行政書士 過去問
令和6年度
問38 (法令等 問38)
問題文
監査等委員会設置会社の取締役の報酬等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
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問題
行政書士試験 令和6年度 問38(法令等 問38) (訂正依頼・報告はこちら)
監査等委員会設置会社の取締役の報酬等に関する次の記述のうち、会社法の規定に照らし、誤っているものはどれか。
- 取締役の報酬等に関する事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。
- 監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。
- 監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。
- 監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、株主総会で決議された取締役の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の多数決によって定める。
- 監査等委員である取締役を除く取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められている場合を除き、当該取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針を取締役会で決定しなければならない。
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この過去問の解説 (2件)
01
監査等委員会設置会社の取締役の報酬
監査等委員会設置会社の取締役の報酬については会社法361条に定められています。
本問はほぼ条文通りの内容なので一度目を通しておきましょう。
〇
「監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。」(会社法361条2項)
〇
「監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。」(会社法361条5項)
〇
「監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。」(会社法361条6項)
×
「監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、第一項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定める。」(会社法361条3項)
協議によって定めるとしているのであって、監査等委員である取締役の多数決によって定めるわけではありません。
〇
「次に掲げる株式会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。以下この項において同じ。)の報酬等の内容として定款又は株主総会の決議による第一項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項を決定しなければならない。ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。」(会社法361条7項)
まず定款に報酬に関する事項が定められていなければ株主総会の決議で定めます。
監査等委員である取締役とそうでない取締役は区別して定めます。
なお監査等委員会設置会社は会計監査人が必須機関となりますが、会計監査人の報酬は株主総会の決議にかけるまでもなく取締役が決定します。
→しかし会計監査人の報酬の決定には監査等委員会の同意が必要となります。(会社法399条3項)
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02
本問は、取締役の報酬等について規定する会社法第361条の知識を問うものです。
監査等委員は監査役とは異なり、取締役ですが同時に監査役の機能も果たすわけですから、その地位には、監査役同様に独立性が求められますし、実効的な監査が行えるよう地位を強化する必要があります。
それを報酬面で規定するのが同条です。
正しいです。
監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とは、報酬等の定めは区別する必要があります。
他の取締役と報酬等の定めを区別することで、監査等委員である取締役の地位を強化する意味があります。
会社法第361条第2項「監査等委員会設置会社においては、前項各号に掲げる事項は、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。」
会社法第361条第1項柱書「取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益(以下この章において「報酬等」という。)についての次に掲げる事項は、定款に当該事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定める。」
正しいです。
監査等委員である取締役は、自らの報酬等について株主総会で意見を述べることができます。
監査等委員である取締役の地位を強化し、独立性を確保する意味があります。
会社法第361条第5項「監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の報酬等について意見を述べることができる。」
報酬等以外に、選解任、辞任についても意見を述べることができます。
同法第342条の2第1項「監査等委員である取締役は、株主総会において、監査等委員である取締役の選任若しくは解任又は辞任について意見を述べることができる。」
正しいです。
監査等委員会の選定する監査等委員は、自分たち以外の取締役の報酬等について、株主総会で意見を述べることができます。
監査等委員である取締役の、他の取締役に対する地位と権限を強化する意味があります。
会社法第361条第6項「監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の報酬等について監査等委員会の意見を述べることができる。」
報酬等以外に、選解任、辞任についても意見を述べることができます。
同法第342条の2第4項「監査等委員会が選定する監査等委員は、株主総会において、監査等委員である取締役以外の取締役の選任若しくは解任又は辞任について監査等委員会の意見を述べることができる。」
誤りです。よってこの肢が正解です。
監査等委員である各取締役の報酬等について、定款又は総会決議がない場合には、監査等委員である取締役の協議によって決めます。
監査等委員である各取締役相互の独立性確保のため、単純な多数決ではなく、協議によることになっています。
会社法第361条第3項「監査等委員である各取締役の報酬等について定款の定め又は株主総会の決議がないときは、当該報酬等は、第一項の報酬等の範囲内において、監査等委員である取締役の協議によって定める。
正しいです。
監査等委員である取締役以外の取締役の個人別報酬等の決定方法が定款又は総会決議により定められていない場合には、決定に関する方針を取締役会で定める必要があります。
監査等委員会設置会社では、この取締役会に監査等委員である取締役も出席し議決に参加できるので、取締役の報酬等の分配について、監査等委員である取締役の監視が期待できることになります。
会社法第361条第7項「次に掲げる株式会社の取締役会は、取締役(監査等委員である取締役を除く。以下この項において同じ。)の報酬等の内容として定款又は株主総会の決議による第一項各号に掲げる事項についての定めがある場合には、当該定めに基づく取締役の個人別の報酬等の内容についての決定に関する方針として法務省令で定める事項を決定しなければならない。ただし、取締役の個人別の報酬等の内容が定款又は株主総会の決議により定められているときは、この限りでない。
……
二 監査等委員会設置会社」
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