貸金業務取扱主任者の過去問
平成27年度(2015年)
貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問37

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問題

貸金業務取扱主任者資格試験 平成27年度(2015年) 貸付け及び貸付けに付随する取引に関する法令及び実務に関すること 問37 (訂正依頼・報告はこちら)

Aは、Bが所有する自動車甲をCに売却する旨の契約をCとの間で締結しようとしている。この場合に関する次の記述のうち、民法上、その内容が適切でないものを1つだけ選びなさい。なお、A、B及びCは、制限行為能力者ではないものとする。
  • Aは、Bから自動車甲を売却する代理権を付与されていたが、Cとの間で、当該代理権に基づく代理行為を行うに際し、Bのためにすることを示さないで、Cに自動車甲を売却する旨の契約を締結した。この場合において、Cが、AがBのためにすることを知らず、かつ知ることができなかったときは、Aは、自己のために当該契約をしたものとみなされる。
  • Bは、自動車甲を売却する代理権をAに付与していないが、Cに対して、Aに当該代理権を与えた旨を表示し、Aは、その表示された権限の範囲内において、Bの代理人として、Cとの間で、Cに自動車甲を売却する旨の契約を締結した。この場合、Cが、Aに当該代理権が与えられていないことを過失によって知らなかったときは、Bは、当該契約についてその責任を負わない。
  • Aは、Bから何らの代理権も付与されていないのに、Bの代理人として、Cに自動車甲を売却する旨の契約を締結した。また、Cは、AをBの代理人であると過失なく信じていた。この場合において、Bが追認をしなかったときは、Aは、Cに対して、履行又は損害賠償のいずれかの責任をA自身が選択して負わなければならない。
  • Aは、Bから自動車甲を売却する代理権を付与されていたが、当該代理権は消滅した。その後、Aは、当該代理権の消滅を過失によって知らなかったCとの間で、Bの代理人として、自動車甲を売却する旨の契約を締結した。この場合、Bは、Aの代理権が消滅していることをCに対抗することができる。

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この過去問の解説 (1件)

01

本設問は代理権に関する出題です。

選択肢1. Aは、Bから自動車甲を売却する代理権を付与されていたが、Cとの間で、当該代理権に基づく代理行為を行うに際し、Bのためにすることを示さないで、Cに自動車甲を売却する旨の契約を締結した。この場合において、Cが、AがBのためにすることを知らず、かつ知ることができなかったときは、Aは、自己のために当該契約をしたものとみなされる。

設問の通りです。

民法100条では、「代理人が本人のためにすることを示さないでした意思表示は、自己のためにしたものとみなします。ただし、相手方が、代理人が本人のためにすることを知り、又は知ることができたときは、、本人に対して直接にその効力を生じます。」と記載されています。

選択肢2. Bは、自動車甲を売却する代理権をAに付与していないが、Cに対して、Aに当該代理権を与えた旨を表示し、Aは、その表示された権限の範囲内において、Bの代理人として、Cとの間で、Cに自動車甲を売却する旨の契約を締結した。この場合、Cが、Aに当該代理権が与えられていないことを過失によって知らなかったときは、Bは、当該契約についてその責任を負わない。

設問の通りです。

民法第109条では、「第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負います。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りではありません。」と記載されています。いわゆる表見代理に関する出題です。表見代理とは、本来は代理権を与えられていないにもかかわらず、代理権が与えられているかのように当事者に代わって法律行為をしてしまうことです。
 

選択肢3. Aは、Bから何らの代理権も付与されていないのに、Bの代理人として、Cに自動車甲を売却する旨の契約を締結した。また、Cは、AをBの代理人であると過失なく信じていた。この場合において、Bが追認をしなかったときは、Aは、Cに対して、履行又は損害賠償のいずれかの責任をA自身が選択して負わなければならない。

民法第117条では、「他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負います。」と記載されています。

よって本選択肢の「履行又は損害賠償のいずれかの責任をA自身が選択して負わなければならない」という箇所が誤りです。

選択肢4. Aは、Bから自動車甲を売却する代理権を付与されていたが、当該代理権は消滅した。その後、Aは、当該代理権の消滅を過失によって知らなかったCとの間で、Bの代理人として、自動車甲を売却する旨の契約を締結した。この場合、Bは、Aの代理権が消滅していることをCに対抗することができる。

民法第112条では、「他人に代理権を与えた者は、代理権の消滅後にその代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、代理権の消滅の事実を知らなかった第三者に対してその責任を負いません。ただし、第三者が過失によってその事実を知らなかったときは、この限りではありません。」と記載されています。

よって本選択肢の「Aの代理権が消滅していることをCに対抗することができる」という箇所が誤りです。

まとめ

代理権に関する出題において、ポイントは表見代理と無権代理となります。両者とも代理行為を委任されていないにも関わらず代理人として当事者に代わって法律行為をしてしまうことを指します。内容を整理して問題に取組んでください。

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