管理栄養士 過去問
第38回
問176 (午後の部 問79)

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

管理栄養士国家試験 第38回 問176(午後の部 問79) (訂正依頼・報告はこちら)

K産科病院に勤務する管理栄養士である。
患者は、36歳、初産婦、会社員。現在、妊娠8週目。激しい嘔吐を繰り返すようになり、食事がほとんど食べられなくなったため入院となった。
身長165cm、体重56kg、妊娠前体重59kg。血圧110/70mmHg。空腹時の血液検査値は、クレアチニン0.8mg/dL、尿素窒素30mg/dL、血糖80mg/dL。たんぱく尿(−)、尿中ケトン体(2+)。

入院当日の栄養投与方法として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 中心静脈栄養
  • 末梢静脈栄養
  • 経鼻胃管による経腸栄養
  • 流動食による経口栄養

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (3件)

01

妊娠初期のつわりが生理的範疇をこえ、病的な症状になったものを妊娠悪阻といいます。本問の患者はこの状態にあるため、妊娠悪阻の栄養管理を確認しておきましょう。

 

妊娠悪阻では食事が十分にとれないため、脱水症状になりやすく、全身機能が低下します。

水分や栄養分を兼ねた輸液による栄養管理が望ましいと言えます。

選択肢1. 中心静脈栄養

不適です。

中心静脈栄養は長期的な輸液による栄養管理の場合に適しています。妊娠悪阻は一時的なものであるため、中心静脈栄養は最適ではありません。

選択肢2. 末梢静脈栄養

正しいです。

一次的(2週間未満)に輸液による補給で水分や栄養素を補うのが望ましいでしょう。

選択肢3. 経鼻胃管による経腸栄養

不適です。

妊娠悪阻では消化管を利用することで嘔吐や吐き気を誘発する恐れがあるため不適切といえます。

選択肢4. 流動食による経口栄養

不適切です。

妊娠悪阻では食欲がなく、匂いや湯気、消化管を利用することで嘔吐や吐き気を誘発する恐れがあるため、望ましくありません。

参考になった数27

02

つわりが重く、食事摂取ができない状態の妊婦です。

尿ケトンが2+で糖質摂取が少ないことが推測されます。

 

選択肢1. 中心静脈栄養

✖ 適切ではありません。

 

中心静脈栄養は、消化管の使用が困難で、2週間以上食事摂取ができない場合に適用されます。

患者は消化管の使用は可能です。

選択肢2. 末梢静脈栄養

〇 適切です。

 

末梢静脈栄養は、高度な脱水状態で、2週間未満水分摂取が困難な場合に適用されます。

患者は、食事摂取が困難で尿からケトン体がでていることから末梢静脈栄養が適切です。

選択肢3. 経鼻胃管による経腸栄養

✖ 適切ではありません。

 

経鼻経管栄養は口から胃や小腸へ送り込む過程で障害がある場合に選択されます。

患者は口から胃や小腸へ送り込む過程での障害はありません。

選択肢4. 流動食による経口栄養

✖ 適切ではありません。

 

患者は嘔気、嘔吐の症状があり、経口摂取は難しいので適切ではありません。

まとめ

患者の症状にあわせて栄養や水分の摂取方法を選択します。

参考になった数5

03

妊娠悪阻の一般的な治療法を確認しておきましょう。

選択肢1. 中心静脈栄養

不適です。

 

中心静脈栄養は、食事ができない期間が長期にわたると予想される場合に選択され、妊娠悪阻の一般的な治療法としては一時的な経口摂取の中止であるため適切ではありません。

選択肢2. 末梢静脈栄養

適切です。

 

末梢静脈栄養は、10日以内の一時的な経口摂取の中止に最適と言えます。

選択肢3. 経鼻胃管による経腸栄養

不適です。

 

治療により症状が改善せず体重減少が続く場合に経腸栄養を選択することになるが、現段階の投与法としては適しているとは言えません。

選択肢4. 流動食による経口栄養

不適です。

 

現段階では、激しい嘔吐を繰り返しており腸管の安静が必要なため適しているとは言えません。

まとめ

妊娠悪阻の一般的な治療では、一時的に経口摂取の中止、および輸液補給を行い、必要であれば制吐薬の処方、ビタミンと電解質の補給を行います。

参考になった数1