保育士 過去問
令和6年(2024年)後期
問15 (保育原理 問15)

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問題

保育士試験 令和6年(2024年)後期 問15(保育原理 問15) (訂正依頼・報告はこちら)

次のうち、障害のある子どもに対する合理的配慮の事例として、適切な記述を3つ選びなさい。
  • 知的障害のあるLちゃん(4歳、女児)は、他児が遊んでいる物を勝手に取り上げる、他児に暴言を吐くなどの行動が目立つが、そのことを指摘すると萎縮してしまうので、そのままにしておく。
  • 保育所の登園時、保護者と別れることがなかなかできない状態が続く発達障害のあるM君(3歳、男児)について、落ち着くまでしばらくの期間は、保護者が保育室にいられるようにする。
  • 脳性まひのN君(3歳、男児)は、みんなが使っているスプーンだと上手に食べられないため、柄が太くて握りやすく、角度も調整されたスプーンを使っている。
  • 言葉がけが十分に理解できない、医療的ケアが必要なP君(5歳、男児)には、遊びや生活などのすべてにおいて保育士が先回りして支援している。
  • 周囲の動きや音に敏感な発達障害のあるQちゃん(5歳、女児)は、みんなと同じ場所では不安を抱く場合があるため、一人で落ち着ける場所を用意しておく。

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この過去問の解説 (2件)

01

合理的配慮は、障害のある子どもが、ほかの子どもたちと同じように、安定した生活ができるように環境を整える支援のことです。

選択肢1. 知的障害のあるLちゃん(4歳、女児)は、他児が遊んでいる物を勝手に取り上げる、他児に暴言を吐くなどの行動が目立つが、そのことを指摘すると萎縮してしまうので、そのままにしておく。

Lちゃんの玩具で遊びたかった気持ちを受けとめ、玩具を取られたり、暴言を吐かれた他児の気持ちにも寄り添いながら、言葉では理解が難しいため、絵カードなどを活用して、「これ欲しかったの?」「Lちゃんに取られてイヤな気持ちなんだって」などと伝えながら、視覚支援をしていく。

選択肢2. 保育所の登園時、保護者と別れることがなかなかできない状態が続く発達障害のあるM君(3歳、男児)について、落ち着くまでしばらくの期間は、保護者が保育室にいられるようにする。

適切です。

 

選択肢として適切ではありますが、あまり長い期間保護者と一緒にいると、依存してしまう可能性もあるので、様子を見ながら少しずつ離れることができるようにします。

 

選択肢3. 脳性まひのN君(3歳、男児)は、みんなが使っているスプーンだと上手に食べられないため、柄が太くて握りやすく、角度も調整されたスプーンを使っている。

適切です。

 

握る力が弱いので、柄が太くて握りやすく、手首も動かしづらいため、角度が調整されている物を使用します。

選択肢4. 言葉がけが十分に理解できない、医療的ケアが必要なP君(5歳、男児)には、遊びや生活などのすべてにおいて保育士が先回りして支援している。

医療的ケアが必要な支援もありますが、すべての場面で先回りするのではなく、言葉での理解が十分でないのであれば、絵カードなどの視覚支援をしていくことで、自分でやろうとする意欲にもつなげていきます。

選択肢5. 周囲の動きや音に敏感な発達障害のあるQちゃん(5歳、女児)は、みんなと同じ場所では不安を抱く場合があるため、一人で落ち着ける場所を用意しておく。

適切です。

 

発達障害のある子どもは、発達過敏があるため、人の動きや音にストレスを感じるため、静かな落ち着ける空間が必要になります。

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02

障害のある子どもへの対応の問題です。

この問題の対応は障害の有無に関わらず、健常児にも当てはまる対応と言えます。

選択肢1. 知的障害のあるLちゃん(4歳、女児)は、他児が遊んでいる物を勝手に取り上げる、他児に暴言を吐くなどの行動が目立つが、そのことを指摘すると萎縮してしまうので、そのままにしておく。

×

不適切です。「欲しかったんだね」「嫌だったのね」と声をかけて、Lちゃんが望ましくない行動をするしかなかった気持ちに寄り添うことが必要です。その上で、どのような行動をすることが望ましかったのかをLちゃんの状況を考慮しながら伝えていくことが必要です。

選択肢2. 保育所の登園時、保護者と別れることがなかなかできない状態が続く発達障害のあるM君(3歳、男児)について、落ち着くまでしばらくの期間は、保護者が保育室にいられるようにする。

適切です。保護者と離れることに強い不安を感じている状態です。安心して園生活が送れるようになるまで、保護者と保育士が一緒にいることで、少しずつ園の環境に慣れていくことをねらいます。

選択肢3. 脳性まひのN君(3歳、男児)は、みんなが使っているスプーンだと上手に食べられないため、柄が太くて握りやすく、角度も調整されたスプーンを使っている。

適切です。障害により他児と同じスプーンが使いにくいN君にとって、体にあった使いやすいスプーンを使うことで自分で食事ができる環境を整えていると考えられます。保育士は一人ひとりの状況を考慮し、成長発達を促せるような環境を整える必要があります。

選択肢4. 言葉がけが十分に理解できない、医療的ケアが必要なP君(5歳、男児)には、遊びや生活などのすべてにおいて保育士が先回りして支援している。

×

不適切です。保育士は子どもが生活に困らないようにするために行動するのではなく、子どもが自ら必要性を感じ行動することを促す環境を整えることが求められます。従って、P君の場合にも遊びにおいてはP君の主体的な行動を重視し、生活においてはできることは自分で行い、困難であるところは保育士が支援することが大切です。

選択肢5. 周囲の動きや音に敏感な発達障害のあるQちゃん(5歳、女児)は、みんなと同じ場所では不安を抱く場合があるため、一人で落ち着ける場所を用意しておく。

適切です。感覚過敏な子にとっては、周囲の音や話し声等だけでなく、人が多い場所も落ち着かなかったり不安を感じたりすることがあります。不安を感じた場合に安心できる場所へ移動することができる環境を用意しておくことは、Qちゃんが安心して園生活を送ることを保障しています。

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