介護福祉士の過去問
第34回(令和3年度)
こころとからだのしくみ 問105

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問題

介護福祉士国家試験 第34回(令和3年度) こころとからだのしくみ 問105 (訂正依頼・報告はこちら)

Mさん(85歳、男性)は、通所介護(デイサービス)での入浴を楽しみにしていて、いつも時間をかけて湯につかっている。ある時、介護福祉職が、「そろそろあがりましょうか」と声をかけると、浴槽から急に立ち上がりふらついてしまった。
Mさんがふらついた原因として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 体温の上昇
  • 呼吸数の増加
  • 心拍数の増加
  • 動脈血酸素飽和度の低下
  • 血圧の低下

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は 5 です。

1.× この場合、体温上昇は適切な選択肢ではありません。入浴後は体温が約1℃上昇しますが、ふらつきを起こすほどの上昇ではありません。他の可能性を探った方がよいでしょう。

2.× この場合、呼吸数の増加は適切な選択肢ではありません。循環器疾患や呼吸器疾患を持つ高齢者は、肩までお湯につかると息苦しくなり呼吸数が増加することがあるので注意が必要です。

3.× この場合、心拍数の増加は適切な選択肢ではありません。しかし、42℃以上の熱いお湯につかると、心拍数が増え血圧が上昇します。血圧の乱高下は心臓や血管に負担がかかり、体調不良を起こす可能性があるので注意が必要です。

4.× この場合、動脈血酸素飽和度の低下は適切な選択肢ではありません。動脈血酸素飽和度が低下すると息苦しさや喘鳴などの症状がみられます。喘息や肺疾患を持つ高齢者は、入浴時の動作が負担になり息苦しさを感じることがあるので注意が必要です。

5.○ 体が温まりリラックスすることで血管が拡張されます。この時、血圧が下がらないように自律神経が働くのですが、それがうまく機能しないと血圧は低下したままで、脳に血液を送り込めなくなりふらつきが起こります。このような状態を起立性低血圧と呼びます。

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02

正解は5です。

時間をかけて湯船につかったことにより

副交感神経の働きにより低血圧となり、

急に立ち上がったことで、起立性低血圧が起こり

ふらついてしまったと考えられます。

1→長時間湯船につかることで、体温が上昇し

熱中症になる恐れはありますが、ふらつきの原因とはなりません。

そのため選択肢1は誤りです。

2→急激な温度変化により、息が苦しくなって

呼吸数が増加する可能性があります。

そのため選択肢2は誤りです。

3→選択肢2と同様に、急激な温度変化により

心臓に負担がかかるため心拍数が増加します。

4→動脈血酸素飽和度とは血液中に酸素がどのくらい供給されているか

確認するためにパルスオキシメーターで測定します。

動脈血酸素飽和度の低下が原因とは考えられないため

選択肢4は誤りです。

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03

正答5

浴槽から立ちあがろうとしてふらつく現象はいわゆる「立ちくらみ」が原因です。

湯船に浸かることで血管が拡張します。血液は拡張した血管の方に移動するので脳への血流が低下しますが、浴槽内では静水圧により体が圧迫されるため血管にも圧が加わり普段より多めに心臓へ血液が戻ってきます。心臓に戻ってきた血液は全身を循環し、脳の血流低下を防いでいます。

しかし、湯船から立ち上がることで血管の拡張を抑えていた静水圧がなくなり、重力の影響で下肢の血管に血流が留まります。

下肢に血流が流れることで脳への血流が一気に低下し、立ちくらみを起こします。

よって正答は5となります。

1. 誤り。入浴時の体温の変化により、血圧も変化します。体温が下がった際に、血圧も急激に下がることで失神を起こす場合があります。

2. 誤り。湯船に入ると静水圧の影響で腹囲が縮み、横隔膜が上に押し上げられます。横隔膜の押し上げで肺の容量が減少し空気量が減るため、補うために呼吸数が増加します。ただし、急な立ち上がりとふらつきとは関係はありません。

3. 誤り。42度以上の熱いお湯に入ると、交感神経が刺激され心拍数が上昇します。心拍数の上昇によって血圧も上がりますが、急な立ち上がりでのふらつきへの影響は強くありません。

4. 誤り。入浴時に動脈血酸素飽和度が低下します。影響としては血中の酸素量が低下することで息苦しさが生じるでしょう。ただし、急な立ち上がりによるふらつきとは関係がありません。

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