FP2級の過去問
2024年1月
学科 問43

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問題

FP技能検定2級 2024年1月 学科 問43 (訂正依頼・報告はこちら)

民法および借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、借地借家法第38条における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。また、記載のない特約については考慮しないものとする。
  • 賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない。
  • 普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人に、その買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効である。
  • 定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。
  • 定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。

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この過去問の解説 (3件)

01

本問は、民法および借地借家法に基づく借家契約の規定に関する問題です。

借地借家法第38条における定期建物賃貸借契約(定期借家契約)と、それ以外の建物賃貸借契約(普通借家契約)の違いや、賃借人・賃貸人の権利と義務についての理解が求められます。

各選択肢が適切か不適切かを判定し、その理由を解説します。

選択肢1. 賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない。

適切

原状回復義務とは、賃借人が借りた当時の状態に戻すことを指しますが、通常の使用や経年変化による損耗については、賃借人は原状回復の義務を負いません。

これは、賃借人が通常の使用に伴って生じる損耗や経年変化による劣化については、賃貸人が賃料に含めて負担するべきとされているためです。

したがって、賃借人は、故意や過失による損傷や、善管注意義務違反による損耗についてのみ原状回復の義務を負います。

選択肢2. 普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人に、その買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効である。

不適切

造作買取請求権は、借地借家法第33条に基づくもので、建物の賃借人が賃貸人の同意を得て付加した造作物について、賃貸借が終了した際に賃貸人に対して時価での買取を請求できる権利です。

この権利は任意規定であり、契約において造作買取請求権を放棄する旨の特約がある場合、その特約は有効です。

したがって、賃貸借契約で賃借人が造作買取請求権を行使しないことを約束した場合、その約束は法律的に有効であり、賃借人は造作買取請求をできなくなります。

選択肢3. 定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。

適切

定期借家契約は、普通借家契約とは異なり、契約の更新がありません。

賃貸人は契約を締結する際に、賃借人に対して契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することをあらかじめ書面で説明しなければなりません。

もしこの説明がなされない場合、契約は通常の建物賃貸借契約として扱われる可能性があります。

この手続きは、賃借人が契約内容を正確に理解し、将来のトラブルを防止するために重要です。

選択肢4. 定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。

適切

借地借家法では、賃貸借契約期間中に賃料の増減を請求する権利が認められていますが、当事者間で特約を設けることも可能です。

例えば、賃貸借期間中に経済事情の変動があっても賃料を増減しない旨の特約があれば、その特約は有効です。

ただし、例外的に、特約の期間が長期にわたり、その間に経済事情が激変した場合に、その特約の効力が失われた裁判例があるため注意が必要です。

まとめ

造作買取請求権は借地借家法において任意規定とされており、契約でこの権利を放棄する特約を設けることが有効であるため、この特約を無効とする説明は誤りです。

この問題を通じて、造作買取請求権や定期借家契約の説明義務、原状回復義務についての理解を深めることができました。

参考になった数3

02

借地借家法に関する問題です。

選択肢には不動産賃貸におけるトラブルでよくある事例が並んでいます。一般常識として覚えておいて損はありません。

選択肢1. 賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない。

適切

問題文のとおりです。経年劣化による壁紙などの痛みについては、賃借人は原状回復の義務がありません。引越時のトラブルで非常に多く発生するものなので、しっかり理解しましょう。

選択肢2. 普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人に、その買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効である。

不適切

問題文のような権利を「造作買取請求権」と呼びます。この特約は借主に不利なものであっても有効です。

選択肢3. 定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。

適切

定期借家契約を締結する場合、あらかじめ問題文のように書面を作成・交付の上で説明することが賃貸人に求められています。

選択肢4. 定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。

適切

問題文のとおりです。一方、普通借家契約の場合、一定期間賃料を増額しない特約は有効ですが、減額しない特約は無効になります。

参考になった数1

03

民法および借地借家法に関する問題です。

選択肢1. 賃借人は、建物の引渡しを受けた後の通常の使用および収益によって生じた建物の損耗ならびに経年変化については、賃貸借が終了したときに原状に復する義務を負わない。

適切な選択肢

賃借人は契約終了時、賃借していた建物の原状回復する義務がありますが、通常の使用・収益によって生じた損耗や経年変化については原状回復義務はありません。

選択肢2. 普通借家契約において、賃借人が賃貸人の同意を得て建物に付加した造作について、賃貸借終了時、賃借人が賃貸人に、その買取りを請求しない旨の特約をした場合、その特約は無効である。

不適切な選択肢

賃借人が建物に付加した造作を家主に買い取らせる権利のことを造作買取請求権といい、貸主は買取をしない旨の特約を付けることにより、造作買い取り請求権を排除することができます

選択肢3. 定期借家契約を締結するときは、賃貸人は、あらかじめ、賃借人に対し、契約の更新がなく、期間満了により賃貸借が終了することについて、その旨を記載した書面を交付し、または、賃借人の承諾を得て当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供して、説明しなければならない。

適切な選択肢

定期借家契約では賃借人に書面または書面に記載すべき事項を電磁的方法にて、契約の更新がなく期間満了にて終了する旨を説明する必要があります

選択肢4. 定期借家契約において、経済事情の変動があっても賃貸借期間中は賃料を増減額しないこととする特約をした場合、その特約は有効である。

適切な選択肢

定期借家契約において、賃料の増額減額をしない旨の特約をすることが可能です。

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