管理業務主任者の過去問
平成28年度(2016年)
問40

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問題

管理業務主任者試験 平成28年度(2016年) 問40 (訂正依頼・報告はこちら)

複合用途型の甲マンションにおいて、Aが区分所有する居住用の専有部分をBに、Cが区分所有する事務所用の専有部分をDに、それぞれが賃貸する契約を締結する場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、いずれの賃貸借契約も、定期建物賃貸借契約ではないものとする。
  • AB間の賃貸借契約において、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効である。
  • AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後にAが当該専有部分を第三者であるEに譲渡する場合は、Bの同意を得なければ、賃貸人の地位はEに移転しない。
  • AB間の賃貸借契約において、解約の申入れは、Aからは解約日の6月前までに、Bからは解約日の1月前までに行えば、相互に正当の事由の有無を問わず解約できる旨の特約は有効である。
  • CD間の賃貸借契約には、借地借家法は適用されない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:適切です。
賃借人であるBにとって不利にならないため、特約は有効です。

2:不適切です。
所有権の移転にあたり賃借人の同意は不要です。

3:不適切です。
特約は無効です。
賃貸人は正当な自由なく解約の申入れはできません。

4:不適切です。
賃貸借契約の目的が店舗用、事務所用など借地借家法は適用されます。

※借地借家法は賃借人保護に立った民法の特別法であり、借地借家法の適用が優先します。

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02

この問題は、複合用途型マンションの居住用および事務所用の賃貸借契約に関する法的な側面を評価するものです。

特に、賃貸借契約に関する特約の有効性や借地借家法の適用範囲に焦点を当てています。

選択肢1. AB間の賃貸借契約において、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効である。

正しい

解説:民法では、賃貸借契約の条件について契約当事者間で合意した内容が有効です。

賃料を一定期間増額しない旨の特約は、賃借人に不利にならないため、有効とされます。

選択肢2. AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後にAが当該専有部分を第三者であるEに譲渡する場合は、Bの同意を得なければ、賃貸人の地位はEに移転しない。

誤り

解説:所有権の移転に際して、賃借人の同意は必要ありません。新しい所有者が賃貸人の地位を引き継ぎます。

選択肢3. AB間の賃貸借契約において、解約の申入れは、Aからは解約日の6月前までに、Bからは解約日の1月前までに行えば、相互に正当の事由の有無を問わず解約できる旨の特約は有効である。

誤り

解説:借地借家法は賃借人保護を目的としており、特に住居用の場合、賃貸人が正当な理由なく解約することを制限しています。

この特約は借地借家法の基本原則に反するため、無効とされます。

選択肢4. CD間の賃貸借契約には、借地借家法は適用されない。

誤り

解説:借地借家法は、居住用だけでなく、店舗用、事務所用を含む全ての賃貸借契約に適用されます。

これは賃借人の保護を目的とした法律です。

まとめ

この問題を解く際には、民法及び借地借家法の基本原則を理解し、特に賃借人保護の観点から契約の特約や条項が法律に適合するかを検討する必要があります。

また、賃貸借契約の目的(居住用、事務所用等)に応じて、借地借家法の適用が異なることを理解することも重要です。

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03

本設問は借地借家法に関する出題です。

詳細は各設問にて解説します。

選択肢1. AB間の賃貸借契約において、一定期間賃料を増額しない旨の特約は有効である。

設問の通りです。

借地借家法第32条では、「建物の借賃が、土地若しくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地若しくは建物の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」と記載されています。

選択肢2. AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後にAが当該専有部分を第三者であるEに譲渡する場合は、Bの同意を得なければ、賃貸人の地位はEに移転しない。

借地借家法第31条では、「建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。」と記載されています。加えて、民法第605条の2では、「前条、借地借家法(平成三年法律第九十号)第十条又は第三十一条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。」と記載されています。つまり、AからEへの建物の引渡しをもって賃貸人の地位は移転します。

よって「Bの同意を得なければ、賃貸人の地位はEに移転しない。」という箇所が誤りです。

選択肢3. AB間の賃貸借契約において、解約の申入れは、Aからは解約日の6月前までに、Bからは解約日の1月前までに行えば、相互に正当の事由の有無を問わず解約できる旨の特約は有効である。

借地借家法第28条では、「建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。」と記載されています。

よって本選択肢の「正当の事由の有無を問わず」という箇所が誤りです。

選択肢4. CD間の賃貸借契約には、借地借家法は適用されない。

借地借家法第40条では、「この章の規定(3章借家)は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない。」と記載されています。つまり、建物の一時使用以外は借地借家法が適用されます。

よって、本選択肢の「借地借家法は適用されない。」という箇所が誤りです。

まとめ

借地借家法は賃借人の保護を非常に図っている法律です。このことを頭に入れたうえで問題に取り組んでください。

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