管理業務主任者の過去問
平成28年度(2016年)
問2

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問題

管理業務主任者試験 平成28年度(2016年) 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

マンションの管理組合A(以下、本問において「 A 」という。)の管理者B(以下、本問において「 B 」という。)が、その職務に関し、C会社(以下、本問において「 C 」という。)との間で取引行為(以下、本問において「本件取引行為」という。)をする場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

※ 令和2年4月1日の民法改正に伴い、現行法令に合う形に解答選択肢を修正しました。

<参考>

 

  • Bの本件取引行為に係る意思表示について要素の錯誤があった場合には、Aは、Cに対してその意思表示を取り消すことができる。
  • 第三者DがBに詐欺を行い、これによりBが本件取引行為に係る意思表示をした場合、Cがその事実を知っていた、または知ることができたときに限り、Aはその意思表示を取り消すことができる。

  • Bが、本件取引行為をする前に、補助開始の審判を受けていたときは、Bの代理権は消滅しているので、本件取引行為の効力は生じない。
  • Bが管理者を解任された後に本件取引行為をしていたとした場合、Cがその解任の事実を知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときでも、本件取引行為の効力は生じない。

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この過去問の解説 (3件)

01

正解は、「第三者DがBに詐欺を行い、これによりBが本件取引行為に係る意思表示をした場合、Cがその事実を知っていた、または知ることができたときに限り、Aはその意思表示を取り消すことができる。」です。

選択肢1. Bの本件取引行為に係る意思表示について要素の錯誤があった場合には、Aは、Cに対してその意思表示を取り消すことができる。

不適切です。
錯誤による意思表示は無効となります。

選択肢2.

第三者DがBに詐欺を行い、これによりBが本件取引行為に係る意思表示をした場合、Cがその事実を知っていた、または知ることができたときに限り、Aはその意思表示を取り消すことができる。

適切です。
第三者の詐欺による取引行為に係る意思表示は、取引相手Cが詐欺の事実を知っていた、または知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができます。

 

<追記>

2020年の民法改正により、
「Cがその事実を知っていた場合に限り、Aは意思表示を取り消すことができる」から、
「Cがその事実を知っていた場合に限らず、知ることができた場合にも、Aは意思表示を取り消すことができる」と改められ、Aの保護が強化されました。

選択肢3. Bが、本件取引行為をする前に、補助開始の審判を受けていたときは、Bの代理権は消滅しているので、本件取引行為の効力は生じない。

不適切です。
代理権は補助開始の審判を受けていたとしても消滅しません。

選択肢4. Bが管理者を解任された後に本件取引行為をしていたとした場合、Cがその解任の事実を知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときでも、本件取引行為の効力は生じない。

不適切です。
代理人Bが管理者を解任された後に本件取引行為が生じた場合は、相手方CがBの事実について善意かつ無過失でも取引保護の観点より取引行為は有効です。

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02

民法についての問題です。

選択肢1. Bの本件取引行為に係る意思表示について要素の錯誤があった場合には、Aは、Cに対してその意思表示を取り消すことができる。

誤りです。

 

※問題文にある通り、令和2年4月1日の民法改正により、意思表示について要素の錯誤があった場合「無効」から「取消し」に変更されました。

旧民法では「意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。」とされ、「取り消す」ではなく「無効」になるとされ、試験当時は「誤り」の選択肢でした。

しかし、現民法では「意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。

 意思表示に対応する意思を欠く錯誤

二 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤」とされ、「要素」という言葉は条文から無くなりました。しかし、「要素」という考え方は残っており、現在は一概に誤りとは言えません。

選択肢2.

第三者DがBに詐欺を行い、これによりBが本件取引行為に係る意思表示をした場合、Cがその事実を知っていた、または知ることができたときに限り、Aはその意思表示を取り消すことができる。

正しいです。

民法第96条「詐欺又は強迫による意思表示は、取り消すことができる。

2 相手方に対する意思表示について第三者が詐欺を行った場合においては、相手方がその事実を知り、又は知ることができたときに限り、その意思表示を取り消すことができる。

2 前二項の規定による詐欺による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。」とされています。

 

<追記>

2020年の民法改正により、
「Cがその事実を知っていた場合に限り、Aは意思表示を取り消すことができる」から、
「Cがその事実を知っていた場合に限らず、知ることができた場合にも、Aは意思表示を取り消すことができる」と改められ、Aの保護が強化されました。

選択肢3. Bが、本件取引行為をする前に、補助開始の審判を受けていたときは、Bの代理権は消滅しているので、本件取引行為の効力は生じない。

誤りです。

代理権は、代理人の死亡又は代理人が破産手続開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたことにより消滅しますが、補助開始の審判を受けても消滅しません。

選択肢4. Bが管理者を解任された後に本件取引行為をしていたとした場合、Cがその解任の事実を知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときでも、本件取引行為の効力は生じない。

誤りです。

他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負います。

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03

この問題は、マンション管理組合の管理者が取引行為を行う際の法的側面を試す内容です。

具体的には、管理者の代理権、意思表示の錯誤や詐欺、代理権の消滅、およびその効果に関する法理を問うています。

選択肢1. Bの本件取引行為に係る意思表示について要素の錯誤があった場合には、Aは、Cに対してその意思表示を取り消すことができる。

正しい

 

解説:意思表示に要素の錯誤があった場合、民法改正後では取り消しが可能です。

管理組合Aは、管理者Bの意思表示に要素の錯誤があった場合、Cに対してその意思表示を取り消すことができます。

※平成28年度改正前当時は「誤り」の選択肢でした。

選択肢2.

第三者DがBに詐欺を行い、これによりBが本件取引行為に係る意思表示をした場合、Cがその事実を知っていた、または知ることができたときに限り、Aはその意思表示を取り消すことができる。

正しい

 

解説:第三者Dによる詐欺があった場合、Cがその事実を知っていた、または知ることができた時に限り、Aは意思表示を取り消すことができます。

これは取引の安全を確保するための規定です。

 

<追記>

2020年の民法改正により、
「Cがその事実を知っていた場合に限り、Aは意思表示を取り消すことができる」から、
「Cがその事実を知っていた場合に限らず、知ることができた場合にも、Aは意思表示を取り消すことができる」と改められ、Aの保護が強化されました。

選択肢3. Bが、本件取引行為をする前に、補助開始の審判を受けていたときは、Bの代理権は消滅しているので、本件取引行為の効力は生じない。

誤り

 

解説:補助開始の審判を受けても、Bの代理権は消滅しません。

従って、Bが本件取引行為を行っても、その効力は生じます。

選択肢4. Bが管理者を解任された後に本件取引行為をしていたとした場合、Cがその解任の事実を知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかったときでも、本件取引行為の効力は生じない。

誤り

 

解説:Bが管理者を解任された後に行った取引行為について、Cが解任の事実を知らず、かつ知らなかったことにつき過失がなかった場合、その取引行為は有効です。

これは代理権の外観を信頼した第三者の保護を目的としています。

まとめ

この問題を解くには、代理関係、意思表示に関する法理、および取引の安全を確保するための法的規定についての理解が必要です。

特に、代理人の行為に関する法的効果と、意思表示の瑕疵による取り消し可能性についての知識が問われています。

また、民法の改正内容を考慮し、現行法に基づいて各選択肢を評価する必要があります。

法律の規定とその背景にある原理原則を踏まえた上で、適切な判断を下すことが求められます。

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