保育士の過去問
令和元年(2019年)後期
児童家庭福祉 問60
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問題
保育士試験 令和元年(2019年)後期 児童家庭福祉 問60 (訂正依頼・報告はこちら)
次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
M保育所の5歳児クラスを担当するN保育士は、L君のことが気になっていた。L君は他児に対して威圧的な態度を取り、手が出るなどの行動があった。1週間前、L君の脇腹にあざらしきものがあった。L君に確認したところ、「お母さんにたたかれた」と答えた。今日、改めて着替えの際に確認したところあざの数が増えていた。また、母親の様子を改めて確認してみると、N保育士には表情が硬いように感じられ、またL君を会話もなく連れて帰った。
園長と話をし、M保育所内で話し合いを行った。その結果、現時点ではL君が虐待を受けているとは断定できず、また関係機関に連絡すると虐待として対応される可能性もあるが、M保育所と母親との良好な関係ができているM保育所で支えていく方針となった。しかし、N保育士はL君への身体的虐待等が起きている可能性を感じ、具体的な対応が必要ではないかと感じた。
【設問】
次の文のうち、N保育士の対応として不適切な記述を一つ選びなさい。
【事例】
M保育所の5歳児クラスを担当するN保育士は、L君のことが気になっていた。L君は他児に対して威圧的な態度を取り、手が出るなどの行動があった。1週間前、L君の脇腹にあざらしきものがあった。L君に確認したところ、「お母さんにたたかれた」と答えた。今日、改めて着替えの際に確認したところあざの数が増えていた。また、母親の様子を改めて確認してみると、N保育士には表情が硬いように感じられ、またL君を会話もなく連れて帰った。
園長と話をし、M保育所内で話し合いを行った。その結果、現時点ではL君が虐待を受けているとは断定できず、また関係機関に連絡すると虐待として対応される可能性もあるが、M保育所と母親との良好な関係ができているM保育所で支えていく方針となった。しかし、N保育士はL君への身体的虐待等が起きている可能性を感じ、具体的な対応が必要ではないかと感じた。
【設問】
次の文のうち、N保育士の対応として不適切な記述を一つ選びなさい。
- 虐待の可能性が疑われるため、職員会議にて協議の上であざの写真を撮り、保育所内のセキュリティを保てる場所で保管した。
- 家庭内での親子の関係性が気になることについて、匿名で児童相談所へ通告した。
- 身体的虐待が起きていると判断できるまで、引き続き保育所内での対応に留め、見守りを行った。
- 保育所の対応方針では限界があると考え、個人で市町村へ通告した。
- 保育所内で引き続き対応について協議ができるよう、園長や他の保育士に働きかけた。
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この過去問の解説 (3件)
01
1・・・〇
証拠として残せるため写真に残すという方法は正しいです。ただ、情報漏洩には気を付け、慎重に保管する必要があります。
2・・・〇
実名で通告することが憚れる場合、匿名で通告することも可能です。
3・・・✖
保留にしている間に、さらに重大な事件が起こる可能性があります。可能性を感じた時点で、通報することが早期発見・保護につながります。
4・・・〇
身体的虐待と考えられるあざがあるので、個人の判断で通告する必要もあると考えられます。
5・・・〇
虐待の疑われる事例のため、日々の対応・観察が必要です。状況に合わせ随時対応できるよう協議体制が必要です。
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02
「児童虐待の防止等に関する法律」第6条に「児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所に通告しなければならない。」という文があります。
身体的虐待が起きていると判断できるまで待つのではなく、疑いが見られた時点で速やかに関係機関に通告することが早期発見・防止に繋がります。
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03
下記の情報から、
L君が母親から虐待されている可能性が考えられます。
・L君の他児に対する威圧的な態度、
手が出るなどの行動
・L君の脇腹にあざがあった
・あざの数は1週間で増えていた
・L君は「お母さんにたたかれた」と言っていた
・母親の表情は硬いように感じられ、
L君を会話もなく連れ帰っていた
1 ○
「子ども虐待の手引き」によると、
受傷の程度によっては写真を撮ること、
また守秘義務について書かれています。
2 ○
「児童虐待防止法」第五条によると、
守秘義務のあるものが虐待について通報しても
罰せられることはありません。
また、同法第七条に、
通報者の匿名性について書かれています。
匿名で通報しても差し支えありません。
3 ×
「児童虐待防止法」第六条によると、
児童福祉施設の職員などの
児童の福祉に業務上関係のある者は、
児童虐待の早期発見に努めなければなりません。
また、速やかに通告することが求められています。
4 ○
上記「2」や「3」でも説明したとおり、
児童福祉施設の職員は、
児童虐待の早期発見に努めなければならず、
また、虐待を受けたと思われる児童を発見した場合は、
速やかに通告しなければなりません。
5 ○
保育所で支援していく方針にはなりましたが、
虐待の可能性は否定できない状況であり、
引き続き支援が必要だと考えられます。
「子ども虐待の手引き」に、
子ども虐待対応の原則の一つに、
組織的な対応が挙げられています。
組織的な対応により、
判断の偏りを正し、
正確な記録を残すことができる、
担当者ひとりに負担を負わせないなどの
メリットがあります。
また、保育園等の職員全体の連携だけでなく、
地域や市町村などとの連携も必要となってきます。
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