行政書士の過去問
平成30年度
法令等 問25
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問題
行政書士試験 平成30年度 法令等 問25 (訂正依頼・報告はこちら)
道路等についての最高裁判所の判決に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
- 道路の供用によって騒音や排気ガス等が生じ、当該道路の周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害が生じていたとしても、このような供用に関連する瑕疵は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路管理者には国家賠償法上の責任は生じない。
- 公図上は水路として表示されている公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての外観を全く喪失し、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合であっても、行政庁による明示の公用廃止が行われない限り、当該水路は取得時効の対象とはなり得ない。
- 建築基準法の定める道路の指定は、一定の条件に合致する道を一律に指定する一括指定の方法でなされることもあるが、一括して指定する方法でした道路の指定であっても、個別の土地についてその本来的な効果として具体的な私権制限を発生させるものであるから、当該指定は抗告訴訟の対象になる行政処分に当たる。
- 運転者が原動機付自転車を運転中に、道路上に長時間放置してあった事故車両に衝突して死亡した事故が発生した場合であっても、道路上の自動車の放置は、国家賠償法に定める「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵とはいえないから、道路の管理費用を負担すべき県には国家賠償法に基づく責任は認められない。
- 特別区の建築安全条例所定の接道要件が満たされていない建築物について、条例に基づいて区長の安全認定が行われた後に当該建築物の建築確認がされた場合であっても、後続処分たる建築確認の取消訴訟において、先行処分たる安全認定の違法を主張することは許されない。
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この過去問の解説 (3件)
01
道路等の公物に関する設問です。
1× 判例(最判H7.7.7)は、「国家賠償法二条一項にいう営造物の設置又は管理の瑕疵とは、営造物が通常有すべき安全性を欠いている状態、すなわち他人に危害を及ぼす危険性のある状態をいうのであるが、これには営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合をも含むものであり、営造物の設置・管理者において、このような危険性のある営造物を利用に供し、その結果周辺住民に社会生活上受忍すべき限度を超える被害が生じた場合には、原則として同項の規定に基づく責任を免れることができないものと解すべき」としています。
2× 判例(最判S51.12.24)は、「公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての形態、機能を全く喪失し、その物のうえに他人の平穏かつ公然の占有が継続したが、そのため実際上公の目的が害されるようなこともなく、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなつた場合には、右公共用財産については、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当」としています。
3〇 正しい記述です。判例(最判H14.1.17)要旨は、以下の通りです。「告示により一定の条件に合致する道を一括して指定する方法でされた建築基準法42条2項所定のいわゆるみなし道路の指定は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。」
4× 判例(最判S50.7.25)要旨は、以下の通りです。「幅員七・五メートルの国道の中央線近くに故障した大型貨物自動車が約八七時間駐車したままになつていたにもかかわらず、道路管理者がこれを知らず、道路の安全保持のために必要な措置を全く講じなかつた判示の事実関係のもとにおいては、道路の管理に瑕疵があるというべきである。」
5× 判例(最判H21.12.17)要旨は、以下の通りです。「東京都建築安全条例(昭和25年東京都条例第89号)4条1項所定の接道要件を満たしていない建築物について,同条3項に基づく安全認定(建築物の周囲の空地の状況その他土地及び周囲の状況により知事が安全上支障がないと認める処分。これがあれば同条1項は適用しないとされている。)が行われた上で建築確認がされている場合,安全認定が取り消されていなくても,建築確認の取消訴訟において,安全認定が違法であるために同条1項違反があると主張することは許される。」
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02
判例は、営造物の供用の結果、周辺住民に受忍すべき限度を超えた被害が生じた場合、道路管理者は賠償責任を負うものであるとしています。
②誤り
判例は、公図上は水路として表示されている公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置され、公共用財産としての外観を全く喪失し、もはやその物を公共用財産として維持すべき理由がなくなった場合については、黙示的に公用が廃止されたものとし、時効にかかるものとしています。
③正解
正しい記述です。
④誤り
判例は、故障車が交通量の多い国道に87時間に渡り放置され、これに原付バイクが衝突し、運転手が死亡した件について、「公の営造物の設置又は管理」上の瑕疵を認め、道路の管理費用を負担すべき県は国家賠償法に基づく責任を免れないとしました。
⑤誤り
判例では、安全認定と建築確認とは結合して効果を発生させるものであるため、安全認定が行われた後に建築確認がされた場合、安全認定が行われた後に当該建築物の建築確認がされた場合であっても、後続の建築確認の取消訴訟において、安全認定の違法を主張することは許されるとしています(=「違法性の承継」といいます)。
したがって、③が正解となります。
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03
判例は、営造物が供用目的に沿って利用されることとの関連においてその利用者以外の第三者に対して危害を生ぜしめる危険性がある場合を含むとしています。
2.誤
判例は、公共用財産が、長年の間事実上公の目的に供用されることなく放置されている場合には、黙示的に公用が廃止されたものとして、これについて取得時効の成立を妨げないものと解するのが相当であるとしています。
3.正
判例は、一括指定の方法による2項道路の指定も、抗告訴訟の対象となる行政処分にあたると解すべきであるとしています。
4.誤
判例は、故障車が87時間にわたって放置された事例で道路管理に瑕疵があるとしています。
5.誤
判例は、安全認定が違法であるために本件条例4条1項所定の接道義務違反を主張することは許されるとしています。
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