介護福祉士 過去問
第36回(令和5年度)
問78 (コミュニケーション技術 問5)

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問題

介護福祉士国家試験 第36回(令和5年度) 問78(コミュニケーション技術 問5) (訂正依頼・報告はこちら)

Gさん(70歳、女性、要介護1)は、有料老人ホームに入居していて、網膜色素変性症(retinitis pigmentosa)による夜盲がある。
ある日の夕方、Gさんがうす暗い廊下を歩いているのをH介護福祉職が発見し、「Hです。大丈夫ですか」と声をかけた。
Gさんは、「びっくりした。見えにくくて、わからなかった…」と暗い表情で返事をした。
このときのGさんに対するH介護福祉職の受容的な対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」
  • 「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」
  • 「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」
  • 「白杖(はくじょう)があるかを確認しておきます。白杖を使うようにしましょう」
  • 「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」

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この過去問の解説 (3件)

01

網膜色素変性症は遺伝子異常により網膜の細胞や死滅・変性がおき、視野の狭窄や視力の低下、夜盲などの症状があらわれます。

夜盲は暗い場所や夜間にものが見えにくくなる症状で、Gさんはこの症状がでている状態です。

 

問題はGさんが「びっくりした。見えにくくて、わからなかった…」と暗い表情で返事をしたことに対して、

 

・夜盲の方への配慮

・受容的(感情・言動をありのまま受け入れる)な対応

 

の2点を求められています。

選択肢1. 「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」

正解です。

「びっくりした。見えにくくて、わからなかった…」と暗い表情で返事したことに対しての、受容的な対応として最も最適な選択肢です。

選択肢2. 「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」

不正解です。

夜盲はくらいところで物が見えにくくなると同時に、明るい場所ではまぶしく感じ、全体的に白っぽく見える症状も見られます。

急に明るくすることは不適切の可能性があります。

選択肢3. 「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」

不正解です。

Gさんの「びっくりした。見えにくくて、わからなかった…」という言葉に対して「一緒に点字の練習を始めましょう」という言葉がけは受容的とは言い難い対応です。

選択肢4. 「白杖(はくじょう)があるかを確認しておきます。白杖を使うようにしましょう」

不正解です。

Gさんは視力の低下や狭窄はない状態で夜盲の症状がでています。

白状を使うようなアドバイスは不適切です。

選択肢5. 「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」

不適切です。

「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」という言葉は否定と励ましの言葉です。

「びっくりした。見えにくくて、わからなかった…」と暗い表情をしたGさんに対する受容的な対応ではありません。

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02

網膜色素変形症による夜盲ということから「夜間や暗いところでものが見えにくくなる症状があること」と「受容的な対応とは利用者の言葉、態度、特性などを否定せずに受け止めること」をポイントに適切な対応を選んでいきましょう。

選択肢1. 「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」

正解です。

Gさんが発した返事をそのまま否定せず、余計な提案をせず、ありのままに受け入れる対応は受容的な対応になります。

選択肢2. 「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」

不正解です。

Gさんの返事に対してワンクッション受け止めるような受容的な発言をすることが適切になります。

驚いたこと、見えにくかったということを受け止める言葉かけが、この問題での正解になります。

選択肢3. 「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」

不正解です。

この場合はGさんの発言から介護職員が勝手に決めつけ提案しているような印象を受けます。また、廊下を歩いていることと点字の練習は会話的にも繋がりがありません。

選択肢4. 「白杖(はくじょう)があるかを確認しておきます。白杖を使うようにしましょう」

不正解です。

この選択肢も、相手の返事を受け止めないまま提案をしているため受容的な対応になりません。

選択肢5. 「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」

不正解です。

暗い顔をしたことへの励ましは受容的な対応ではなく、相手の気持ちを考慮できていない身勝手な発言になってしまっています。

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03

この問題では、視覚障害という観点より

受容的な対応というところに注目して考えてみましょう。

選択肢1. 「驚かせてしまいましたね。一緒に歩きましょうか」

正解です。

 

まずは、驚かせてしまったことを謝罪し

この場面での関係性を作り上げてから

一緒に歩くという提案をしています。

 

(長期でも短期でも)関係性の構築から、

利用者への働きかけを行うことが正しい順序です。

選択肢2. 「明るいところを歩きましょう。電気をつけたほうがいいですよ」

間違いです。

 

まずは、受容的な態度を示すことが必要です。

助言やアドバイスはそのあとで行うべきです。

選択肢3. 「見えにくくなってきたのですね。一緒に点字の練習を始めましょう」

間違いです。

 

「見えにくくなってきたのですね。」の声掛けは

受容的態度ではなく、確認作業です。

受容的態度とは、感情や気持ちに対して行うものです。

選択肢4. 「白杖(はくじょう)があるかを確認しておきます。白杖を使うようにしましょう」

間違いです。

 

まずは、受容的な態度を示すことが必要です。

助言やアドバイスはそのあとで行うべきです。

選択肢5. 「暗い顔をしないでください。頑張りましょう」

間違いです。

 

まずは、受容的な態度を示すことが必要です。

激励はそのあとで行うべきです。

まとめ

援助者が利用者へ援助するときの順序、組み立ての考え方として

マイクロ技法階層表というものがあり、簡略的に説明すると

下記の①~④の順に援助していくもので

①や②のかかわりで信頼関係の構築や利用者ニーズの把握をしてから

③や④につなげていくというものです。

 

①基本的関り技法(かかわり行動:言語追跡など)

②基本的傾聴の連鎖(質問、言い換え、繁栄などの傾聴技術)

③積極技法(指示、教示、提案、情報提供、矛盾、対決など)

④技法の統合

 

選択肢の中で、傾聴や信頼関係の構築が最初に来ているものは

一つであることが理解できると思います。

 

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