FP2級の過去問
2021年5月
学科 問21

正解は3です。

1.適切です。

景気動向指数は、景気の現状把握および将来予測に資するために作成された指標です。景気の変動のテンポ感を示すコンポジット・インデックス（CI）と、経済指標が上昇を示す割合が50%を超えているか下回っているかで景気を判断するディフュージョン・インデックス（DI）があります。

2.適切です。

景気動向指数の指標は、景気の動きに先行して動く先行指数が11系列、景気の動きと同時に動く一致指数が10系列、景気の動きに遅れて動く遅行指数が9系列の、合計30系列で構成されています。

3.不適切です。

コンポジット・インデックス（CI）は、基準年を100として、CI一致指数が100を超えたかどうかで景気の拡張と後退を判断します。

採用系列の各月の値を3ヵ月前と比べた変化の方向を合成して作成した指数は、「ディフュージョン・インデックス（DI）」です。

４.適切です。

ヒストリカル・ディフュージョン・インデックスは、一致指数を構成する個別指標ごとに統計的手法を用いて山と谷を設定し、谷から山に向かう局面にある指標の割合を算出します。これは景気転換点の判定に有用です。

【正解３】

［1］適切

景気動向指数は、景気の現状把握および将来予測に資するために作成された指標のことで、コンポジット・インデックス（CI）とディフュージョン・インデックス（DI）があります。

［2］適切

景気動向指数に採用されている指標は、景気に先行して動く「先行指数（11系列）」、契機と一致して動く「一致指数（10系列）」、景気に遅れて動く「遅行指数（9 系列）」の合計30系列です。2020年7月より一致系列に「輸出数量指数」が追加されて、一致指数が10系列に増えています。

［3］不適切

コンポジット・インデックス（CI）は、景気に敏感な指標の量的な動きを合成した指標で、変動の大きさやテンポ（量感）を測定することを目的としています。本肢の記述は、ディフュージョン・インデックス（DI）に関する記載です。

［4］適切

景気転換点の判定には、一致指数を構成する個別指標ごとに統計的手法を用いて山と谷を設定し、谷から山に向かう局面にある指標の割合を算出したヒストリカル・ディフュージョン・インデックス（DI）が用いられており、ヒストリカルDIが50%を上回る直前の月が景気の谷、50%を下回る直前の月が景気の山に対応しています。

解答 ３

（１）◯

景気動向指数は、生産や雇用などの指標を統合することで、景気の現状把握と将来の予測のために作成された指標です。コンポジット・インデックス（CI）は景気変動の大きさや量感を表します。ディフュージョン・インデックス（DI）は、構成する指標の中で上昇している割合によって、各経済部門への景気の波及度を示します。

（２）◯

景気動向指数ではコンポジット・インデックス（CI）、ディフュージョン・インデックス（DI）とも共通の指標を採用しています。景気に対して先行して動く先行指数が11、景気とほぼ一致して動く一致指数が10、景気に遅れて動く遅行指数が9あります。

（３）✕

コンポジット・インデックス（CI）は、採用する指標の前月と比べた変化量を合成した指数で、主に景気の山の高さや谷の深さ、景気拡大や後退の勢いなどの「量的な動き」の把握を目的とします。本肢はディフュージョン・インデックス（DI) の説明です。

（４）◯

景気転換点を判断する際には、ヒストリカル・ディフュージョン・インデックス（DI）を用います。ヒストリカルDIを作成するには、一致指数を構成する指標のそれぞれの「山」と「谷」を特定し、「谷」から「山」へ上昇している指標の割合が50％を上回るか下回るかで、景気の基調や転換点を判断をします。