2級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP2級) 過去問
2024年9月
問59 (学科 問59)
問題文
遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
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問題
FP技能検定2級 2024年9月 問59(学科 問59) (訂正依頼・報告はこちら)
遺言に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 共同相続人の遺留分を侵害する内容の遺言は無効となる。
- 共同相続人のうち一部の者についてのみ相続分を指定する内容の遺言は無効となる。
- 被相続人は、遺言で、遺産分割の方法を定めることを第三者に委託することができる。
- 遺言執行者を指定する内容の遺言は無効となる。
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この過去問の解説 (2件)
01
この問題は、FP2級試験の【相続・事業承継】の問題です。
FPは、顧客の相続対策をサポートする立場として、遺言の効力や内容の制限について正しく理解しておく必要があります。
遺言は、被相続人の最終的な意思を反映する重要な書面ですが、法的に無効となる内容や、制限を受ける事項も存在します。
例えば、遺留分の侵害は遺言の無効事由にはならず、遺留分減殺請求の対象となるだけです。
また、遺言執行者の指定や遺産分割の方法を第三者に委託することも、
民法で認められています。
試験では、「無効となる遺言」と「制限を受ける遺言」の違いが問われることが多いため、それぞれのポイントを押さえておきましょう!
不適切
遺留分は、相続人に保障された最低限の財産の取り分ですが、遺言によって遺留分を侵害すること自体は可能です。
ただし、侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」を行い、侵害された分の金銭を請求することができます。
「遺留分を侵害する遺言は無効である」という記述は不適切です。
不適切
被相続人は、自身の財産を自由に処分できるため、相続人の一部だけに相続分を指定することも可能です。
例えば、長男には財産を多く与え、次男には遺産を与えないといった指定も、
遺言として有効です。
ただし、遺留分を侵害する場合は、侵害された相続人が遺留分侵害額請求を行う権利があります。
「一部の相続人に対してのみ相続分を指定する遺言は無効である」という記述は不適切です。
適切
民法908条では、被相続人が遺言によって遺産分割の方法を指定できることが認められており、その決定を第三者に委託することも可能です。
例えば、「信頼できる弁護士や税理士に遺産分割の方法を決めてもらう」ことが可能になります。
ただし、遺産分割の公平性や相続人の利益を守る観点から、不合理な分割が行われないように注意が必要です。
「遺産分割の方法を第三者に委託できる」という記述は適切です。
不適切
民法1006条により、被相続人は遺言で「遺言執行者」を指定することができます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実際に執行する人(例:弁護士や信託銀行など)で、相続財産の管理や、遺産分割の手続きを進める重要な役割を持ちます。
「遺言執行者を指定する遺言は無効である」という記述は不適切です。
この問題では、遺言の効力や、認められる内容・制限についての理解が問われています。
✅ 遺留分を侵害する遺言は無効ではなく、侵害された相続人が
「遺留分侵害額請求」を行うことで対処可能です。
✅ 被相続人は相続人の一部だけに相続分を指定することが可能
(遺留分には注意)です。
✅ 遺言で遺産分割の方法を決めたり、その決定を第三者に委託することができます。
✅ 遺言執行者を指定する遺言は有効であり、相続手続きを円滑にしています。
遺言は、相続を円滑に進めるための重要な手続きです。
「無効な遺言」と「制限のある遺言」が頻出のため、違いをしっかり理解しておきましょう。
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02
遺言とは、自身の財産を誰に、どのくらい、どのように残したいか、自分の希望や想いを確実に伝えるためのものです。遺産分割において、遺言は一番の効力を持っています。自身の財産の処分は自身の意思が尊重されるべきという考えが前提にあるためです。
不適切
遺留分とは、亡くなった人の財産のうち、一定の相続人について、生前の贈与又は遺言によっても奪うことのできない保障されている部分(割合)のことです。遺留分は、遺言で指定されなかった遺族が、今後の生活に困らないようにという生活保護が目的とされています。
この遺留分が侵害されたからといって、無効にはなりません。ただ、遺言通りの相続を行った結果、遺留分を侵された法定相続人は、贈与又は遺贈を受けた者に対し、遺留分侵害額の請求をすることができます。
不適切
遺言は、自分の財産を誰にどれだけ分配するかの意思を表明するものです。
一部の者についてのみの内容でも有効となります。
適切
民法908条1項の通りです。遺言で財産の分割方法を定めることができますが、その方法を第三者の判断に委ねることも可能なのです。
不適切
民法1006条1項に明記されています。遺言で、遺言執行者を指定することは可能です。加えて、指定する権利を第三者に委託することも可能です。無効となる、としている本選択肢は間違いとなります。
遺言に関しては、自筆証書遺言書保管制度が令和2年(2020年)に施行されています。
FP試験についても新に追加された範囲になりますので、注意が必要です。
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