管理業務主任者の過去問
令和元年度(2019年)
問6
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問題
管理業務主任者試験 令和元年度(2019年) 問6 (訂正依頼・報告はこちら)
同時履行の抗弁権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。
- AB間の売買契約を、売主Aが、買主Bの詐欺を理由として取り消した場合においては、Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは同時履行の関係に立たない。
- AB間の建物の賃貸借契約が期間の満了により終了する場合において、それに伴う賃貸人Aの敷金返還債務と賃借人Bの建物明渡債務とは、特別の約定のない限り、同時履行の関係に立たない。
- AB間の借地契約の終了に伴い、賃貸人Aに対して賃借人Bの建物買取請求権が行使された場合においては、その土地の賃貸人Aの建物代金債務と賃借人Bの建物土地明渡債務とは、同時履行の関係に立つ。
- AB間の金銭消費貸借契約にかかる担保のために、債権者Aに対して債務者Bが、自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、Aの抵当権設定登記の抹消義務とBの債務の弁済とは、同時履行の関係に立たない。
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この過去問の解説 (4件)
01
設問の事例については、「原状回復義務 対 原状回復義務」の同時履行の関係が成り立ちます。
2:正しいです。
敷金返還債務と建物明渡債務は、特別の約定のない限りは同時履行の関係に立ちません。
3:正しいです。
設問の事例については、建物代金債務と土地明渡債務は同時履行の関係が成り立ちます。
4:正しいです。
抵当権の附従性の観点より、同時履行の関係に立ちません。
債務弁済と抹消登記は主従の関係にあり、弁済により抹消という関係です。
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02
同時履行の関係についての問題です。
×:誤り
詐欺を理由として取り消された場合、初めから無効であったとみなされるが、公平の観点から契約解除の場合の双方の原状回復義務と同様に、同時履行の関係に立ちます。
〇:正しい
賃借人の明け渡し債務と、賃貸人の敷金返還債務は同時履行の関係に立ちません。
明け渡し債務が先になります。
〇:正しい
借地に建っている建物の建物買取請求権に関する賃貸人の建物代金債務と、建物土地明け渡し債務は同時履行の関係に立ちます。建物所有者である賃借人は、建物の代金を支払ってくれないと、土地を明け渡さないと言えます。
〇:正しい
債務者が自己所有の土地に抵当権を設定した場合においては、債務者は債務を弁済したあと、抵当権が抹消されるので、抵当権設定登記の抹消はその後になるため、同時履行の関係に立ちません。
同時履行の抗弁権は、相手が履行してくれないと自分も履行しないぞ。という権利になります。
先に自分が履行してしまうと、相手が履行してくれないことがあるので、不動産としては大きな損害になることもあり、必ず覚えておきましょう。
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03
同時履行の抗弁権に関する出題です。何と何が同時履行の関係に立つのか、出題はワンパターンな傾向があるのでケースを覚えることが重要です。
誤り。契約の取消についての双方の原状回復義務は同時履行の関係に立ちます。
正しい。敷金の返還債務と建物明渡債務は、同時履行の関係に立ちません。明渡が先、敷金が後という関係を覚えておけば解けます。
正しい。建物買取請求権が行使された場合の建物代金債務と建物土地明渡債務とは同時履行の関係に立ちます。
正しい。債務の弁済と、当該債務のために設定された 抵当権設定登記の抹消手続きは同時履行の関係に立ちません。
同時履行の抗弁権についての出題は、パターン化されていますので、過去問を解くことが有効になります。
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04
本設問は同時履行の抗弁権に関する出題です。
詳細は各設問にて解説します。
最高裁判例の 昭和46(オ)1127では「 売買契約が詐欺を理由として取り消された場合における当事者双方の原状回復義務は、同時履行の関係にあると解するのが相当である。」と記載されています。
よって本選択肢の「Aの原状回復義務とBの原状回復義務とは同時履行の関係に立たない。」という箇所が誤りです。
設問の通りです。
民法622条の2第1項第1号では「 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。」と記載されています。
設問の通りです。
判例では「建物譲受人の買取請求による買取請求権が行使したとき、当事者間による売買契約が成立したと同一の効果を生じ、当事者は互いに同時履行の抗弁権を有する」とされています。
設問の通りです。
最高裁判例の昭和56(オ)890では「債務の弁済と該債務担保のために経由された抵当権設定登記の抹消登記手続とは、前者が後者に対し先履行の関係にあるものであつて、同時履行の関係に立つものではないと解すべきである」と記載されています。
同時履行の関係については判例で示されていることも多いため、最高裁判例を確認のうえ問題に取組んでください。
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