介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問60 (医療的ケア 問2)

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問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問60(医療的ケア 問2) (訂正依頼・報告はこちら)

次の記述のうち、痰(たん)を喀出(かくしゅつ)する仕組みに関するものとして、正しいものを1つ選びなさい。
  • 呼吸器官の内部は乾燥した状態になっている。
  • 気管の内部の表面には絨毛(じゅうもう)があり、分泌物の侵入を防いでいる。
  • 分泌物は、咽頭で吸収される。
  • 痰は、咳(せき)や咳払(せきばら)いによって排出される。
  • 咳は、下垂体にある咳中枢(せきちゅうすう)によっておこる反射運動である。

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この過去問の解説 (3件)

01

痰を喀出する仕組みについての問題です。

痰は、分泌物や異物(ほこりや細菌など)が混ざったもので、異物を捕まえて体の奥に入らないようにしています。

つまり、咳反射によって体を守る役割を果たしています。

選択肢1. 呼吸器官の内部は乾燥した状態になっている。

×

呼吸器官の内部は粘液で覆われており、異物の侵入を防ぐ働きをしています。

乾燥していると異物の除去がうまくできません。

選択肢2. 気管の内部の表面には絨毛(じゅうもう)があり、分泌物の侵入を防いでいる。

×

器官の表面にあるのは線毛で、これが粘液とともに異物を外へ運ぶ役割を果たしています。

絨毛は主に小腸などの消化器官の粘膜に存在し、栄養の吸収に関わるものです。

選択肢3. 分泌物は、咽頭で吸収される。

×

分泌物は咽頭で吸収されるのではなく、通常は飲み込まれるか、咳などで体外に排出されます。

選択肢4. 痰は、咳(せき)や咳払(せきばら)いによって排出される。

痰は気道にたまった分泌物や異物を、咳や痰払いの反射運動で排出させます。

咳反射は、呼吸器を清潔に保つ生体防御の1つです。

選択肢5. 咳は、下垂体にある咳中枢(せきちゅうすう)によっておこる反射運動である。

×

咳の反射運動は延髄にある咳中枢で制限されています。

下垂体はホルモンの分泌を行う内分泌器官で、咳の反射とは関係がありません。

まとめ

まとめ

痰は、粘液と異物が混じったもので、咳払いによって排出されます。

粘液、線毛運動、咳払いの反射によって呼吸器を守っています。

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02

痰を喀出することは、健康上大切なことで、

痰を喀出できないと、肺にたまってしまい

息苦しくなり、酸素飽和度が減少したりします。

 

自力で喀出できない場合には、吸引器で吸うこともあります。

ただし、これは医療行為であり、医療従事者や一定の研修を受けた介護職のみに

許されている行為です。

選択肢1. 呼吸器官の内部は乾燥した状態になっている。

×:誤りです。

 

逆に、湿った状態になっています。

水分を含んだ痰が喀出されていきます。

喀痰などの分泌物を体外に出そうとする

喀痰を伴う湿った咳のことを湿性咳嗽と呼び、

また、喀痰を伴わない咳は乾性咳嗽と言います。

選択肢2. 気管の内部の表面には絨毛(じゅうもう)があり、分泌物の侵入を防いでいる。

×:誤りです。

 

内部の表面に絨毛があるのは小腸で、

これは異物の排出ではなく、栄養や水分の吸収をしています。

気管の表面には線毛があり、

これが異物を喉の方向へ運び出す働きをしています。

また、喉頭にある喉頭蓋で気管に分泌物などの異物の侵入を防いでいます。

 

選択肢3. 分泌物は、咽頭で吸収される。

×:誤りです。

 

咽頭は分泌物が気管に入るのを防いでいます。

誤って気管に入る(誤嚥)と、誤嚥性肺炎になるリスクがあります。

選択肢4. 痰は、咳(せき)や咳払(せきばら)いによって排出される。

○:正しいです。

 

痰や食残などの異物が気管や肺に入ると、

誤嚥性肺炎や酸素不足になるリスクがあるので、

咳や咳払いで排出します。

選択肢5. 咳は、下垂体にある咳中枢(せきちゅうすう)によっておこる反射運動である。

×:誤りです。

 

咳は、脳幹の一部である延髄にある咳中枢の働きで行われます。

下垂体はホルモン分泌に影響を与えている器官で、

咳には直接関与はしていません。

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03

正解は「痰は、咳(せき)や咳払(せきばら)いによって排出される」です。

 

痰を排出しようとして、体の自然なメカニズムで咳や咳払いをします。
ちなみに痰は、肺の分泌物や空気中に含まれる異物を絡みとった気道の粘液が、溜まってしまったものです。

選択肢1. 呼吸器官の内部は乾燥した状態になっている。

不適切

 

呼吸器官の内部は湿った状態になっているので、不適切となります。

選択肢2. 気管の内部の表面には絨毛(じゅうもう)があり、分泌物の侵入を防いでいる。

不適切

 

気管内部の表面にあるのは絨毛(じゅうもう)ではなく、線毛(せんもう)なので、不適切となります。

選択肢3. 分泌物は、咽頭で吸収される。

不適切

 

分泌物は咽頭で吸収されるわけではないので、不適切となります。

選択肢4. 痰は、咳(せき)や咳払(せきばら)いによって排出される。

適切

 

咳(せき)や咳払(せきばら)いは、痰を体から効率的に排出するための正常な反応です。
よってこの選択肢が最も適切となります。

選択肢5. 咳は、下垂体にある咳中枢(せきちゅうすう)によっておこる反射運動である。

不適切

 

咳中枢(せきちゅうすう)は、下垂体ではなく延髄にあるので不適切となります。

まとめ

今回の問題は、痰(たん)を喀出(かくしゅつ)する仕組みについてでした。


体の内部の名称や構造をしっかりと暗記しておく必要があります。
単語で覚えると記憶に残りづらいので、各部位の関係性を説明するようにつなげて覚えるのがおすすめです。

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