FP2級の過去問
2019年9月
学科 問18
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問題
FP技能検定2級 2019年9月 学科 問18 (訂正依頼・報告はこちら)
契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約する場合、保険料は全額を損金の額に算入する。
- 積立火災保険の満期返戻金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入する。
- 法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理しなければならない。
- 法人が所有する建物が火災で焼失し、受け取った火災保険の保険金で同一事業年度に代替の建物を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。
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この過去問の解説 (3件)
01
[1]適切
すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約する場合、保険料は福利厚生費として全額損金算入します。
なお、特定の役員や従業員のみを対象とする場合は、給与として必要経費(損金)に計上します。
[2]適切
積立火災保険の満期返戻金を法人が受け取った場合、受け取った損害保険金の全額を益金算入し、それまでに資産計上していた積立保険料の累計額(関連費用)は損金算入します。
[3]不適切
保険会社から相手方に保険金が直接支払われた場合、法人は保険金を受け取らないため、当該保険金の経理処理は不要です。
[4]適切
圧縮記帳の対象となるのは、固定資産(建物や機械等)に係る保険金を受け取り、一定期間内に代替の固定資産を取得する場合です。
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02
【正解3】
(1)〇
適切な内容です。すべての従業員を普通傷害保険に加入させる場合、福利厚生費として全額損金算入となります。
(2)〇
適切な内容です。積立火災保険とは、満期時に満期保険金が受け取れる火災保険です。通常の火災保険は掛け捨てであるのに対し、積立火災保険は貯蓄性があるため経理処理に特徴があります。
(3)×
不適切な内容です。法人がかけていた保険を使って、相手方に保険金が支払われただけなので、法人側での経理処理は不要です。毎月あるいは毎年の保険料のみ正しく経理処理していれば良いということになります。
(4)〇
適切な内容です。圧縮記帳とは、損害保険の保険金などで固定資産を購入した場合認められる税法上の制度です。
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03
法人における損害保険の経理処理についての問題です。
[1]適切
すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険は普遍的加入型と言われ、
法人が支払う保険料は全額を福利厚生費として損金算入します。
なお、特定の役員や従業員のみを対象とする場合は、法人が支払う保険料は給与として損金算入します。
[2]適切
積立火災保険の満期返戻金を法人が受け取った場合、受け取った損害保険金の全額を益金算入します。
また、同時にそれまで資産計上していた積立保険料は取り崩して損金算入します。
[3]不適切
法人が加入している自動車保険の対人・対物賠償保険金の経理処理は不要です(法人は保険金を受け取らないため)。
なお、法人契約の自動車保険は車両保険以外の保険金に関して経理処理は発生しません。
本問では「相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理しなければならない」とありますので、誤りです。
[4]適切
圧縮記帳は、固定資産の損害に対する保険金を受け取り、一定期間内に代替資産を取得する場合に認められ、一時的な税負担を先送りできる法人税法上の制度です。
圧縮記帳のポイントは、
①法人のみが対象(個人・個人事業主には適用されない)
②対象資産の滅失または損壊から3年以内に支払いが確定した保険金が対象
③保険差益が発生しないときには、圧縮記帳は利用できない
④商品等の棚卸資産の損失に対する保険金は対象外
⑤保険金等を受け取った翌期首から原則2年以内に代替資産の取得の見込みがあるときに圧縮記帳が適用可能
以上が、圧縮記帳を利用するためのポイントです。
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