行政書士 過去問
令和5年度
問37 (法令等 問37)
問題文
設立時取締役に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。なお、設立しようとする株式会社は、種類株式発行会社ではないものとする。
ア 発起設立においては、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任しなければならないが、定款で設立時取締役として定められた者は、出資の履行が完了した時に、設立時取締役に選任されたものとみなす。
イ 募集設立においては、設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
ウ 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は3人以上でなければならない。
エ 発起設立においては、法人でない発起人は設立時取締役に就任することができるが、募集設立においては、発起人は設立時取締役に就任することはできない。
オ 設立時取締役は、その選任後、株式会社が成立するまでの間、発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行しなければならない。
ア 発起設立においては、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任しなければならないが、定款で設立時取締役として定められた者は、出資の履行が完了した時に、設立時取締役に選任されたものとみなす。
イ 募集設立においては、設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
ウ 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は3人以上でなければならない。
エ 発起設立においては、法人でない発起人は設立時取締役に就任することができるが、募集設立においては、発起人は設立時取締役に就任することはできない。
オ 設立時取締役は、その選任後、株式会社が成立するまでの間、発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行しなければならない。
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問題
行政書士試験 令和5年度 問37(法令等 問37) (訂正依頼・報告はこちら)
設立時取締役に関する次のア~オの記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものの組合せはどれか。なお、設立しようとする株式会社は、種類株式発行会社ではないものとする。
ア 発起設立においては、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任しなければならないが、定款で設立時取締役として定められた者は、出資の履行が完了した時に、設立時取締役に選任されたものとみなす。
イ 募集設立においては、設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
ウ 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は3人以上でなければならない。
エ 発起設立においては、法人でない発起人は設立時取締役に就任することができるが、募集設立においては、発起人は設立時取締役に就任することはできない。
オ 設立時取締役は、その選任後、株式会社が成立するまでの間、発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行しなければならない。
ア 発起設立においては、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任しなければならないが、定款で設立時取締役として定められた者は、出資の履行が完了した時に、設立時取締役に選任されたものとみなす。
イ 募集設立においては、設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。
ウ 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は3人以上でなければならない。
エ 発起設立においては、法人でない発起人は設立時取締役に就任することができるが、募集設立においては、発起人は設立時取締役に就任することはできない。
オ 設立時取締役は、その選任後、株式会社が成立するまでの間、発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行しなければならない。
- ア・ウ
- ア・オ
- イ・ウ
- イ・エ
- エ・オ
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この過去問の解説 (3件)
01
この問題のポイントは、会社法第38条1項及び4項、第39条3項、第88条1項の理解です。
会社法第38条1項は発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならないで、その4項は定款で設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この項において同じ。)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなすとされています。
会社法第39条3項は設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならないとされています。
最後に会社法第88条1項は第五十七条第一項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならないとされています。
以上の点をおさえて、解説を見ていきましょう。
解説の冒頭より、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならなく、定款で設立時取締役として定められた者は、出資の履行が完了した時に、設立時取締役に選任されたものとみなすとされています。
よって、アは起設立においては、発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任しなければならないが、定款で設立時取締役として定められた者は、出資の履行が完了した時に、設立時取締役に選任されたものとみなすとなります。
また、解説の冒頭より、設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならないとされています。
よって、設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は3人以上でなければならないとなります。
会社法に設立時取締役は、その選任後、株式会社が成立するまでの間、発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行しなければならないという規定は会社法にありません。
よって、オは設立時取締役は、その選任後、株式会社が成立するまでの間、発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行しなくてもよいとなります。
解説の冒頭より、募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならないとされています。
よって、イは募集設立においては、設立時取締役の選任は、創立総会の決議によって行わなければならないとなります。
会社法に発起人が設立時取締役になれないという規定はありません。
よって、エは発起設立においては、法人でない発起人は設立時取締役に就任することができ、募集設立においては、発起人は設立時取締役に就任することはできるとなります。
この問題のように、条文知識を問う問題は必ず出るので、条文素読もやった方が良いでしょう。
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02
設立時取締役に関する問題です。
エ・オが誤りです。
ア・・・妥当
発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役を選任しなければなりません(会社法38条1項)。定款で設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなします(会社法38条4項)。よって、本肢は正しいです。
イ・・・妥当
募集設立の場合、発起人以外の引受人を募集をするので、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければなりません(会社法88条1項)。
ウ・・・妥当
設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、3人以上必要です(会社法39条3項)。よって、正しいです。
エ・・・誤り
設立時取締役とは、株式会社の設立に際して取締役となる者をいいます(会社法38条1項)。そして、発起設立、募集設立のいずれであっても、法人が設立時取締役に就任することはできません(会社法331条1項1号)。一方、発起人は設立時取締役に就任することはできます。よって、「募集設立においては、発起人は設立時取締役に就任することはできない」が誤りです。前半部分の「発起設立においては、法人でない発起人は設立時取締役に就任することができる」は正しいです。
オ・・・誤り
設立時取締役は、設立手続きに関する調査を行います(会社法46条、93条)。発起人と共同して、株式会社の設立の業務を執行するわけではありません。よって、誤りです。
全て妥当です。
アが妥当です。
全て妥当です。
イが妥当です。
全て誤りです。
出題率の高い分野ですのでしっかり押さえておきましょう。
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03
本問は、設立時取締役に関する基本的な条文知識を問うものです。
発起設立と募集設立の異同は、簡単にまとめておいた方がいいでしょう。
大雑把に言うと、
設立時発行株式の「全部」を発起人が引き受けるのが発起設立。
設立時発行株式の「一部」を発起人が引き受け(*)残りを発起人以外から募集するのが募集設立。
(*)発起人は各人が必ず1株以上の株式を引き受ける義務があります。
会社法第25条「株式会社は、次に掲げるいずれかの方法により設立することができる。
一 次節から第8節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式(株式会社の設立に際して発行する株式をいう。以下同じ。)の全部を引き受ける方法
二 次節、第3節、第39条及び第6節から第9節までに規定するところにより、発起人が設立時発行株式を引き受けるほか、設立時発行株式を引き受ける者の募集をする方法
2 各発起人は、株式会社の設立に際し、設立時発行株式を一株以上引き受けなければならない。」
第1項第1号が発起設立、第2号が募集設立です。
アは正しいです。
条文そのままです。
発起設立においては、発起人は、出資の履行が完了したら遅滞なく、設立時取締役を選任しなければなりません。
ただし、あらかじめ定款(原始定款=会社の設立において一番最初に作成する定款であり、公証人の認証を受けなければならない定款のこと)に設立時取締役として書いてある者は、出資の履行完了と同時に設立時取締役に選任されたものと「みなされ」ます。
会社法第38条第1項「発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。」
会社法第38条第4項「定款で設立時取締役(設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合にあっては、設立時監査等委員である設立時取締役又はそれ以外の設立時取締役。以下この項において同じ。)、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人として定められた者は、出資の履行が完了した時に、それぞれ設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人に選任されたものとみなす。」
なお、設立時取締役以外の設立時役員等が必要な場合も同様となります。
つまり、この規定は、設立時取締役だけでなく設立時役員等全般に同様の規律をするものです。
イは正しいです。
上記、発起設立の場合に対して募集設立の場合は、発起人以外の設立時株主が存在するので、発起人だけで勝手に設立時取締役を選任することはできません。創立総会の決議によります。
発起設立は、設立時株主全員が発起人なので発起人だけで(議決権の過半数の決議で)設立時取締役を選任できる(会社法第38条)ことと対比で憶えましょう。
会社法第38条第1項「発起人は、出資の履行が完了した後、遅滞なく、設立時取締役(株式会社の設立に際して取締役となる者をいう。以下同じ。)を選任しなければならない。」
会社法第40条「設立時役員等の選任は、発起人の議決権の過半数をもって決定する。
(2項以下略)」
会社法第88条第1項「第57条第1項の募集をする場合には、設立時取締役、設立時会計参与、設立時監査役又は設立時会計監査人の選任は、創立総会の決議によって行わなければならない。」
ウは正しいです。
設立しようとする株式会社が、
①取締役会設置会社
②監査役会設置会社
③監査等委員会設置会社
である場合、
①設立時取締役
②設立時監査役
③設立時監査等委員である設立時取締役
は3人以上選任することが必要です。
設立時だけでなくその後においてもそれぞれ3人以上必要です(会社法第331条第5号、第6号、及び第335条第3項参照)。
設立時取締役等はそのまま成立後の会社の取締役等になるので必要な人数が同じなのは当然のことではあります。
会社法第39条「設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には、設立時取締役は、三人以上でなければならない。
2 設立しようとする株式会社が監査役会設置会社である場合には、設立時監査役は、三人以上でなければならない。
3 設立しようとする株式会社が監査等委員会設置会社である場合には、設立時監査等委員である設立時取締役は、三人以上でなければならない。
(4項以下略)」
なお、この条文は、発起設立、募集設立のいずれにも適用されます。
エは誤りです。
発起人であることは会社の取締役の欠格事由に該当しません(会社法第39条第4項及び第331条第1項各号参照)。
大雑把に言えば一般的に取締役となることができないのは、
①法人
②一般法人法、金融商取引法、倒産法がらみの犯罪で有罪となって刑の執行を終わり又は執行を受けることがなくなってから2年経たない者
③②以外の法令違反で拘禁刑以上の有罪の実刑判決を受けてその執行を終わり又は執行を受けることがなくなる前の者。
です。
オは誤りです。
設立時取締役の職務は発起人とは異なります。
ざっくり言うと、発起人は会社設立の企画者でありスポンサーです。定款を定め、金を出して会社の設立を目的とする行為を行います。一方、設立時取締役は発起人の設立手続きの法令及び定款違反の調査が主な仕事です。それ以外にも、設立時代表取締役の選定、設立登記の申請なども行いますが、根本的に役割が違います。
以上、誤っているのはエとオです。
ア、ウともに正しいです。
よってこの肢は正解ではありません。
アは正しいです。
よってこの肢は正解ではありません。
オは誤りです。
イ、ウともに正しいです。
よってこの肢は正解ではありません。
イは正しいです。
よってこの肢は正解ではありません。
エは誤りです。
エ、オともに誤りです。
よってこの肢が正解です。
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