行政書士の過去問
平成28年度
法令等 問20

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問題

行政書士試験 平成28年度 法令等 問20 (訂正依頼・報告はこちら)

A県内のB市立中学校に在籍する生徒Xは、A県が給与を負担する同校の教師Yによる監督が十分でなかったため、体育の授業中に負傷した。この事例につき、法令および最高裁判所の判例に照らし、妥当な記はどれか。
  • Yの給与をA県が負担していても、Xは、A県に国家賠償を求めることはできず、B市に求めるべきこととなる。
  • Xが外国籍である場合には、その国が当該国の国民に対して国家賠償を認めている場合にのみ、Xは、B市に国家賠償を求めることができる。
  • B市がXに対して国家賠償をした場合には、B市は、Yに故意が認められなければ、Yに求償することはできない。
  • B市がYの選任および監督について相当の注意をしていたとしても、Yの不法行為が認められれば、B市はXへの国家賠償責任を免れない。
  • Xは、Yに過失が認められれば、B市に国家賠償を求めるのと並んで、Yに対して民法上の損害賠償を求めることができる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:誤
国家賠償法3条1項に基づき、費用を負担しているA県を相手方にすることができます。
「前二条の規定によつて国又は公共団体が損害を賠償する責に任ずる場合において、公務員の選任若しくは監督又は公の営造物の設置若しくは管理に当る者と公務員の俸給、給与その他の費用又は公の営造物の設置若しくは管理の費用を負担する者とが異なるときは、費用を負担する者もまた、その損害を賠償する責に任ずる。」

2:誤
国家賠償法6条に定める相互の保証とは、賠償請求は日本人だけができるが、外国で日本人が外国政府に同様の請求ができる場合は、その国の外国人も国賠法上の請求ができる、という趣旨です。
「この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する。」

3:誤
国家賠償法1条2項に基づけば、故意の場合だけでなく、重大な過失の場合も該当します。
「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。」

4:正
国家賠償法1条1項に基づき、賠償責任を負います(善管注意義務により責任を免れるといった規定はありません)。
「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」

5:誤
最高裁昭和30年4月19日判決で判示されている内容によれば、公務員個人に対して請求することはできません。
「被上告人等の職務行為を理由とする国家賠償の請求と解すベきであるから、国または公共団体が賠償の責に任ずるのであつて、公務員が行政機関としての地位において賠償の責任を負うものではなく、また公務員個人もその責任を負うものではない。」

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02

1:誤
国家賠償法(以下「法」という。)3条1項

2:誤
相互主義の記述。法6条の「相互の保証があるとき」とは、外国で日本国民が加害行為を受けた際にその外国でその日本国民がその外国に国家賠償を請求できる場合をいいます。

3:誤
法1条2項。求償権の行使は、公務員に「故意または重大な過失」がある場合に認められます。


4:正
法1条は公務員の故意又は過失を要件としており、公共機関の選任監督の過失を要件としていません。

5:誤
公務員に対し直接損害賠償請求はできないものとされています。

参考になった数3

03

1 誤り

国家賠償法3条1項

2 誤り

国家賠償法6条「この法律は、外国人が被害者である場合には、相互の保証があるときに限り、これを適用する」の規定に照らし、誤りです。

3 誤り

国家賠償法1条2項

「前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する」

故意の場合のみではなく、重大な過失の場合も認められます。

4 正しい

民法715のような規定は国家賠償法にはありません。

5 誤り

最判昭30・4・19で、公務員に直接賠償請求はできないこととされています。

参考になった数1