中小企業診断士 過去問
令和6年度(2024年)
問89 (企業経営理論 問38(2))
問題文
消費者市場の分析は、企業が適正な製品を、適正なタイミングや方法で、適正なターゲット顧客に販売するために不可欠である。企業は、消費者を取り巻く①社会文化的要因や②個人的要因を分析することによって、各消費者に適したマーケティングの実現を目指している。
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。
問題
中小企業診断士試験 第1次試験 企業経営理論 令和6年度(2024年) 問89(企業経営理論 問38(2)) (訂正依頼・報告はこちら)
消費者市場の分析は、企業が適正な製品を、適正なタイミングや方法で、適正なターゲット顧客に販売するために不可欠である。企業は、消費者を取り巻く①社会文化的要因や②個人的要因を分析することによって、各消費者に適したマーケティングの実現を目指している。
文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- 過去の経験や知識、自己との関連性などに基づき膨大な商業的情報に対して選択的に注意を向けるという知覚機能は、無意識に働きかける情報に対しては働かない。そのため、サブリミナル広告は製品のブランド化に大きな影響を与える。
- 消費者の関与水準とブランド間の知覚差異によって購買行動を分類したアサエルによると、バラエティ・シーキングが最も起こりやすいのは、関与が低く、ブランド間の知覚差異が大きい場合である。
- 消費者の購買意思決定に影響を与える記憶では、一時的に情報を保持する手続き的記憶と、情報の保持期間が長く、一生にわたり潜在的に保持されるエピソード記憶や意味記憶の役割が明らかにされている。
- 製品が魅力的に見えたりそうでなかったりすることに、天気や店舗の雰囲気といった、製品とは無関連な原因から生じている感情が影響を及ぼすことがある。同化効果と呼ばれるこのような現象は、感情が生じている原因を消費者が正しく認識している場合には見られない。
正解!素晴らしいです
残念...
この過去問の解説 (1件)
01
消費者市場の分析における、個人的要因の内容を問う問題です。
過去の経験や知識、自己との関連性などに基づき膨大な商業的情報に対して選択的に注意を向けるという知覚機能は、無意識に働きかける情報に対しても機能しています。
人間の知覚機能には、「味覚」「触覚」「聴覚」「視覚」「嗅覚」のいわゆる五感があります。広告に関しては、企業ロゴやテレビCMでのジングル(短い音やメロディ)などを用いて、聴覚と視覚に訴求しています。例えば、特に興味もない企業CMで流れているジングルを知らない間に口ずさんでいるといった現象は、無意識のうちにジングルを繰り返し聴き続けていることで知覚しているといえます。
また、「知覚機能は、無意識に働きかける情報に対しては働かない」と述べていながら、「サブリミナル広告は製品のブランド化に大きな影響を与える」という矛盾した結論となっており、日本語の表現としても違和感があります。
したがって、不適切な選択肢です。
バラエティ・シーキングが最も起こりやすいのは、関与が低く、ブランド間の知覚差異が大きい場合であることは、適切な説明です。
バラエティ・シーキングとは、様々なブランドを選択して購入しようとする消費者行動のことです。特に、購入金額が小さく、購買頻度が高い最寄品では、ブランド選択への関与が低く(熱心に調べようとはしない)、ブランドスイッチが起こりやすいためです。
したがって、正解の選択肢となります。
手続き的記憶は、一時的に情報を保持するものではありません。エピソード記憶や意味記憶と同じく、一生にわたり潜在的に保持される記憶です。
手続き的記憶は、繰り返しの反復作業により無意識にできるようになるため、非陳述的記憶ともいいます。
本選択肢で挙げられているエピソード記憶や意味記憶は、陳述的記憶といいます。自身が経験した出来事を記憶したものがエピソード記憶、学習して得られた知識が意味記憶です。
したがって、不適切な選択肢です。
製品が魅力的に見えたりそうでなかったりすることに、天気や店舗の雰囲気といった、製品とは無関連な原因から生じている感情が影響を及ぼすことがあることは、対比効果の説明です。
同化効果とは、魅力的に見えた製品が実際にはそうでなかった場合でも、その製品の魅力的な部分を見つけようとして納得しようとすることです。
したがって、不適切な選択肢です。
参考になった数10
この解説の修正を提案する
前の問題(問88)へ
令和6年度(2024年) 問題一覧
次の問題(問90)へ