管理栄養士の過去問
第38回
午前の部 問54

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午前の部 問54 (訂正依頼・報告はこちら)

食品中の有害物質に関する記述である。最も適当なのはどれか。1つ選べ。
  • デオキシニバレノールは、りんごを汚染するかび毒である。
  • ベンゾ[a]ピレンは、ヘテロサイクリックアミンの1つである。
  • アクリルアミドは、アスパラギンと還元糖の反応によって生成する。
  • N−ニトロソアミンは、アミノ酸とクレアチンの反応によって生成する。
  • ダイオキシンは、水溶性が高いため生物濃縮されにくい。

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この過去問の解説 (3件)

01

食品に含まれる可能性のある汚染物質についての記述です。

問題をみていきましょう。

選択肢1. デオキシニバレノールは、りんごを汚染するかび毒である。

✖ 間違いです。

 

デオキシニバレノールは、麦や米を汚染するかび毒です。

りんごを汚染するかび毒は、パツリンです。

選択肢2. ベンゾ[a]ピレンは、ヘテロサイクリックアミンの1つである。

✖ 間違いです。

 

ベンソ[a]ピレンは、多環芳香族炭化水素類の1つです。

ヘテロサイクリックアミンは、食品の加熱や燻煙により化学反応をおこした結果生じる発がん性物質です。

選択肢3. アクリルアミドは、アスパラギンと還元糖の反応によって生成する。

〇 正解です。

 

アクリルアミドは、アスパラギンと還元糖(ブドウ糖や果糖などのカルボニル化合物)が、120度以上の高温で加熱したときにおこるアミノカルボニル反応により生成します。

選択肢4. N−ニトロソアミンは、アミノ酸とクレアチンの反応によって生成する。

✖ 間違いです。

 

N-ニトロソアミンは、アミン類と亜硝酸の反応によって生成されます。

選択肢5. ダイオキシンは、水溶性が高いため生物濃縮されにくい。

✖ 間違いです。

 

ダイオキシンは、脂肪に残留しやすい物質です。

 

まとめ

有害物質による食品汚染について理解を深めましょう。

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02

アクリルアミドは、アスパラギンと還元糖(カルボニル化合物)がアミノカボニル反応を起こすことによって生成されます。

選択肢1. デオキシニバレノールは、りんごを汚染するかび毒である。

デオキシニバレノールは、麦・米・トウモロコシなど穀類を汚染するかび毒です。

選択肢2. ベンゾ[a]ピレンは、ヘテロサイクリックアミンの1つである。

ベンゾ[a]ピレンは、多環芳香族炭化水素(PAH)です。

多環芳香族炭化水素類とはベンゼン環が複数結合した化学物質です。

ベンゾ[a]ピレンを含む多環芳香族炭化水は発がん性物質とされています。

選択肢3. アクリルアミドは、アスパラギンと還元糖の反応によって生成する。

先に述べた通り、アクリルアミドはアスパラギンと還元糖(カルボニル化合物)がアミノカボニル反応を起こすことによって生成されます。

アクリルアミドの大量摂取により、神経毒性や生殖毒性などを起こすとされています。

選択肢4. N−ニトロソアミンは、アミノ酸とクレアチンの反応によって生成する。

N−ニトロソアミンは、アミノ酸と亜硝酸の反応によって生成されます。

選択肢5. ダイオキシンは、水溶性が高いため生物濃縮されにくい。

ダイオキシンは脂溶性です。

そのため、脂肪組織に残留しやすいため魚介類や肉類、乳製品などから取り込み、生物濃縮も起こりやすいです。

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03

カビなど食品中の有害物質の種類と症状、予防・対策について整理しておきましょう。

選択肢1. デオキシニバレノールは、りんごを汚染するかび毒である。

(×) パツリンがりんごを汚染するかび毒です。

 

りんごの表面に発生するぺニシリウム・エクスパンサムが遺伝毒性を示すパツリンを生産します。

デオキシニバレノールは、麦またはその製品を汚染するかび毒です。

選択肢2. ベンゾ[a]ピレンは、ヘテロサイクリックアミンの1つである。

(×) ベンゾ[a]ピレンは、多環芳香族炭化水素の1つです。

 

多環芳香族炭化水素は肉や魚を焼く、燻煙することで発生します。

選択肢3. アクリルアミドは、アスパラギンと還元糖の反応によって生成する。

(〇)

 

アクリルアミドは、穀類やイモ類を加熱した食品に多く含まれます。

アスパラギンと還元糖の反応によって生成されます。

選択肢4. N−ニトロソアミンは、アミノ酸とクレアチンの反応によって生成する。

(×) N−ニトロソアミンは、亜硝酸と2級アミンが酸性下で反応して生成されます。

 

N−ニトロソアミンは、ヒトの体内で窒素酸化化合物と級アミンから生成されます。

選択肢5. ダイオキシンは、水溶性が高いため生物濃縮されにくい。

(×) ダイオキシンは、脂溶性が高いため生物濃縮されやすいです。

 

ダイオキシンは、脂溶性であり、食物連鎖を通して体内で濃縮されます。

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