管理業務主任者の過去問
平成30年度(2018年)
問42

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問題

管理業務主任者試験 平成30年度(2018年) 問42 (訂正依頼・報告はこちら)

区分所有者Aが、自己所有のマンションの専有部分甲(以下、本問において「甲」という。)をBに賃貸する場合に関する次の記述のうち、民法、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、AB間の賃貸借契約は、定期建物賃貸借契約ではないものとする。
  • AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができない。
  • AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後に、Aが甲を第三者Cに譲渡し、Cが移転登記をした場合でも、Cに賃貸人たる地位が移転した旨をAがBに通知しなければ、Cに賃貸人の地位は移転しない。
  • AB間の賃貸借契約において、Aからの解約は6月の予告期間を置き、Bからの解約は1月の予告期間を置けば、正当の事由の有無を問わず中途解約できる旨の特約は有効である。
  • AB間において、甲の使用目的を専らBの事務所として賃貸借する旨を賃貸借契約書に明示した場合は、借地借家法は適用されない。

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この過去問の解説 (3件)

01

1:正しいです。
特約が優先されますので、設問文言のとおりです。

2:誤りです。
登記後は通知に関係なく賃貸人の地位が移転します。

3:誤りです。
所有者である貸主Aからの解約を盛り込んだ特約は、借主保護の観点から無効です。
正当な事由がなければ、予告期間に関係なく解約の申入れはできません。

4:誤りです。
借地借家法は使用目的が事務所でも適用されます。

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02

借地借家法の問題です。

この問題をよく知らなくても,基本的には,賃借人は賃貸人に比べて立場が弱いので,そのような弱い立場にある賃借人を保護するため,それに反する特約は無効とおさえておけばいいです。

選択肢1. AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができない。

正しいです。

借地借家法32条1項に同様の規定があります。

賃借人としては,賃料を一定期間増額しないと特約をしたのだから,その特約を守ってくださいと賃貸人に主張できます。 

選択肢2. AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後に、Aが甲を第三者Cに譲渡し、Cが移転登記をした場合でも、Cに賃貸人たる地位が移転した旨をAがBに通知しなければ、Cに賃貸人の地位は移転しない。

誤りです。

判例によれば,賃貸人の地位の移転については,登記が対抗要件です。

新所有者は,登記がなければ賃貸人たる地位を賃借人に対抗できず,借賃等を請求することができません。

したがって,AがBに通知しなくてもCに対する移転登記をすれば,Bに対してCが賃貸人であると主張できます。 

選択肢3. AB間の賃貸借契約において、Aからの解約は6月の予告期間を置き、Bからの解約は1月の予告期間を置けば、正当の事由の有無を問わず中途解約できる旨の特約は有効である。

誤りです。

正当の事由の有無を問わず」の部分が誤りです。

貸主であるAからの解約の申入れの日から6か月経過すれば終了するという部分は正しいです(借地借家法27条1項)。

しかし,借地借家法28条では「建物の賃貸人による・・建物の賃貸借の解約の申入れは,・・・正当の事由があると認められる場合でなければ,することができない」と規定しています。 

つまり,正当の事由がなければ,解約の申入れから6か月を経過しても賃貸借契約は終了しません

 

なお,賃借人からの解約は,民法617条1項2号により,解約の申入れから3か月を経過することで終了します。

選択肢4. AB間において、甲の使用目的を専らBの事務所として賃貸借する旨を賃貸借契約書に明示した場合は、借地借家法は適用されない。

誤りです。

借地借家法は,建物の賃貸借一般を対象としているので,使用目的に制限はありません。

したがって,使用目的が事務所だったとしても借地借家法は適用されます。 

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03

この問題は、マンションの専有部分を賃貸する場合の法的側面に関するものです。

マンションの専有部分の賃貸に関して、民法や借地借家法の規定、さらには判例に基づいて、特定の事例が法的にどのように扱われるかを問うものです。

選択肢1. AB間において、一定期間、賃料を増額しない旨の特約がある場合には、経済事情の変動により、当該賃料が近傍同種の建物に比較して不相当になったときでも、Aは、当該特約に定める期間、増額請求をすることができない。

正しい

解説:この特約により、A(貸主)は特約に定められた期間内での賃料増額を請求できません。

選択肢2. AB間で賃貸借契約を締結し、Bが入居した後に、Aが甲を第三者Cに譲渡し、Cが移転登記をした場合でも、Cに賃貸人たる地位が移転した旨をAがBに通知しなければ、Cに賃貸人の地位は移転しない。

誤り

解説:賃貸人の地位は移転登記があった時点でCに移転し、通知は必要ではありません。

選択肢3. AB間の賃貸借契約において、Aからの解約は6月の予告期間を置き、Bからの解約は1月の予告期間を置けば、正当の事由の有無を問わず中途解約できる旨の特約は有効である。

誤り

解説:正当な事由がない限り、貸主Aは中途解約できません。

借地借家法により、貸主からの無条件な中途解約は無効です。

選択肢4. AB間において、甲の使用目的を専らBの事務所として賃貸借する旨を賃貸借契約書に明示した場合は、借地借家法は適用されない。

誤り

解説:借地借家法は事務所としての使用を含む全ての建物の賃貸借に適用されます。

まとめ

この問題を解く際には、特約の有効性、賃貸人地位の移転のルール、借地借家法による賃借人保護の原則、及び借地借家法の適用範囲に関する知識が重要です。

これらのポイントを理解し、各選択肢に適用することが解答の鍵となります。

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