管理業務主任者の過去問
令和元年度(2019年)
問10

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問題

管理業務主任者試験 令和元年度(2019年) 問10 (訂正依頼・報告はこちら)

マンションの管理費又はその滞納に関する次の記述のうち、民法、民事訴訟法及び区分所有法の規定によれば、正しいものはどれか。
  • 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。
  • 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。
  • 管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。
  • 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。

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この過去問の解説 (4件)

01

マンションの管理費又はその滞納に関する問題です。

選択肢1. 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。

誤りです。
通常の売買の場合と同様に、競売により買い受けた者も特定承継人に該当しますので、前所有者の滞納管理費の支払債務を承継します。

選択肢2. 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。

正しいです。
管理費の支払債務を負うのは区分所有者です。

選択肢3. 管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。

誤りです。
入院は時効の中断事由に該当しないため、期間の経過とともに時効が完成します。

選択肢4. 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。

誤りです。
滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するにあたり、事前の支払督促は要しません。

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02

本設問は管理費の滞納に関する出題です。

詳細は各設問にて解説します。

選択肢1. 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。

区分所有法第7条および第8条では「区分所有者は、共用部分、建物の敷地若しくは共用部分以外の建物の附属施設につき他の区分所有者に対して有する債権又は規約若しくは集会の決議に基づき他の区分所有者に対して有する債権について、債務者の区分所有権(共用部分に関する権利及び敷地利用権を含む。)及び建物に備え付けた動産の上に先取特権を有する。管理者又は管理組合法人がその職務又は業務を行うにつき区分所有者に対して有する債権についても、同様とする。 八条 前条第一項に規定する債権は、債務者たる区分所有者の特定承継人に対しても行うことができる。」特定承継人とは、売買だけでなく、競売により区分所有権を取得した者も含みます。

よって本選択肢の「前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。」という箇所が誤りです。

選択肢2. 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。

設問の通りです。

区分所有法第19条では「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する。」と記載されています。つまり、管理費や修繕費等の支払い義務は区分所有者にあります。

選択肢3. 管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。

民法第147条では「次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。一 裁判上の請求二 支払督促三 民事訴訟法第二百七十五条第一項の和解又は民事調停法(昭和二十六年法律第二百二十二号)若しくは家事事件手続法(平成二十三年法律第五十二号)による調停四 破産手続参加、再生手続参加又は更生手続参加」と記載されています。他にも事項の中断事由はありますが、長期入院は当てはまりません。

よって本選択肢の「病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。」という箇所が誤りです。

選択肢4. 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。

民事訴訟法やマンション標準管理委託契約書のひな形等にもあらかじめ書面による支払い督促は明記されていません。

よって本選択肢の「あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。」という箇所が誤りです。

まとめ

管理費の滞納は民法や民事訴訟法等の複数の法律がかかわるため複雑です。過去問を繰り返し解いて暗記してください。

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03

管理費等の滞納処理についての問題です。

選択肢1. 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。

×:誤り

区分所有権を買い受けた者は、競売でも売買の場合でも滞納管理費の支払債務を継承します

選択肢2. 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。

〇:正しい

分譲賃貸として、自己の所有する住戸を賃貸する場合でも、管理費は区分所有者が支払い義務を負います。

選択肢3. 管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。

×:誤り

入院は消滅時効の完成にはあてはまりません

選択肢4. 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。

×:誤り

滞納管理費に対する支払い請求訴訟を提起するために、あらかじめ書面により支払督促をしておかなければならないという規定はありません。

一般的に内容証明等で支払督促を行ったあと、訴訟提起の流れがあるため、ひっかけ問題になります。

まとめ

管理費等に対する滞納は、無いことが一番ですが、平成30年の調査では3か月以上の滞納者がいるマンションは28.2%あり、管理組合としては頭の痛い問題になります。管理をする中では、民法・区分所有者法・民事訴訟法等があることを知っておき、早期解決に努める必要があります。

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04

マンションの滞納についの基本的な問題です。

選択肢1. 競売によって区分所有権を買い受けた者は、通常の売買の場合と異なり、前区分所有者の滞納管理費の支払債務を承継しない。

誤り。管理費等の負担義務は区分所有者の特定承継人に承継されます。競売により買い受けたものは特定承継人に該当するため、当然に管理費等の負担義務を承継します。

選択肢2. 区分所有者は、自己の所有する住戸を賃貸し、そこに賃借人が居住するときでも、管理費の支払債務を負う。

正しい。共同住宅において、管理費等の負担義務があるのは区分所有者であり、賃借人ではありません。

選択肢3. 管理者が病気で長期入院した場合においては、その期間の滞納管理費の消滅時効は、完成しない。

誤り。入院は時効の中断事由に該当しません。

選択肢4. 管理者は、滞納管理費に対する支払請求訴訟を提起するためには、管理費の滞納者に対し、あらかじめ書面により滞納管理費に対する支払督促をしておかなければならない。

誤り。訴訟を提起するのに、あらかじめ書面による滞納管理費に対する支払督促を実施することは要求されていません。

まとめ

管理費等の滞納の問題ですが、基本的な事項問われています。競売により買い受けたものも滞納管理費の負担を承継することは頻出するポイントなので覚えておきましょう。

 

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