問題
患者は、72歳、女性。下部食道がん切除および胃管を用いた再建手術の目的で入院した。
身長150cm、体重40kg、BMI 17.8kg/m2。標準体重50kg。基礎代謝量920kcal/日。入院前、食べ物がつかえる感じはあったが、通常量程度の食事は摂取できていた。入院後も、経口摂取を継続している。
患者は、放射線治療後に手術を受ける予定である。術直後からの栄養補給方法と、提供する食事または経腸栄養剤の組合せである。最も適切なのはどれか。1つ選べ。
この問題では術後の状態を把握し、適切な栄養摂取法を導く必要があります。
下部食道がん切除および胃管を用いた再建手術とは、胃を持ち上げて食道と吻合する手術です。
不適切です。
術後は食道や胃の機能が弱まるため、嚥下力が弱くなります。
誤嚥を起こす危険性もあるため、経口摂取は望ましくありません。
不適切です。
成分栄養剤とはアミノ酸からなる経腸栄養剤で、体内で消化の必要がありません。
そのため消化管の安静が保てます。
成分栄養剤を提供することは正しいですが、食道を切除しているため、食道瘻は適していません。
不適切です。
胃を持ち上げて食道と吻合する手術後には、胃瘻は適していません。
適切です。
手術していない空腸から栄養を入れることが望ましいです。
この設問について考慮するポイントは以下のとおりです。
・下部食道から胃への手術後である。
・どのような手段で栄養補給をするのが適切か。
・術後患部に負担をかけずその他の器官はきちんと使用する。
これらを踏まえて栄養補給の方法と食形態を考えていきましょう。
不適です。
食道・胃部の術後患者は嚥下機能が満足でないため、経口栄養法は適していません。
誤嚥の恐れがあります。
不適です。
本設問の患者は食道を切除しているため、食道瘻は適していません。
不適です。
胃は術後には安静に保つ必要があります。
そのため、胃瘻は適していません。
正しいです。
空腸以下の消化管は手術をしていないので消化・吸収機能に問題はありません。
そのため空腸瘻が適しています。
成分栄養剤とは、
・食物繊維が含まれず、残渣がほとんど残らない
・栄養素は完全に消化されている(消化管では吸収されるのみ)
・消化の必要がない
といった特徴を持つ経腸栄養剤です。
消化管に負担をかけず栄養を補給するのに適しています。
患者の病態・栄養状態に合わせて選択されます。