管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問28

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問28 (訂正依頼・報告はこちら)

循環器疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 褐色細胞腫は、本態性高血圧の原因となる。
  • 新規発症した狭心症は、安定狭心症である。
  • 急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇する。
  • 下肢の閉塞性動脈硬化症は、肺塞栓のリスク因子である。
  • 脚気心は、ビタミンB6欠乏で起こる。

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この過去問の解説 (3件)

01

循環器疾患についてのポイントを押さえておきましょう。

選択肢1. 褐色細胞腫は、本態性高血圧の原因となる。

褐色細胞腫は、二次性高血圧の原因となります。

 

本能性高血圧とは原因がはっきりしていないものです。

高血圧症の90%以上は本能性高血圧となっています。

生活習慣が関わっているものが多いです。

二次性高血圧とは、腎性高血圧、原発性アルドステロン症、

褐色細胞腫など原因が明らかなものをいいます。

選択肢2. 新規発症した狭心症は、安定狭心症である。

新規発症した狭心症は、不安定狭心症です。

 

安定狭心症とは、症状が3週間以上安定している狭心症のことをいいます。

症状が安定しており、冠動脈の器質的狭窄の場合が多いです。

不安定狭心症とは、3週間以内に発作の頻度や程度が増していたり、

安静時にも胸痛を自覚します。

不安定狭心症は心筋梗塞に移行しやすいとされています。

選択肢3. 急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇する。

正解です。

 

クレアチンキナーゼ(CK)とは、筋肉や脳などに多く含まれます。

クレアチンキナーゼは、筋肉が障害を受けた時に血中に多く放出されます。

そのため、心筋梗塞などの筋肉の異常の指標となります。

選択肢4. 下肢の閉塞性動脈硬化症は、肺塞栓のリスク因子である。

下肢の静脈血栓症が、肺塞栓のリスク因子です。

 

肺塞栓はエコノミークラス症候群ともいわれています。

航空機などに長時間座っているために形成された下肢静脈の血栓が剥離し、

肺動脈に詰まり肺塞栓を発症します。

閉塞性動脈硬化症は動脈が閉塞し、手足の動脈で起こり、

症状がひどくなった場合、潰瘍や壊死が起こります。

選択肢5. 脚気心は、ビタミンB6欠乏で起こる。

脚気心は、ビタミンB欠乏で起こります。

 

ビタミンB6欠乏で起こる病気としては、

舌炎、皮膚炎、神経炎などがあります。

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02

心臓、血管疾患、治療をそれぞれ整理しておきましょう。

選択肢1. 褐色細胞腫は、本態性高血圧の原因となる。

(×) 褐色細胞腫は、二次性高血圧の原因となります。

 

高血圧は、生活習慣病などの原因は明確でない本態性高血圧と原因が明確である二次性高血圧に分けられます。

二次性高血圧の原因は腎症や腎動脈の狭窄などがあげられます。

褐色細胞腫はカテコールアミン生産腫瘍であり、高血圧や高血糖を引き起こすため、二次性高血圧に分類されます。

選択肢2. 新規発症した狭心症は、安定狭心症である。

(×) 新規発症した狭心症は、安定狭心症とは限りません。

 

狭心症には生活習慣病により冠動脈にプラークが沈着し、徐々に大きくなり狭心症の症状を認める安定狭窄症以外に、冠動脈の攣縮により狭心症の症状を認める冠攣縮性狭心症があります。

選択肢3. 急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇する。

(〇)

 

虚血により心筋が壊死したことを心筋梗塞といいます。心筋の壊死に伴い、心筋細胞からCK、CK-MB、AST、LDHなどの酵素やトロポニンTのようなたんぱく質が逸脱し、血中に放出される。よって、急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇します。

選択肢4. 下肢の閉塞性動脈硬化症は、肺塞栓のリスク因子である。

(×) 下肢の深部静脈血栓症は、肺塞栓のリスク因子です。

 

肺塞栓のリスク因子には、長時間の同じ姿勢の保持により、静脈の血流速度が低下し、深部静脈に血栓が生じる深部静脈血栓症があります。

下肢閉塞性動脈硬化症は生活習慣による下肢の動脈硬化により血流が低下し、足のしびれや疼痛、重症の場合は潰瘍や壊死に陥る疾患です。

選択肢5. 脚気心は、ビタミンB6欠乏で起こる。

(×) 脚気心はビタミンB₁欠乏で起きます。

 

糖質の代謝に必要なビタミンB₁の持続的な欠乏により脚気が生じます。

ビタミンB₁不足により高心拍出性心不全をきたした病態を脚気心といいます。

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03

循環器疾患について、病態を把握しましょう。

選択肢1. 褐色細胞腫は、本態性高血圧の原因となる。

不適です。

 

褐色細胞腫は、二次性高血圧症の内分泌生高血圧症の原因となります。

 

本態性高血圧は、原因の明らかでない高血圧であり、高血圧全体の9割を占めます。

原因疾患があるのは、二次性高血圧症です。

 

選択肢2. 新規発症した狭心症は、安定狭心症である。

不適です。

 

新規発症した狭心症は、不安定狭心症です。

 

狭心症は、冠動脈の狭窄などにより一過性の心筋虚血を起こす疾患です。

狭心症には、労作性狭心症、冠攣縮性狭心症、不安定狭心症があります。

 

不安定狭心症は、最近新たに出現、もしくは徐々に増悪、もしくは安静時にも出現する狭心症であり、急性心筋梗塞や突然死に至る可能性があります。

選択肢3. 急性心筋梗塞では、血中クレアチンキナーゼ(CK)値が上昇する。

適切な文章です。

 

急性心筋梗塞では、冠動脈の血流が急激に減少することにより心筋が壊死した病態です。

動脈壁の障害により動脈内膜が厚くなってプラークを形成し、このプラークが破綻することで血栓が形成され、血流が途絶えて組織の梗塞が起こります。

心筋の壊死に伴い、血中クレアチンキナーゼ、アスパラギン酸アミノ基転移酵素、アラニンアミノ基転移酵素、乳酸脱水素酵素などが逸脱酵素として血中に現れ基準値以上に上昇します。

選択肢4. 下肢の閉塞性動脈硬化症は、肺塞栓のリスク因子である。

不適です。

 

下肢の深部静脈血栓症は、肺塞栓のリスク因子です。

 

下肢の閉塞性動脈硬化症は、重症になると壊疽を起こし、足を切断しなければならないケースもあります。

選択肢5. 脚気心は、ビタミンB6欠乏で起こる。

不適です。

 

脚気心は、ビタミンB1欠乏で起こります。

 

脚気心とは、ビタミンB1が欠乏して起こる脚気の症状の一つで、心不全を発症した場合を指します。

 

まとめ

狭心症と心筋梗塞

 

狭心症及び心筋梗塞では、胸痛発作がみられ、狭心症での発作は数分〜15分程度であるのに対し、心筋梗塞での発作は15分以上持続します。

 

労作性狭心症

 動脈硬化による器質的狭窄。労作時に出現。

 硝酸薬著効。

 

冠攣縮性狭心症

 冠動脈の攣縮による一過性の狭窄〜完全閉塞。夜間〜早朝、安静時に出現。

 硝酸薬著効。

 

不安定狭心症

 プラーク破綻、血栓形成による狭窄。

 新たに出現、徐々に増悪、安静時にも出現。

 高リスクでは硝酸薬無効。

 

急性心筋梗塞

 プラーク破綻、血栓形成による完全閉塞。

 激烈な胸部痛、15分以上継続。

 硝酸薬無効。心筋壊死に至る。

 

 

不安定狭心症と急性心筋梗塞を区別するのは困難な場合もあります。

不安定狭心症、急性心筋梗塞、心臓突然死を合わせて急性冠症候群と呼びます。

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