管理業務主任者の過去問
平成28年度(2016年)
問11

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問題

管理業務主任者試験 平成28年度(2016年) 問11 (訂正依頼・報告はこちら)

マンションの管理費の滞納に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
※民法改正により、2020年4月以降は、法定利率が年5%から年3%に変更となりました。
 この設問は2016年(平成28年)に出題された設問となりますので、民法改正前の内容です。
  • 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を売却した場合、買主は、売買契約の締結時に滞納の事実を知らなかったとしても、当該滞納管理費の支払義務を負う。
  • 規約に管理費に関する遅延損害金を定める場合は、民法所定の法定利率である年5%を超えて定めることはできない。
  • 管理費を滞納している区分所有者が、裁判所に民事再生手続開始の申立てをした場合、当該区分所有者はその申立てにより滞納管理費の支払義務を免れる。
  • 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を贈与した場合、受贈者が滞納管理費の支払義務を負い、当該区分所有者はその義務を免れる。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:適切です。
前所有者の滞納管理費は買主が承継します。
設問のとおり、買主は滞納管理費の支払義務があります。

2:不適切です。
滞納管理費に対する遅延損害金は民法上の法定利率(年5%)を超えて定めることができます。

3:不適切です。
民事再生手続に関係なく、滞納管理費の支払義務は免除されません。

4:不適切です。
前所有者の滞納管理費は、贈与の場合は受贈者が承継します。
受贈者は滞納管理費の支払義務がありますが、前所有者も支払義務は継続します。
売買の場合も同様です。
※買主、受贈者は前所有者に対し滞納管理費の求償が可能です。

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02

本設問は管理費の滞納における支払い義務者に関する出題です。

詳細は各設問にて解説します。

選択肢1. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を売却した場合、買主は、売買契約の締結時に滞納の事実を知らなかったとしても、当該滞納管理費の支払義務を負う。

設問の通りです。

選択肢2. 規約に管理費に関する遅延損害金を定める場合は、民法所定の法定利率である年5%を超えて定めることはできない。

民法第419条では、「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。」と記載されています。

よって本選択肢の「法定利率である年5%を超えて定めることはできない」という箇所が誤りです。

選択肢3. 管理費を滞納している区分所有者が、裁判所に民事再生手続開始の申立てをした場合、当該区分所有者はその申立てにより滞納管理費の支払義務を免れる。

民事再生法第1条では、「この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。」と記載されています。破産の場合、当該債務は免除されますが、民事再生はあくまで再生を目的としているため当該債の支払いは免除されません。

よって本選択肢の「裁判所に民事再生手続開始の申立てをした場合、当該区分所有者はその申立てにより滞納管理費の支払義務を免れる」という箇所が誤りです。

選択肢4. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を贈与した場合、受贈者が滞納管理費の支払義務を負い、当該区分所有者はその義務を免れる。

区分所有法第7条および第8では、「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。

前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」と記載されています。特定承継人とは、受贈者等を指します。つまり、受贈者および贈与した前区分所有者両名が支払義務を負います。

よって本選択肢の「当該区分所有者はその義務を免れる」という箇所が誤りです。

まとめ

管理費の滞納に関しては一般的に管理委託契約に定められています。

詳細について確認してください。

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03

この問題は、マンションの管理費滞納に関連する民法、区分所有法などの法的側面についての理解を問うものです。

具体的には、滞納管理費の責任の移転、遅延損害金の上限、民事再生手続きの影響、および贈与に伴う支払義務の変更に関する規定が試されています。

選択肢1. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を売却した場合、買主は、売買契約の締結時に滞納の事実を知らなかったとしても、当該滞納管理費の支払義務を負う。

適切

解説:区分所有物を売却した場合、買主は前所有者が滞納していた管理費の支払い義務を引き継ぎます。

これは、区分所有法の規定に基づくもので、物件の所有権移転とともに、関連する責任も移転することを意味します。

選択肢2. 規約に管理費に関する遅延損害金を定める場合は、民法所定の法定利率である年5%を超えて定めることはできない。

不適切

解説:管理費に対する遅延損害金は、民法上の法定利率を超えて定めることが可能です。

ただし、利率の設定は合理的でなければならず、過度に高い利率は無効とされることがあります。

選択肢3. 管理費を滞納している区分所有者が、裁判所に民事再生手続開始の申立てをした場合、当該区分所有者はその申立てにより滞納管理費の支払義務を免れる。

不適切

解説:民事再生手続きを申し立てた場合でも、滞納管理費の支払い義務は免除されません。

民事再生手続きは債務の再編を目的としており、既存の債務を自動的に免除するものではありません。

選択肢4. 管理費を滞納している区分所有者が、当該住戸を贈与した場合、受贈者が滞納管理費の支払義務を負い、当該区分所有者はその義務を免れる。

不適切

解説:区分所有物を贈与された場合、受贈者は前所有者の滞納管理費の支払い義務を引き継ぎますが、贈与者(元の区分所有者)の支払義務も完全に消滅するわけではありません。

責任の範囲は、具体的な事案によって異なります。

まとめ

マンションの管理費滞納に関する法的対応を理解する際には、責任の移転、遅延損害金の上限、民事再生手続きの影響、および贈与による支払義務の変更について正確な知識が必要です。

これらの法的概念の理解は、管理組合や区分所有者が適切な法的措置を講じるために重要です。

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