管理栄養士の過去問
第38回
午後の部 問93

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問題

第38回 管理栄養士国家試験 午後の部 問93 (訂正依頼・報告はこちら)

K病院の消化器内科病棟に配置されている管理栄養士である。
患者は、75歳、男性。C型慢性肝炎で、10年前より通院加療していた。摂食機能に問題はない。最近、朝方の全身倦怠感が強くなり受診したところ、精査目的で入院となった。
入院時、身長165cm、体重55kg、BMI 20.2kg/m2。標準体重60kg。浮腫(−)、腹水(−)。空腹時の血液検査値は、アルブミン2.7g/dL、血糖90mg/dL、AST65U/L、ALT50U/L、アンモニア65ng/dL(基準値30~80ng/dL)。

毎日モニタリングしていたところ、患者との意思疎通が困難となり、患者の食事摂取量は著しく低下してきた。血液検査値は、アルブミン2.5g/dL、血糖92mg/dL、AST68U/L、ALT52U/L、アンモニア106ng/dLであった。この状況での栄養管理として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。
  • 投与する総エネルギー量を減らす。
  • 分割食にする。
  • 肝不全用経腸栄養剤の投与を開始する。
  • 末梢静脈栄養を開始する。

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この過去問の解説 (2件)

01

初回受診時より血中アンモニア濃度が上昇し、意思疎通が困難になってきたことから、肝性脳症を発症していることが分かります。

肝性脳症出現時は憎悪因子のコントロールや血中アンモニア濃度を低下させたうえで十分な栄養を補給する必要があります。

患者の病態をしっかりと把握し、適切な栄養管理を検討しましょう。

選択肢1. 投与する総エネルギー量を減らす。

不適です。

脳症により食事摂取が困難な他、肝機能の低下により栄養素の貯蔵も期待できません。総エネルギー量が不足しないように、投与エネルギー量は十分に確保する必要があります。

選択肢2. 分割食にする。

不適切です。

分割食は望ましいですが、当該患者は意思疎通が困難で食事摂取が困難な状態であることから経口摂取を選択することは望ましくありません。

選択肢3. 肝不全用経腸栄養剤の投与を開始する。

正しいです。

当該患者は腸管には問題がないため、積極的に使用することが望ましいと言えます。

また血清アルブミン低値、呼吸商低下(問91)よりたんぱく、エネルギー低栄養状態であることが分かります。この両方をきちんと摂取できる肝不全用経腸栄養剤を投与することが望ましいです。

選択肢4. 末梢静脈栄養を開始する。

不適切です。

当該患者は腸管を使用することができるため、経腸栄養剤の使用が望ましいです。

 

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02

食事摂取量が減少し、アンモニア値の上昇がみられ、意思疎通の困難から肝硬変の悪化、肝性脳症が疑われます。

選択肢1. 投与する総エネルギー量を減らす。

不適です。

 

食事摂取が著しく低下しているため、総エネルギー量の不足が起こらないようにすることが重要です。

選択肢2. 分割食にする。

適切とは言えません。

 

分割食にすることは有効ですが、意思疎通が困難なことから難しいと思われます。

選択肢3. 肝不全用経腸栄養剤の投与を開始する。

適しています。

 

低アルブミン血症で、たんぱく質が取れない場合にBCAA高含有肝不全用経腸栄養剤を投与することは適切です。

選択肢4. 末梢静脈栄養を開始する。

適切とは言えません。

 

腸の機能が正常であれば、経腸栄養を栄養を選択すべきです。

まとめ

たんぱく質不耐がない場合は

 たんぱく質量1.0〜1.5g/kg/day

 

たんぱく質不耐がある場合は

 たんぱく質量0.5〜0.7g/kg/day+BCAA高含有肝不全系超栄養剤

 

 

とします。

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