管理栄養士 過去問
第38回
問30 (午前の部 問30)

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問題

管理栄養士国家試験 第38回 問30(午前の部 問30) (訂正依頼・報告はこちら)

腎・尿路系疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与する。
  • 血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれる。
  • 出血性ショックは、腎後性の急性腎障害(AKI)の原因になる。
  • 慢性腎不全では、低リン血症がみられる。
  • 末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能低下症がある。

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この過去問の解説 (3件)

01

腎臓の尿路系器官の構造、疾患、ホルモンなど整理しておきましょう。

選択肢1. 急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与する。

(〇)

 

急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が原因となります。

選択肢2. 血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれる。

(×) 血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれません。

 

ネフローゼ症候群は3.5g/日以上の尿たんぱくの持続と血清アルブミンが3.0g/dl以下の両方を満たす場合に診断されます。

浮腫や脂質異常症も重要な所見となりますが、診断基準には含まれません。

選択肢3. 出血性ショックは、腎後性の急性腎障害(AKI)の原因になる。

(×) 出血性ショックは、腎前性の急性腎障害(AKI)の原因になります。

 

腎前性の腎不全は腎臓に流入する血液量が減少することで起こる腎不全です。

出血症性ショックとは、大量の出血により循環血液量が減少し、循環不全を起こした状態をいいます。これにより腎臓への血液量が減少し、腎前性腎不全を生じます。

選択肢4. 慢性腎不全では、低リン血症がみられる。

(×) 慢性腎不全では、高リン血症がみられます。

 

慢性腎不全では、腎機能の低下に伴い、リンの排泄が障害され、血中のリンが上昇します。

選択肢5. 末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能低下症がある。

(×) 末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能亢進症があります。

 

末期腎不全では糸球体濾過量が著しく低下するため活性型ビタミンDが不足し、血中のカルシウムが低下します。

その結果血中のカルシウムを上げるため、副甲状腺ホルモンの分泌が増加します。

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02

腎・尿路系疾患の原因、メカニズムを理解しておきましょう。

選択肢1. 急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与する。

正解です。

 

急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与しています。

ほかにブドウ球菌、他の細菌、ウイルス感染の場合もあります。

選択肢2. 血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれる。

血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれません。

 

ネフローゼ症候群の診断基準は

①蛋白尿 3.5g/日以上の持続

②低アルブミン血症 血清アルブミン値3.0g/dL以下

③浮腫

④脂質異常症

 

です。

選択肢3. 出血性ショックは、腎後性の急性腎障害(AKI)の原因になる。

出血性ショックは、腎前性の急性腎障害(AKI)の原因になります。

 

腎前性腎不全とは、脱水、心不全、出血など主に腎の血流が低下して腎機能が低下するものです。

腎臓そのものには異常がないものをいいます。

腎後性腎不全とは、尿管や膀胱などで尿路の閉塞が起こって

尿の排泄ができなくなったために腎機能が悪化したものをいいます。

選択肢4. 慢性腎不全では、低リン血症がみられる。

慢性腎不全では、高リン血症がみられます。

 

尿中へのリン排泄が低下し、高リン血症となります。

選択肢5. 末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能低下症がある。

末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能亢進症あります。

 

末期の腎不全ではビタミンDの活性化がほとんどできず、

血中カルシウム濃度が減少します。

そのため、血中のカルシウム濃度を増加させようと、

副甲状腺ホルモンであるパラトルモンの分泌が増加し、副甲状腺機能が亢進します。

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03

腎・尿路系疾患は、腎臓や尿路、膀胱、前立腺などに生じる病気です。疾患ごとに理解しましょう。

選択肢1. 急性糸球体腎炎の多くは、A群β溶血性連鎖球菌感染が関与する。

正しい文章です。

 

急性腎炎症候群を呈する疾患では、A群β溶血性連鎖球菌感染後に併発する急性糸球体腎炎が多いです。

選択肢2. 血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれる。

不適です。

 

血圧値は、ネフローゼ症候群の診断基準に含まれません。

 

 

ネフローゼ症候群の診断基準(①②必須条件)

①蛋白尿3.5g/日以上が持続

 (随時尿、尿蛋白/尿クレアチニン比が3.5g/gCr以上の場合も)

②低アルブミン血症:血清アルブミン値3.0g/dl以下

 血清総たんぱく量6.0g/dl以下も参考になる

③浮腫

④脂質異常症(高LDLコレステロール血症)

⚪︎卵円形脂肪体も参考になる

選択肢3. 出血性ショックは、腎後性の急性腎障害(AKI)の原因になる。

不適です。

 

出血性ショックは、腎前性の急性腎障害(AKI)の原因になります。

 

 

急性腎障害の分類

 

⚪︎腎前性急性腎障害

 心不全、心筋梗塞、大量出血など、全身のどこかに障害があって腎臓への血流が低下し、腎機能に障害が起こる状態。

 

⚪︎腎性急性腎障害

 糸球体障害や尿細管障害など、腎臓そのものに異常が起こる状態。

 

⚪︎腎後性急性腎障害

 尿管閉塞や、尿管結石、前立性肥大など尿路の閉塞によって腎機能に障害が起こる状態。

選択肢4. 慢性腎不全では、低リン血症がみられる。

不適です。

 

慢性腎不全では血清リン値が上昇します。

 

尿細管障害、活性型ビタミンD産生低下により、高リン血症、低カルシウム血症、骨粗鬆症、骨軟化症が現れます。

選択肢5. 末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能低下症がある。

不適です。

 

末期腎不全の合併症に、二次性副甲状腺機能亢進症があります。

 

腎機能低下に伴い、リンの排泄が減少することによるリン値の上昇を抑えるため、副甲状腺ホルモンの分泌が亢進します。

まとめ

・急性腎炎症候群は、数日程度の比較的急な経過で、血尿、蛋白尿、高血圧、浮腫などを呈する疾患群の総称です。

・ネフローゼ症候群は、糸球体の障害に伴うたんぱく質漏出の更新による、高度の尿蛋白を基本的な病態とする疾患群の総称です。

 浮腫、低アルブミン血症、高LDLコレステロール血症を呈します。

・急性腎障害は障害部位により、腎前性急性腎障害、腎性急性腎障害、腎後性急性腎障害に分類されます。

・慢性腎臓病は腎障害や腎機能の低下が3ヶ月異常持続する状態のことです。

 高血圧、浮腫、血清アルブミン低下、高カリウム血症、高リン血症、代謝性アシドーシス、低カルシウム血症、骨粗鬆症、耐糖能異常などが起こります。

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