介護福祉士 過去問
第37回(令和6年度)
問67 (介護の基本 問4)

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問題

介護福祉士試験 第37回(令和6年度) 問67(介護の基本 問4) (訂正依頼・報告はこちら)

ICF(International Classification of Functioning, Disability and Health:国際生活機能分類)における「参加」と「活動」の2つが関連した、認知症の人の支援に関する記述として、最も適切なものを1つ選びなさい。
  • 若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type with early onset)があり、治療している。
  • 認知症カフェに通い、体操をしている。
  • 近所に住む長男が、買物を代行している。
  • 自宅にある広い庭を、バリアフリー化している。
  • 見当識障害があり、GPS装置を身に着けている。

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この過去問の解説 (3件)

01

ICFの主要な2つの構成要素に「活動」と「参加」があります。

活動:個人が課題や行為を遂行すること

参加:生活や社会の中で役割を果たすこと

 

この設問は、認知症の支援において活動と参加が関連しているものを選ぶことがポイントです。

選択肢1. 若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type with early onset)があり、治療している。

×

治療は健康状態への介入であり、直接の活動や参加とは言えません。

選択肢2. 認知症カフェに通い、体操をしている。

認知症カフェという社会的な場に出かけ、体操という身体活動を行っています。

つまり、認知症カフェに通うという社会的役割・場への関わり参加

体操をするという特定の行為の遂行活動

です。

選択肢3. 近所に住む長男が、買物を代行している。

×

本人の活動・参加ではなく、家族による代行なので、不適切です。

選択肢4. 自宅にある広い庭を、バリアフリー化している。

×

環境因子への介入であり、本人の活動や参加の実際の遂行ではありません。

選択肢5. 見当識障害があり、GPS装置を身に着けている。

×

GPS装置の着用は補助的環境因子であり、活動や参加そのものではありません。

まとめ

まとめ

活動は「個人レベルでの遂行能力」、参加は「社会的・生活的な場面での役割」とされています。

認知症の人の支援では、活動と参加の両立がQOLの向上に重要です。

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02

ICFは、「国際生活機能分類」と呼ばれ2001年に世界保健機関(WHO)で採択されました。

このICF以前はICIDH(国際障害分類)と呼ばれる「疾患 → 機能障害 → 能力障害 → 社会的不利」という

一方通行の考え方かつ、マイナス面にのみ注目される考え方でした。

 

「障害があるから、これができない」というマイナス面だけを見るのではなく、

「その人が生活する上で、何ができて、どんな可能性(プラス面)があるのか」という

ストレングスモデルエンパワメントモデル生活モデルの考え方に即しています。

 

・心身機能・身体構造(生命レベル): 手足の動き、視力、精神状態など、個人の心と体の働きや構造。

・活動(個人レベル): 歩く、食べる、着替えるなど、個人が行う具体的な行為や動作。

・参加(社会・人生レベル): 仕事、家庭での役割、地域活動への参加など、社会生活に関わること。

・環境因子:住んでいる家、使えるサービス、家族の協力など。

・個人因子:年齢、性格、価値観など。

 

※個人因子と環境因子の区別の仕方として、

主語が利用者本人→個人因子

主語が利用者以外→環境因子

と考えてください。

 

ICFの典型図は下図のようになっていて、

全ての矢印が双方向になっていることから

関連しあっていると言え、

「人と環境との相互作用」を基本とする

生活モデルを可視化したものと言えます。

選択肢1. 若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type with early onset)があり、治療している。

×:誤りです。

 

これは、「健康状態」に該当します。

選択肢2. 認知症カフェに通い、体操をしている。

○:正しいです。

 

認知症カフェに通うという集団への「参加」と

そこで体操をしているという個人が行う「活動」が関連しています。

 

認知症カフェという社会に参加し、

そこで体操をするかしないかは個人の活動(自由)

と判断でき、他の選択肢と比較のうえで

この選択肢が最も適切と判断できます。

選択肢3. 近所に住む長男が、買物を代行している。

×:誤りです。

 

これは、近所に住む長男という「環境因子」が

買い物という本来であれば本人の行う「活動を代行している

という解釈で、環境因子と活動が関連していると言えます。

選択肢4. 自宅にある広い庭を、バリアフリー化している。

×:誤りです。

 

これは、「環境因子」に該当します。

選択肢5. 見当識障害があり、GPS装置を身に着けている。

×:誤りです。

 

これは、見当識障害という「心身機能・身体構造」と

GPS装置を身に着けている「環境因子」が関連しています。

 

※「認知症の利用者がGPSを身に着けている」と考えると

主語が利用者本人になるので個人因子と考えてしまう恐れがありますが、

GPSは利用者の内面的な問題や主体的な行動ではありません。

「GPSが利用者本人に影響を与えている」と考えられるため、

主語はGPSになり、外的要因=環境因子となります。

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03

正解は「認知症カフェに通い、体操をしている」です。

 

ICF(国際生活機能分類)の考え方は、人が生きることそのものを生活機能として、本人の残存機能を大きくしていこうというものです。
認知症カフェに通うことで社会に「参加」しており、その中で体操の「活動」に取り組んでいるといえます。

選択肢1. 若年性アルツハイマー型認知症(dementia of the Alzheimerʼs type with early onset)があり、治療している。

不適切

 

治療していることは、「参加」と「活動」に関連していないので不適切となります。

選択肢2. 認知症カフェに通い、体操をしている。

適切

 

認知症カフェに通って体操することは、「参加」と「活動」に関連しているので、最も適切な選択肢といえます。

選択肢3. 近所に住む長男が、買物を代行している。

不適切

 

「参加」に関連していないので、不適切といえます。

選択肢4. 自宅にある広い庭を、バリアフリー化している。

不適切

 

自宅の庭をバリアフリーにすることは、ICFの「環境因子」に該当するので不適切となります。

選択肢5. 見当識障害があり、GPS装置を身に着けている。

不適切

 

「参加」「活動」に関連していないので、不適切となります。

まとめ

今回の問題は、ICF(国際生活機能分類)の「参加」と「活動」に関するものでした。

 

生活機能は3つに構成されていて、「心身機能・身体構造」「参加」「活動」に分類されています。
そしてその背景として「環境因子」「個人因子」の2つの組み合わせです。
構造が複雑に見えますが、一つひとつ把握していくと関係性が見えてくるでしょう。

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