管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問24

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問24 (訂正依頼・報告はこちら)

糖尿病の合併症に関する記述である。誤っているのはどれか。1つ選べ。
  • 高浸透圧高血糖状態は、急性合併症である。
  • 糖尿病網膜症の初期にみられる自覚症状は、失明である。
  • 浮腫は、腎症の症状である。
  • 起立性低血圧は、神経障害の症状である。
  • 急性心筋梗塞は、大血管障害である。

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この過去問の解説 (3件)

01

糖尿病は、インスリンの作用不足によって

慢性の高血糖状態となる代謝異常です。

それに伴いさまざまな合併症が生じます。

三大合併症として、網膜症、腎症、神経障害があります。

 

選択肢1. 高浸透圧高血糖状態は、急性合併症である。

正しいです。

高浸透圧高血糖状態では顕著な高血糖、血清浸透圧上昇、

高度の脱水状態となります。

2型糖尿病の高齢者の多くにみられます。

選択肢2. 糖尿病網膜症の初期にみられる自覚症状は、失明である。

誤りです。

誤っているものを選ぶ問題のため正解となります。

 

糖尿病網膜症の初期は症状がなく、気づきにくいですが、

末期で失明まで進行する場合があります。

選択肢3. 浮腫は、腎症の症状である。

正しいです。

 

糖尿病腎症では、浮腫、高血圧、尿毒症、心不全などが起こり

透析導入の原因となります。

選択肢4. 起立性低血圧は、神経障害の症状である。

正しいです。

 

起立性低血圧は起立時に収縮期血圧が20~30mmHgあるいは

拡張期血圧が10~15mmHg以上低下した場合をいいます。

失神や転倒の原因となります。

 

選択肢5. 急性心筋梗塞は、大血管障害である。

正しいです。

 

高血糖が原因で起こる血管障害は

細小血管障害(三大合併症:網膜症、腎症、神経障害)と

大血管障害(動脈硬化性疾患)に分類されます。

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02

糖尿病とは、インスリンの分泌障害やインスリン抵抗性亢進によるインスリンの作用不足により、細胞に糖が正常に取り込まれず、慢性の高血糖となる疾患です。

糖尿病は成因により1型糖尿病と2型糖尿病に大別されます。

1型糖尿病は、膵臓のβ細胞障害による高度のインスリン分泌障害により起こります。

2型糖尿病は、インスリンの作用不足(インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増加)により起こります。

選択肢1. 高浸透圧高血糖状態は、急性合併症である。

正しい文章です。

 

高浸透圧高血糖状態は、2型糖尿病に多い急性合併症です。

他に、糖尿病ケトアシドーシス、乳酸アシドーシス、低血糖性昏睡があります。

選択肢2. 糖尿病網膜症の初期にみられる自覚症状は、失明である。

誤っている文章です。

 

糖尿病網膜症の初期には自覚症状はほとんどありません。

進行すると視力低下や飛蚊症などが起こり、さらに進行すると失明します。

選択肢3. 浮腫は、腎症の症状である。

正しい文章です。

 

腎症の初期には自覚症状はほとんどありませんが、進行すると、浮腫や貧血などが起こります。

選択肢4. 起立性低血圧は、神経障害の症状である。

正しい文章です。

 

起立性低血圧は自律神経の調節機能がうまく働かないことが原因で起こります。

原因疾患が明らかでない突発性起立性低血圧と、原因疾患が明らかな2次性起立性低血圧があります。

原因疾患としては糖尿病が最も多いとされています。

 

選択肢5. 急性心筋梗塞は、大血管障害である。

正しい文章です。

 

大血管障害とは、動脈硬化によって太い血管が傷害される合併症で、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、末梢動脈疾患などが含まれます。

原因は、血管の壁にコレステロールが溜まることで冠動脈の壁が厚くなり、血栓が形成されることです。

糖尿病の患者では、血糖値が高い状態が続くと動脈硬化が進行し、大血管障害を起こすリスクが高まります。

 

まとめ

糖尿病の合併症には、高度のインスリンの作用不足によって起こる急性合併症と高血糖が持続することで起こる慢性合併症があります。

慢性合併症は大血管障害と細小血管障害に分けられます。

 

急性合併症の原因には、感染症に罹患した場合や治療の中断、糖分の多い飲料水を大量に飲んだ場合があります。

症状には、喉の渇き、多尿、倦怠感、嘔吐、腹痛、意識障害があります。

 

糖尿病の大血管障害

・虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)

・脳血管障害(脳梗塞)

・閉塞性動脈硬化症(虚血性病変を生じる)

 

糖尿病の細小血管障害

・網膜症(網膜剥離、失明)

・腎症(ネフローゼ症候群)

・神経障害(しびれ、起立性低血圧、脳神経障害、足壊疽による足切断)

 

糖尿病の細小血管障害の網膜症、腎症、神経障害は糖尿病の三大合併症と呼ばれます。

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03

糖尿病のメカニズムを押さえておくと合併症も理解しやすいです。

メカニズム、合併症、治療方法を整理しておきましょう。

選択肢1. 高浸透圧高血糖状態は、急性合併症である。

(〇)

 

糖尿病の急性合併症には、著しい高血糖と高浸透圧による高血糖高浸透圧症候群と糖尿病性ケトアシドーシスがあります。

前者は2型糖尿病、後者は1型糖尿病に多いです。脱水を伴います。

選択肢2. 糖尿病網膜症の初期にみられる自覚症状は、失明である。

(×) 糖尿病網膜症の初期にみられる自覚症状はありません。

 

糖尿病網膜症には、進行の程度により病期が分類されます。

初期には自覚症状はなく、中等度では目のかすみを自覚し、重症になると視力低下を自覚するようになります。

さらに進行すると網膜剥離、緑内障をきたし失明します。

選択肢3. 浮腫は、腎症の症状である。

(〇)

 

糖尿病性腎症では、糸球体の最小血管に障害がおき、たんぱく質が漏れ出します。

たんぱく質の漏出により浮腫が生じます。

選択肢4. 起立性低血圧は、神経障害の症状である。

(〇)

 

糖尿病性神経障害の症状には感覚神経障害と自律神経障害の両者は併存する多発神経障害を認めることが多いです。

自律神経障害には、起立性低血圧・下痢・便秘・排尿障害等があります。

感覚神経障害にが手足のしびれや感覚麻痺がみられます。

選択肢5. 急性心筋梗塞は、大血管障害である。

(〇)

 

糖尿病では最小血管障害がメインですが、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など大血管障害もみられます。

 

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