保育士の過去問
平成29年(2017年)前期
保育の心理学 問90

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問題

保育士試験 平成29年(2017年)前期 保育の心理学 問90 (訂正依頼・報告はこちら)

次の文は、乳児の生理的反応についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。


A  大脳皮質が成熟、発達してくると随意運動が原始反射に取って代わるようになる。

B  消失すべき時期になっても原始反射が持続する場合、発達の遅れ等が疑われる。

C  乳児期初期の泣きや微笑は生理的であっても、養育行動を引き出す特性がある。

D  反射に顕著な左右差があるときには、部分的な運動・感覚機能の異常が疑われる。

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この過去問の解説 (3件)

01

解答は「( A )○ ( B )○ ( C )○ ( D )○」です。

A、〇

 原始反射とは、未熟な状態で生まれた赤ちゃんが初めての環境に適応して生きていくために、生まれ持って備えている能力のことです。具体例として、口に触れたものに吸い付こうとする吸てつ反射等が挙げられます。

 随意反射とは、原始反射が無意識に備わっているものであることに対して、自己の意思または意図に基づいた運動のことを指します。

 反射は大脳を介さずに起こるものです。反射を繰り返すことで中枢神経系の発達につながります。その結果、筋力や知力が発達し、原始反射は消失しのちの随意運動へとつながっていくのです。

B、〇

 原始反射のほとんどは生後3~4か月頃に消失します。

 原始反射は脳幹という部位でコントロールされています。原始反射を繰り返すことで、脳幹が発達し次のステップである大脳の発達につながるのです。そのため原始反射の出現・消失の時期やスピードというのは発達障害や脳機能障害の発見の目安になりやすく、乳幼児健診のチェック項目の1つとされています。

C、〇

 生まれたばかりの赤ちゃんは生後3か月頃までは視力が0.02程しかなく、目で見て楽しい嬉しいといった心理的感情は備わっていません。しかしながら赤ちゃんが時折微笑んだような表情を見せることがあり、このことを生理的微笑といいます。

 感情が伴った笑いとは違い、一説によると周囲の人にかわいがってもらう(守ってもらう)ために赤ちゃんが生まれ持って身に着けている能力とも言われています。

 生理的微笑をする時期の赤ちゃんには見えていませんが、生理的微笑を見せる赤ちゃんに微笑み返したり、抱っこをしたり、寄り添うことで赤ちゃんは「自分が笑うことで周りは優しくしてくれるんだ」と学習し、後の社会的微笑の獲得へとつながります。

D、〇

 原始反射に左右差がある場合にはその原因が中枢神経にある場合と末梢神経にある場合があります。その他の原因としては鎖骨骨折も挙げられます。

 数ある原始反射の中でも特に左右差に注意が必要なものはバビンスキー反射です。

 バビンスキー反射は新生児の足の異常や中枢神経系の異常を確認する上で重要な指標とされています。新生児期にこの反射が出現しなかったり、非対称な出現が見られた時には、以上の可能性があります。

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02

A~D、すべての記述が適切です。

A 原始反射とは、未熟な状態で生まれた赤ちゃんが初めての環境に適応して生きていくために、生まれ持って備えている能力のことで、生後3~4か月頃に自然に消失していきます。

B 生後4~6か月頃になっても原始反射が消失せず残っている場合、発達の遅れ、脳の障害等が疑われます。

C 乳児期初期の泣きや微笑は生理的なものであり、そこに感情が伴っていることは少ないです。しかし、その泣きや微笑が周りの大人の養育行動を引き起こします。

D 反射に極端な左右差があるときには、部分的な運動・感覚機能の異常が疑われます。

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03

A 〇 適切です。

原始反射から自分の意思で身体を動かす随意運動へと移行していきます。

B 〇 適切です。

消失すべき時期(4~6か月頃)になっても原始反射が持続する場合、発達の遅れ等が疑われます。

C 〇 適切です。

乳児期初期の生理的嘲笑や泣きによって、親の養育行動は引き出されます。

D 〇 適切です。

反射に顕著な左右差があるときには、部分的な運動・感覚機能の異常が疑われます。

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