管理業務主任者の過去問
令和元年度(2019年)
問2

このページは閲覧用ページです。
履歴を残すには、 「新しく出題する(ここをクリック)」 をご利用ください。

問題

管理業務主任者試験 令和元年度(2019年) 問2 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、自己の所有するマンション(マンション管理適正化法第2条第1号に規定するものをいう。以下同じ。)の一住戸甲(以下、本問において「甲」という。)をBに贈与する契約を締結した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
※ 令和2年4月1日の民法改正により「瑕疵担保責任」は廃止され、「契約不適合責任」が導入されました。
本設問は令和元年度に出題されたものです。
  • 贈与契約は無償契約であるから、AB間の贈与契約締結後、Bへの引渡し前に、Aが甲に瑕疵(かし)があることを知っていた場合であっても、Aは瑕疵担保責任を負わない。
  • AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、その贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたときは、遺贈の規定が準用されるから、Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回することができる。
  • AB間の贈与契約が口頭でなされた場合において、甲をBに引き渡した後は、Bに所有権移転登記をする前であっても、Aは、贈与契約を撤回することができない。
  • AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、AB間の贈与契約の内容に、BがAを扶養する旨の負担が付いていたときは、Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは、甲の引渡しを拒むことができる。

次の問題へ

正解!素晴らしいです

残念...

この過去問の解説 (4件)

01

1:誤りです。
贈与契約は無償契約です。

上記部分は正しいですが、以降の文言に誤りがあります。
贈与者Aが瑕疵の事実を知っていた場合は、瑕疵担保責任が生じます。

2:正しいです。
死因贈与の形態です。
相続分野の遺贈(遺言による贈与)の規定が準用されますので、契約の撤回は書面でいつでも可能です。

3:正しいです。
贈与契約が口頭の場合は、引渡後の契約の撤回は移転登記前であってもできません。

4:正しいです。
負担付贈与の形態です。
契約で定められた条件が履行前であれば、引渡しを拒むことができます。

参考になった数43

02

この問題は、民法の贈与契約に関する規定及び判例を理解しているかを試すものです。

贈与契約は無償の契約であり、その特性上、様々な法的側面を持っています。

特に、瑕疵担保責任、契約の撤回、及び扶養の負担などの点について、正しい法的理解が必要です。

選択肢1. 贈与契約は無償契約であるから、AB間の贈与契約締結後、Bへの引渡し前に、Aが甲に瑕疵(かし)があることを知っていた場合であっても、Aは瑕疵担保責任を負わない。

誤り

解説:贈与契約においても、瑕疵担保責任が全くないわけではありません。

瑕疵を知っていた場合、贈与者は瑕疵担保責任を負うことがあります。

選択肢2. AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、その贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたときは、遺贈の規定が準用されるから、Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回することができる。

正しい

解説:書面でなされた贈与契約が死因贈与の場合、遺贈の規定が準用され、贈与者は贈与契約を撤回することができます。

選択肢3. AB間の贈与契約が口頭でなされた場合において、甲をBに引き渡した後は、Bに所有権移転登記をする前であっても、Aは、贈与契約を撤回することができない。

正しい

解説:口頭でなされた贈与契約において、物の引渡しが完了した後は、贈与者は贈与契約を撤回することはできません。

選択肢4. AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、AB間の贈与契約の内容に、BがAを扶養する旨の負担が付いていたときは、Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは、甲の引渡しを拒むことができる。

正しい

解説:贈与契約が扶養の負担を含む場合、受贈者が扶養を開始するまでは、贈与者は物の引渡しを拒むことができます。

まとめ

贈与契約の解釈においては、民法の基本原則と特別な規定を理解する必要があります。

特に、無償契約の性質、瑕疵担保責任、契約の撤回、及び扶養義務などの側面を考慮して、選択肢の内容を法的に評価することが重要です。

また、民法の改正による「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」への変更も理解しておく必要があります。

参考になった数9

03

本設問は贈与に関する出題です。

詳細は各設問にて解説します。

選択肢1. 贈与契約は無償契約であるから、AB間の贈与契約締結後、Bへの引渡し前に、Aが甲に瑕疵(かし)があることを知っていた場合であっても、Aは瑕疵担保責任を負わない。

民法第551条では「贈与者は、贈与の目的である物又は権利を、贈与の目的として特定した時の状態で引き渡し、又は移転することを約したものと推定する。2 負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う。」と記載されています。

よって本選択肢の「Aが甲に瑕疵(かし)があることを知っていた場合であっても、Aは瑕疵担保責任を負わない。」という箇所が誤りです。

選択肢2. AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、その贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたときは、遺贈の規定が準用されるから、Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回することができる。

設問の通りです。

民法第554条では「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定を準用する。」と記載されています。遺贈の規定では「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と記載されています。

選択肢3. AB間の贈与契約が口頭でなされた場合において、甲をBに引き渡した後は、Bに所有権移転登記をする前であっても、Aは、贈与契約を撤回することができない。

設問の通りです。

民法第550条では「書面によらない贈与は、各当事者が解除をすることができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでない。」と記載されています。引渡しは履行の終了とされています。

選択肢4. AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、AB間の贈与契約の内容に、BがAを扶養する旨の負担が付いていたときは、Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは、甲の引渡しを拒むことができる。

設問の通りです。

民法第554条では「負担付贈与については、この節に定めるもののほか、その性質に反しない限り、双務契約に関する規定を準用する。」と記載されています。双務契約の規定では「双務契約の当事者の一方は、相手方がその債務の履行(債務の履行に代わる損害賠償の債務の履行を含む。)を提供するまでは、自己の債務の履行を拒むことができる。ただし、相手方の債務が弁済期にないときは、この限りでない。」と記載されています。

まとめ

贈与は民法改正により以前と変わっています。改正内容について確認してください。

参考になった数4

04

民法に関する問題です。

選択肢1. 贈与契約は無償契約であるから、AB間の贈与契約締結後、Bへの引渡し前に、Aが甲に瑕疵(かし)があることを知っていた場合であっても、Aは瑕疵担保責任を負わない。

×:誤り

贈与契約(無償)であっても、引き渡し前にAが瑕疵(契約不適合)を知っていた場合は、Aは瑕疵担保責任(契約不適合責任)を負います。

選択肢2. AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、その贈与契約の効力がAの死亡によって生じるものとされていたときは、遺贈の規定が準用されるから、Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回することができる。

〇:正しい

Aの死亡によって生じる贈与である場合(死因贈与)、遺贈の規定が準用され、Aはいつでもこの贈与契約を書面で撤回(解除)することができます。

選択肢3. AB間の贈与契約が口頭でなされた場合において、甲をBに引き渡した後は、Bに所有権移転登記をする前であっても、Aは、贈与契約を撤回することができない。

〇:正しい

書面によらない契約を行ったとしても、物件の引き渡しがされていれば、登記をしていなくても贈与されたものとなります。よって、Aは贈与契約を撤回することができません。

選択肢4. AB間の贈与契約が書面でなされた場合において、AB間の贈与契約の内容に、BがAを扶養する旨の負担が付いていたときは、Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは、甲の引渡しを拒むことができる。

〇:正しい

負担付きの贈与契約の場合、双務契約となるため、同時履行の抗弁権により、Bが契約で定められた扶養を始めない限り、Aは物件の引き渡しを拒むことができます。

まとめ

民法については、問題から情景を浮かべても、民法を知っておかなければ、解けない問題が多々あります。頻出問題を数回解いていくことで場面を覚えていくようにすると良いです。

参考になった数4