管理栄養士の過去問
第33回
臨床栄養学 問124

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問題

第33回 管理栄養士国家試験 臨床栄養学 問124 (訂正依頼・報告はこちら)

45歳、男性。事務職。身長170cm、体重75kg、BMI26.0kg/m2、腹部CT測定により内臓脂肪面積110cm2であった。血圧125/80mmHg。空腹時血液検査値は、血糖100mg/dL、トリグリセリド140mg/dL。その他、特別な健康障害はみられない。この患者の病態と栄養管理に関する記述である。
正しいのはどれか。1つ選べ。
  • 肥満症である。
  • メタボリックシンドロームである。
  • 脂質異常症と診断される。
  • エネルギー摂取量は、35kcal/kg標準体重/日とする。
  • 1か月に10%の減量を目標とする。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解:1

◎1:肥満症である。
  → 正しい選択肢です。

BMI 25〜35で肥満、35以上で高度肥満となります。
それに加え、肥満に起因・関連する健康障害があるか、内臓脂肪の蓄積があれば肥満症(BMI 35以上では高度肥満症)と診断されます。

出題の男性は、肥満(BMI 26.0kg/m2)と内臓脂肪の蓄積(腹部CT測定により内臓脂肪面積 110cm2)から肥満症であると判断できます。

 2:メタボリックシンドロームである。
  →出題の男性は、メタボリックシンドロームには該当しません。

メタボリックシンドロームは内臓脂肪の蓄積を必須項目とし、高血糖・高血圧・脂質異常のうち2つ以上を合併している場合に診断されます。
それぞれの基準値は以下の通りです。

・ウエスト周囲径:男性85cm以上、女性90cm以上(内臓脂肪面積100cm2以上に相当)

・血糖値:空腹時血糖110mg/dL以上

・血圧:収縮期血圧130mmHg以上、拡張期血圧85mmHg以上の両方またはどちらか

・血清脂質:トリグリセリド150mg/dL以上、HDLコレステロール40mg/dL未満の両方またはどちらか

 3:脂質異常症と診断される。
  →出題の男性は、脂質異常症とは診断されません。

脂質異常症の診断基準は以下の通りです。

・高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール 140mg/dl以上

・低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール 40mg/dl未満

・高トリグリセリド血症:中性脂肪 150mg/dl以上

 4:エネルギー摂取量は、35 kcal/kg標準体重/日とする。
  →肥満症の食事療法では、摂取エネルギーは25 kcal/kg標準体重/日以下とします。高度肥満症では、20〜25 kcal/kg標準体重/日以下とします。

 5:1か月に10%の減量を目標とする。
  →肥満症では、3〜6カ月を目安に現体重の3%の減量を目標とします。
   高度肥満症では、合併する健康障害に応じて、現体重の5〜10%、またはそれ以上の減量を目標とします。

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02

正解は【1】です。

1 . 肥満症である。
○肥満症:25 ≦ BMI < 35/高度肥満:BMI ≧ 35
(健康障害併発の場合は「高度肥満症」)

2 . メタボリックシンドロームである。
×メタボリックシンドロームの診断には、内臓脂肪の蓄積(ウエスト周囲径)が必須条件で、それに加えて、血圧・血糖・血清脂質のうち2つ以上が基準値を超えていることが条件です。

◆必須項目
ウエスト周囲径*(内臓脂肪蓄積)ーーー男性 ≥ 85cm/女性 ≥ 90cm
(*内臓脂肪面積 男女ともに≥100cm2に相当)

◆選択項目(3項目のうち2項目以上)
☆高トリグリセリド血症ーーーーー≥ 150mg/dL
かつ/または
低HDLコレステロール血症ーーー< 40mg/dL
☆収縮期(最大)血圧≥ ーーーーー130mmHg
かつ/または
拡張期(最小)血圧≥ ーーーーー85mmHg
☆空腹時高血糖ーーーーーーーーー≥ 110mg/dL


3 . 脂質異常症と診断される。
×脂質異常症の診断基準は次のいずれかに該当する場合です。
・血清LDLコレステロール値140mg/dL以上
・血清HDLコレステロール値40mg/dL未満
・血清トリグリセリド値150mg/dL以上

4 . エネルギー摂取量は、35kcal/kg標準体重/日とする。
×エネルギー摂取量は次の3段階で設定します。
・高エネルギー :35kcal/kg標準体重/日
・普通エネルギー:30kcal/kg標準体重/日
・低エネルギー :25kcal/kg標準体重/日
肥満症では、体重減少が目標となるため、低エネルギーが設定されます。

5 . 1か月に10%の減量を目標とする。
×減量目標は、肥満症:3%以上/高度肥満症:5〜10%としています。


<参考>
解答1,5:日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2016」
解答2:厚生労働省「e-ヘルスネット」

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03

1.BMI 26、内臓脂肪面積110cm²から肥満症と診断されるので〇です。

2.症例の患者は、内臓脂肪面積しかメタボリックシンドロームの項目に該当しないので×です。

3.LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリドのいずれも、脂質異常症の基準を満たさないので×です。
 
4.肥満症のエネルギー摂取量は、25 kcal/kg標準体重/日以下とするので×です。

5.肥満症は、3カ月から半年の期間で現体重の3%減を目標とするので×です。

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