行政書士 過去問
令和6年度
問22 (法令等 問22)

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問題

行政書士試験 令和6年度 問22(法令等 問22) (訂正依頼・報告はこちら)

普通地方公共団体の事務に関する次の記述のうち、地方自治法の定めに照らし、妥当なものはどれか。
  • 普通地方公共団体が処理する事務には、地域における事務と、その他の事務で法律またはこれに基づく政令により処理することとされるものとがある。
  • 都道府県の法定受託事務とは、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものであり、都道府県知事が国の機関として処理することとされている。
  • 市町村の法定受託事務とは、国または都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものであるから、これにつき市町村が条例を定めることはできない。
  • 法定受託事務は、普通地方公共団体が当該団体自身の事務として処理するものであるから、地方自治法上の自治事務に含まれる。
  • 地方自治法は、かつての同法が定めていた機関委任事務制度のような仕組みを定めていないため、現行法の下で普通地方公共団体が処理する事務は、その全てが自治事務である。

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この過去問の解説 (1件)

01

普通地方公共団体の事務

普通地方公共団体の事務の種類および性質について問う問題です。

普通地方公共団体の事務には

1.その地域における事務で法定受託事務以外のもの(自治事務)(地方自治法2条8項)

2.法律(またはその委任を受けた政令)の規定により地方公共団体の事務とされるもの(法定受託事務)(地方自治法2条9項)

があります。

 

 

選択肢1. 普通地方公共団体が処理する事務には、地域における事務と、その他の事務で法律またはこれに基づく政令により処理することとされるものとがある。

記載の通りです。(地方自治法2条8項・9項)

 

選択肢2. 都道府県の法定受託事務とは、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものであり、都道府県知事が国の機関として処理することとされている。

×

法定受託事務は地方公共団体の固有の事務であり、地方公共団体が国の機関として行うものではありません。

※なお地方公共団体の長が委任を受けて国や他の地方公共団体の機関として事務を行う機関委任事務制度は廃止されました。

選択肢3. 市町村の法定受託事務とは、国または都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律またはこれに基づく政令に特に定めるものであるから、これにつき市町村が条例を定めることはできない。

×

「普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。」(地方自治法14条1項)

地方自治法2条2項の事務には「法律又はこれに基づく政令により処理することとされるもの」つまり法定受託事務が含まれます。

選択肢4. 法定受託事務は、普通地方公共団体が当該団体自身の事務として処理するものであるから、地方自治法上の自治事務に含まれる。

×

「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。

(地方自治法2条8項)

法定受託事務は自治事務に含まれません。

選択肢5. 地方自治法は、かつての同法が定めていた機関委任事務制度のような仕組みを定めていないため、現行法の下で普通地方公共団体が処理する事務は、その全てが自治事務である。

×

機関委任事務制度が廃止された現在でも、地方公共団体自身が自己の名で法律又はこれに基づく政令により処理することとされる「法定受託事務」は存在します。(地方自治法2条9項)

そして自治事務は法定受託事務以外の地方公共団体の事務です。(地方自治法2条8項)

まとめ

法定受託事務はあくまで地方公共団体の固有の事務であり、地方公共団体が国の機関として行うものではありません。

憲法92条以下で保障されている地方公共団体の独立性を守るため、機関委任事務制度は廃止されました。

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