Cの使用可能工数を28にすると生産可能な範囲が下記のように変化します。

(X,Y)=(0,0),(4,0),(4,3),(1,6),(0,6)

最大となる利益も変わり、28となります。

方策の中でただ一つ利益が増加するため、本選択肢が正解です。

選択肢4. 機械Dの使用可能工数を現状から4引き上げて28とする。

機械Dの使用可能工数を28にしても、生産可能な範囲は変わらないため利益も変わりません。

そのため本選択肢は不正解です。

まとめ

各条件に従って図を動かしたり描いていけば、時間はかかりますが正解することは可能です。

ただ、時間制限がある試験本番では本問のような問題に時間をかけすぎて、他の問題にかける時間がなくならないように注意してください。

参考になった数8

02

線形計画法を用いた、総利益を最も高くする方策を問う問題です。

以下の解説で述べていますが、経済学・経済政策の予算制約線を思い出すことができれば、具体的な計算をしなくても図から正答することが可能です。

 

以下に、与件文で与えられている「製品を1単位生産するのに必要な各機械の工数、および現状で使用可能な各機械の工数」(表)と、各機械における使用可能工数の制約を色で重ねたものを図示します。

 

図にあるように、

・Y6X0、Y0X0(原点)、Y4X2、Y2X4の赤く囲った台形部分が、機械A~Dすべての使用可能工数の制約内に含まれています。

 

・原点を除く3か所(6,0)(4,2)(2,4)で製品X、Yを合計6生産する組み合わせが成立します。

(Y0、X6の組み合わせは赤く囲った台形部分に含まれないため、該当しません)

現状では3か所すべてで製品X、Yを合計6生産でき、製品X、Yともに単位利益は4であることから、3か所全てで単位利益は6×4=24です。

(製品Xのみ、製品Yのみ、製品XとYを組み合わせても、単位利益は同じ)

 

・以上から、単位Cの生産曲線XYを右上に拡大すれば、総利益を最も高くできることが分かります。

(本問は経済学・経済政策風に説明した方が分かりやすいため、グラフで描かれている各機械の曲線XYを便宜的に「生産曲線」と称します)

→経済学・経済政策の予算制約線を思い出してください。(詳しくは、解答のまとめを参照してください)

 

各選択肢では、上図の赤く囲った台形部分と各機械の生産曲線の動き方を意識してください。

選択肢1. 機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて12とする。

グラフの形状から、機械Aは製品Yを生産できない(生産曲線が垂直である)ことが分かります。

 

機械Aの使用可能工数を現状から4引き上げて12としても、機械Aの生産曲線は右シフトして使用可能工数の制約外に伸びるだけであり、単位利益は24のまま変化しないため不適切な選択肢です。

選択肢2. 機械Bの使用可能工数を現状から3引き上げて21とする。

グラフの形状から、機械Bは製品Xを生産できない(生産曲線が水平である)ことが分かります。

 

機械Bの使用可能工数を現状から3引き上げて21としても、機械Bの生産曲線は上シフトして使用可能工数の制約外に伸びるだけであり、単位利益は24のまま変化しないため不適切な選択肢です。

選択肢3. 機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて28とする。

機械Cの使用可能工数を現状から4引き上げて28とすると、機械Cの生産曲線は右上にシフトして製品XまたはYを1増産することができるため総利益を24→28にすることができます。したがって正解の選択肢となります。

選択肢4. 機械Dの使用可能工数を現状から4引き上げて28とする。

機械Dの使用可能工数を現状から4引き上げて28としても、機械Dの生産曲線は右上にシフトして使用可能工数の制約外に伸びるだけであり、単位利益は24のまま変化しないため不適切な選択肢です。

まとめ

【補足】

 

予算制約線とは、消費者が予算内(例えば1,000円など)で購入できる2つの財の組み合わせを表す直線であり、予算を全て使い切った場合の購入可能な財の組み合わせを示すものです。

 

予算制約線は原点から離れるほど購入できる2つの財の組み合わせが大きくなりますが、そのイメージと同様に機械A~Dすべての使用可能工数の制約内に含まれている範囲が最も大きい機械Cの使用可能工数が大きくなると、総利益を最も高くすることが可能です。

 

例年平均40マーク程度出題されている運営管理では1問平均2分以内で処理する必要がありますが、本問は最短で計算処理できるようにトレーニングする必要があるのではなく「経済学・経済政策の予算制約線(あるいは、無差別曲線でもOK)」の考えを応用すればいいのではないか?とグラフから直感的に判断できるセンスがなければ、本問は対応できません。

参考になった数2