2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年9月
問54 (学科 問54)

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問題

FP技能検定2級 2024年9月 問54(学科 問54) (訂正依頼・報告はこちら)

任意後見制度に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  • 任意後見制度では、本人が十分な判断能力を有しているときに、本人が、任意後見人となる者や委任する事務を契約によりあらかじめ定めておくことができる。
  • 任意後見契約は、所定の様式の公正証書によってしなければならない。
  • 任意後見契約は、本人の判断能力が低下して事理を弁識する能力が不十分な状況となった時からその効力が生じる。
  • 任意後見監督人は家庭裁判所により選任されるが、任意後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は任意後見監督人となることができない。

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この過去問の解説 (2件)

01

この問題は、FP2級試験の「相続・事業継承」の問題です。
FPは、お客様の資産管理や意思決定のサポートを行う立場として、

成年後見制度の仕組みを正しく理解しておく必要があります。

成年後見制度には、法定後見制度(判断能力が低下した後に適用)と

任意後見制度(判断能力があるうちに契約する)があります。
本問題では、任意後見制度の契約要件や、後見が開始されるタイミング、

監督人の選任に関する理解が問われるので、法定後見制度と任意後見制度の違い

しっかり押さえておきましょう。
 

選択肢1. 任意後見制度では、本人が十分な判断能力を有しているときに、本人が、任意後見人となる者や委任する事務を契約によりあらかじめ定めておくことができる。

適切
任意後見制度は、本人がまだ判断能力を十分に持っているうちに、

将来の後見人(任意後見人)を選び、支援してもらう内容を契約で決める仕組みです。
「本人が判断能力を有しているときに契約できる」という記述は適切です。

 

選択肢2. 任意後見契約は、所定の様式の公正証書によってしなければならない。

適切
任意後見契約は、口頭や私文書では無効であり、必ず公正証書で締結することが

法律で定められています。(任意後見契約に関する法律第3条)
これは、後々のトラブルを防ぎ、契約内容を公的に証明するためです。
「所定の様式の公正証書で契約する必要がある」という記述は適切です。

選択肢3. 任意後見契約は、本人の判断能力が低下して事理を弁識する能力が不十分な状況となった時からその効力が生じる。

不適切
任意後見契約は、本人の判断能力が低下しただけでは、効力は発生しません。
契約自体は、本人が十分な判断能力を持っている間に締結しますが、

実際に後見が開始されるのは、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任した時点です。
そのため、本人の判断能力が低下しても、家庭裁判所が監督人を選任するまでは、任意後見人は権限を行使できません。
これは、契約の悪用を防ぎ、本人の権利を守るための仕組みです。
「本人の判断能力が低下してから効力が生じる」という記述は不適切です。

選択肢4. 任意後見監督人は家庭裁判所により選任されるが、任意後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は任意後見監督人となることができない。

適切
任意後見監督人は、家庭裁判所が選任する第三者ですが、任意後見人の配偶者、

直系血族(親・子・祖父母)、兄弟姉妹は任意後見監督人にはなれません。
これは、任意後見人と利害関係が深いため、公正な監督ができなくなる可能性があるためです。
「任意後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は任意後見監督人となることが

できない。」という記述は適切です。

まとめ

この問題では、任意後見制度の契約や発動条件、監督人の選任に関する理解が問われています。


任意後見契約は、本人が判断能力のあるうちに、任意後見人契約を結びます。
契約は公正証書によって作成し、口頭や私文書では無効となります。
実際に効力が発生するのは、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選出したときです。
「監督人」は、後見人が適切に支援を行っているかをチェックします。
任意後見監督人は、任意後見人の配偶者や直系血族、兄弟姉妹はなれません。


任意後見人制度は、契約で後見人を指定できますが、後見の開始には家庭裁判の判断が必要です。
試験でも頻出テーマなので、法定後見との違いや契約から後見開始までの流れを正しく理解しておきましょう。

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02

任意後見制度とは、万が一に備えて、自分に意思決定能力があるうちにあらかじめ本人自らが選んだ人(任意後見人)に代わりにしてもらいたいことを契約(任意後見契約)で決めておく制度です。

 

選択肢1. 任意後見制度では、本人が十分な判断能力を有しているときに、本人が、任意後見人となる者や委任する事務を契約によりあらかじめ定めておくことができる。

適切

上記説明の通り、あらかじめ本人が選んだ人を任意後見人と決めておくのが、任意後見制度です。

選択肢2. 任意後見契約は、所定の様式の公正証書によってしなければならない。

適切

任意後見制度は、任意後見契約公正証書の作成が必要となります。

選択肢3. 任意後見契約は、本人の判断能力が低下して事理を弁識する能力が不十分な状況となった時からその効力が生じる。

不適切

任意後見契約が発効するまでには、原則おおまかに下記のような流れとなります。

①判断力の低下に不安を生じるなど、契約実行の必要性を感じる状況となる

②申立人が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申立てを行う

③任意後見監督人が選任される

④任意後見契約の効力発生

よって、効力が生じるのは任意後見人の選任からとなります。

選択肢4. 任意後見監督人は家庭裁判所により選任されるが、任意後見人の配偶者、直系血族および兄弟姉妹は任意後見監督人となることができない。

適切

任意後見監督人とは、任意後見人が任意後見契約の内容どおり仕事をしているか、不正をしていないかを、監督する人です。この仕事内容を鑑みて、任意後見受任者本人、任意後見受任者の配偶者、直系血族及び兄弟姉妹は任意後見監督人にはなれません。

まとめ

成年後見制度の中には、もう一つ、法定後見制度があります。

任意後見制度との違い等を確認しておくと、理解が深まります。

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