管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問31

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問31 (訂正依頼・報告はこちら)

ホルモンと内分泌疾患に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を抑制する。
  • ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。
  • 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。
  • 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が低値である。
  • クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する。

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この過去問の解説 (3件)

01

各ホルモンの分泌場所や機能を整理しておくと、各疾患の問題の応用もきくので必ず押さえておきましょう。

選択肢1. 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を抑制する。

(×) 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を誘発します。

 

卵胞の成長に伴い、卵胞からエストロゲンの分泌が増加します。

エストロゲンの増加によって下垂体からLHとFSHの分泌が促進され、排卵を促します。

選択肢2. ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。

(〇)

 

下垂体前葉ホルモンであるプロラクチンの分泌は視床下部から放出されるドーパミンによって抑制されます。

選択肢3. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。

(×) 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、低ナトリウム血症がみられます。

 

SIADHでは、血漿浸透圧が低いにもかかわらず、抗利尿ホルモンの分泌が抑制されないため、水の再吸収が促進され低ナトリウム血症を引き起こします。

選択肢4. 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が低値である。

(×) 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が高値になります。

 

下垂体腺腫による成長ホルモンの過剰分泌により末端肥大症と下垂体性巨人症が生じます。

選択肢5. クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する。

(×) クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が上昇します。

 

下垂体腺腫により、副腎皮質刺激ホルモンが過剰に分泌された病態をクッシング病といいます。

また、副腎の腺腫・過形成などによりコルチゾールが過剰に分泌された病態をクッシング症候群といいます。

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02

ホルモンの作用、内分泌疾患のポイントを押さえておきましょう。

選択肢1. 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を抑制する。

黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を促進します。

 

黄体形成ホルモン(LH)が分泌されるLHサージを引き起こし、排卵が起こります。

選択肢2. ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。

正解です。

 

ドーパミンは視床下部から分泌されます。

プロラクチンは下垂体前葉から分泌され、

乳汁分泌促進、性腺抑制作用をもちます。

選択肢3. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、低ナトリウム血症がみられます。

 

抗利尿ホルモンであるバソプレシンの分泌量が多くなることで、

尿が排泄されず、体内に水分が貯留します。

その結果、血液中のナトリウム濃度が低くなります。

選択肢4. 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が低値である。

先端巨大症では、血中成長ホルモン値が高値となります。

 

手足末端や眉弓部、鼻、唇、舌などが肥大します。

選択肢5. クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する。

クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が上昇します。

 

ッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の分泌が過剰になり、

糖質コルチコイドであるコルチゾールが過剰分泌されます。

中心性肥満、ムーンフェイスなどの症状が起こります。

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03

ホルモンの分泌異常で起こる、主な内分泌疾患の原因ホルモンの作用を理解しましょう。

選択肢1. 黄体形成ホルモン(LH)は、排卵を抑制する。

不適です。

 

黄体形成ホルモンは、排卵を促進します。

 

他に、黄体形成ホルモンには、黄体の形成や維持、プロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌を促進する働きがあります。

選択肢2. ドーパミンは、プロラクチンの分泌を抑制する。

適切な文章です。

 

非妊娠時には、視床下部から分泌されるドーパミンは、下垂体前葉ホルモンのプロラクチンの分泌を抑制します。

妊娠すると胎盤から分泌されるエストロゲンによりドーパミンの分泌が分泌が抑制され、プロラクチンの分泌は促進されます。

選択肢3. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)では、高ナトリウム血症がみられる。

不適です。

 

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群では、低ナトリウム血症となります。

 

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群では、抗利尿ホルモンが血漿浸透圧の低いときにも分泌されるため、尿から水の再吸収が増加して低ナトリウム血症となります。

選択肢4. 先端巨大症では、血中成長ホルモン値が低値である。

不適です。

 

先端巨大症では、血中成長ホルモン値が高値となります。

 

先端巨大症は、下垂体前葉の成長ホルモン分泌腺細胞がその機能を持ったまま腫瘍化し、成長ホルモンが過剰に産生され、手足や内臓、顔の一部が肥大する疾患です。

選択肢5. クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)値が低下する。

不適です。

 

クッシング病では、血中副腎皮質刺激ホルモン値が上昇します。

 

クッシング病は、クッシング症候群のうち、下垂体腺腫によって血中副腎皮質刺激ホルモンを過剰に分泌する疾患です。

血中副腎皮質刺激ホルモン値の上昇によってコルチゾール分泌が促進されてさまざまな症状を起こします。

 

クッシング症候群

副腎の腺腫・がん・過形成、副腎皮質刺激ホルモン過剰産生、下垂体腺腫などを原因とするコルチゾール過剰症。

コルチゾール過剰症状としては、満月様顔貌・中心性肥満・高血圧・野牛様肩・浮腫・骨粗鬆症・尿路結石・糖尿病等。

アンドロゲン過剰症状としては、多毛やニキビ等、男性化徴候。

まとめ

主な内分泌疾患

・先端巨大症(成長ホルモン↑)

・成長ホルモン分泌不全性低身長症(成長ホルモン↓)

・抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(バソプレシン↑:低Na血症)

・尿崩症(バソプレシン↓:多飲・多尿)

・甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモン↑:頻脈・発汗過多・体重減少)

・甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモン↓:徐脈・皮膚乾燥)

・原発性副甲状腺機能亢進症(副甲状腺ホルモン↑:高Ca血症・低P血症)

・副甲状腺機能低下症(副甲状腺ホルモン↓:低Ca血症・テタニー)

・クッシング症候群(コルチゾール↑:筋力低下・満月様顔貌・骨粗鬆症)

・原発性アルドステロン症(アルドステロン↑:低K血症・代謝性アルカローシス)

・アジソン病(副腎皮質ホルモン↓:体重減少・高K血症・色素沈着)

・褐色細胞腫(カテコールアミン↑:代謝亢進・体重減少・高血糖)

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